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金に着地させるのか、金を通過させるのか

ビジネスをやっていると、成果のひとつは売上で計られる。
また、お金を介したやり取りがどれほど活発だったかがビジネスそのものの本質に肉薄している。
だから、お金すごく大事、お金への教育大事、お金への精神的なブロック作っちゃう理由を理解してそれを外していくの大事、みたいなことたくさん言われているし、人気のあるコンテンツになってる。

でも、ビジネスを自分でやってみて、もっとお金のこと、肌で感じていくと、いろんなことを思う。

お金に着地させるというのは、最終的に利益がお金でいくら残るかを見るものだ。ストックということができるかもしれない。お金がどのくらい手元に残ったかを見る。

もうひとつ、お金を通過させるというのは、どれだけお金を動かしたかということだと思う。フローといえるかもしれない。

フローがめっちゃ大事なんだけど、単なる一消費者として育ち、与えられるお給料で生活しているスタイルだとどうしてもフローよりストックを重要視しちゃう。ストック量で相手を計ってしまう。それが消費者という立場で守れる唯一に近いものだから。
消費者がフローでお金が増えるなんて事、ない。あっても微々たるものだ。ポイントで1000円みたいな。それでも欲しい気持ちになっちゃうんだけど…。

で、ビジネスの上でのフローは、大事なんだけど、小さい会社、小さいビジネスなんて消費者に毛が生えたレベルだから、フローよりもストックのほうが最初は大事。だけど絶対にフローをおろそかにしちゃいけない、どんな小さいビジネスでもそこを間違うと即死するから。

会計的な事はいろいろあるんだけど、私はもっと感情的にそれを把握したいって思ってる。

お金を通過させることで、何かが発生する。
嬉しい気持ち、欲しいという気持ちが満たされる感覚、誰かとおそろいになるという安心感と誇らしさ、何かが便利になること、いろいろです。
いい事ばかりではない、欲しいと思ったけど買ったら言うほどじゃなくて引き換えに渡したお金が惜しくなって悔しい気持ちになるとかも、お金を動かしたから発生したものだ。

この『お金を動かす(=フロー)ことで発生したもの』という、目に見えないなにか、エネルギーのようなもの、感情のようなものの形と総量を問うべきじゃないかと思うのだ。

最後にストックがたいして残っていなくても、誰かの心に大きな期待を作りだせたら、そのフローは大成功だ。
その次の段階でストックをたくさん生み出す可能性がある。
こういうのは、広告などに当たるフローに期待されることだ。
でも普通の商売の中で、十分にできると思っている。今ここで利益がほとんどなくても、ここで商品を手にした人たちの次のアクションを引き出すことができれば、次のフローが生まれる可能性が増える。

お金を通過する事で発生するたくさんのこと。
お客さんとのやり取りだけじゃなくて、商品の仕入れとか、製造の過程で発生するものとか、何もかもを入れた、総量でそれは計るべきだ。

お客さんに評判がよくても、その裏で過酷な環境で人が死んでいたら、そのビジネスでお金を通過して発生したことの総量はマイナスに傾く。地球全体をマイナスに傾ける。ファストファッションの裏側とか、クリスマスケーキ的なものとか、出版業界の裏もそんな感じになっている。大量に作って、大量に廃棄している。
その資源は誰かを幸せにしたか?幸せにしたとしても、あるいはそれが存在する事で環境に大きな負荷を与えていないか?作ったとしても、もう廃棄前提でいくばくかの金を手に入れられればいいと作られているのか?
これらすべて、お金を動かす時に発生する何かだ。

どれが正しい、あるいは悪いと簡単に言う事はできないし、環境にいいものがいいというものでもない。今は正しくても、5年後には間違っているとわかるかもしれない。
だから、なにが正しいかは不明だけど、それでもよいと思う方向に振っていく。

フローには、そういうものがあるような気がする。
お金そのものじゃなくて、そこで何が発生したかをもっとメインに考える。
最初はお客さんからのお言葉が嬉しいとか、お金以外の価値をすごく感じていてもすぐにお金そのものに意識が向く。そうなっても、お金への意識と同等に「お金を動かした時に何が起きているか」に注意を払い続けるということ。それはめんどくさいし、大変だと思うけれど、私はそこがすごく大事なことだと見据えて、ビジネスを組んでいる。

うまくいっているのかどうかは、分からないけど、分からなくても落ちなければビジネスはセーフ、つまり成功だ。回ってればいいのだ!!!

確かに金に着地させないといけないのだけど、常にお金を通過させることで何を起こすかということを考えて提供していく事がビジネスの本質なのだから、関わる人が全員セーフで生きていけて、最後にいくばくか残ればいい。たくさん残る必要はない。
ただ、フローがちゃんと回るためのエネルギーとしてキャッシュはある程度厚くしていかなくちゃいけない。だからちゃんとストックも増やしていく必要がある。

そういうふうに、お金を肌で感じて、まるで抱きしめるように、抱きしめられるように、時にそれは冷たい濁流にもなれば豊かな流れにもなり、いろんな形で私のまわりを通っていく。

2018年は、二か所から融資を受けて450万円ほど調達した。それを元手に書籍を作って販売した。おそらく、使った金額は回収できる見込みだ。ビジネス自体もちゃんと続いている。
金を借りて、金を増やした。ストックを増強して、フローを増やした。

それが、誰かの心を、もう少しだけ、ぬかるみにはまっていたら明るい方に動かす力になってくれたら、それ以上の事はないのです。
私はそのためなら、何をしてもいい。
あなたたちのために、できる事はなんでもする。

そのために、お金を動かし続けていく。お金を通過させることで、何かを発生させる。発電機のように、何かを生み出す。

それがなにかは、まだ、まだわからないんだ。過ぎ去った後に、それがほんの少し誰かの心の中に存在している。

それでいい。
そうある事を、命をかけて祈っている。

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つよく生きていきたい。