斉藤さんから、現代を知る
「斉藤さん」というアプリを知っているだろうか。
本名を明かさずに、不特定の相手と無料で電話できるサービスだ。
ちなみにテレビ電話もできる。
なんとなく、その存在は知っていたのだが、なぜか相方が突然ダウンロードし、巻き込まれてしまった。笑
突然、「電話してみて」と、スマホを渡された。
見ず知らずの人と話すなんて、何を話せばいいかわからないし、誤って個人情報を口走ってしまいそうで、恐怖でしかない。
プロフィールに、“女性”と書いたからか、電話はすぐにつながった。
「もしもし」
明らかにヤンキーそうな声。
運転中だと言う。
トラックドライバーだろうか。
個人情報を明かしたくなかったので、脳内でプロフィールを設定してから望んだのだが、
「何歳?」
と聞かれ、つい本当のことを話してしまいそうに・・・!
パニックになった私は、相方に助けを求め、急遽、突然電話を切る。
めちゃくちゃ冷や汗をかいた。
リアルでも拒否するのが苦手な私は、質問されるとつい答えてしまいそうになる。
人見知りなことも相まって、どうやらこのアプリは私には向いてなさそうだ。
相方に「私は出ない」旨をはっきりと告げ、今度は相方のターン。
プロフィールを“男性“に変更すると、一気に誰も電話に出てくれなくなったため、性別は“未設定“に。
「もしもし」
つながった・・・!
耳に心地よい、関西なまりの若い女性の声。
カラオケ好きな相方は、最近流行りの曲を質問していた。
(ちなみに、彼女の好きなアーティストは”藤井風“だそうだ。)
最近20歳になったばかりで、お酒も飲み始めたばかり。
”ほろ酔い“は体質的に合わず、梅酒を飲むと言う。
彼が話を振りながら、そんな他愛もない話を続けていた。
(知らない人とこんなに話が続くなんて・・・天才か!)
それから、数人にかけたが、相手が男性の場合、相方の声を聞いて、男性とわかるとすぐに電話を切られてしまうパターンも多くあった。
深夜もまわり、1:00を過ぎた頃、また女性とつながった。
昼間お酒を飲んでいたようで、軽快なトークである。
どうやらその女性は現在30歳で、マッチングアプリ(with)を利用して、婚活中だそうだ。
居酒屋は時短営業のため、マッチングした相手と昼間から飲んでいたそう。
飲み放題付きのコースだったが、安いコースなのか、料理の量が少なく、微妙だったそうだ。
それに加え、トークも盛り上がらず、楽しくなかったとのこと。
しかし、会うのは2回目。初回もさほど楽しくはなかったが、ご飯を奢ってもらうために行ったそうだ。
個人的には、“奢ってもらうこと前提で行っていることがすごい“と思った。
それから、この女性、酔っ払うと感情豊かになるそうで、突然泣き出したりするそうだ。
そんな面倒くさい体質であるにも関わらず、相手が2度も会ってくれたことには感謝している模様。
酔っ払っているとはいえ、見ず知らずの相手に、ここまで赤裸々に自分の近況を語ってくれるとは実に興味深い。
一見するとちゃらちゃらした印象を与えるのだが、“自分がもしコロナを持っていて広げてしまっては怖いので、しばらく都外への移動は控えている“など、真面目な一面もあるように感じた。
私は、ただ横で話を傍観していて、楽しんでいたのだが、相方が突然、電話をブチッと切ったのには、驚いた。
「話がずっと続きそうだったから」
確かに、だいぶ長い時間(30分以上)電話が続いていた。
せっかく盛り上がっていたのだから(相手が)、”さよなら”の一言くらいかけたっていいじゃないか。
ちなみに、“斉藤さん“専用の番号は、毎日変わるそうなので、同じ人にもう一度電話をかけることはできないようだ。
”斉藤さん”は、数年前に流行っていたものだと思っていたが、現在でもこんなに利用されていたとは意外であった。
むしろコロナ禍で、人と会うことが減り、需要が高まったのかもしれない。
一晩中やってみた(傍観していた)印象としては、
・ユーザーは10~20代男性が多め。
・男性は下心ありのユーザーが多そう。
・性別は“女性”の設定だと、比較的すぐに電話がつながる。
・深夜でもユーザーがいる。
・個人情報を流しすぎないように注意しないと、犯罪に発展しそう。
・若者はオリンピックを見ていない。
ざっとこんな感じだった。
これからやる方の参考になれば幸いだ。