ひとり株主総会へようこそ!の意義
なぜか、なぜか「来年こういうイベントやりたい」とか言っていたらもう全員がめちゃくちゃ前向き態度になるので、すでに個人的なイベントじゃなくて公共性が強まっている現代アートジュエリー展&イベント。
自分にとって会社というものは、表現のひとつなんだなと思ったあたりから、急にバタバタと物事が動き出している。
表現のひとつというなら、もうちょっとわかりやすくしたい。
アーティスト名「株式会社机上の空論」というのはどうだ?
わかりやすい。
会社なのにアーティスト名。登記しているし法人口座もある。
社名も急にしっくり見えるじゃないか。
じゃあ、アート作品を世に出さねば!
すでにずっと表現としてビジネスをしてきたのだけれど、これは人にはわかりにくい。もっとわかりやすいものを。
個展でもやろう。テーマは最近ずっと感じていることにしよう。
株式会社としての表現だから、販売というスタイルを通じての表現になるのは外せない。ここでは値段が大きなテーマになる。いや、値段という概念を素材としているといったほうがぴったりくるんだけど。
展示するものは決まったし、テーマも決まったし、インスタレーションとしてどんな感じにするのかも方向は見えている。
でもそれだけじゃ足りない気がして。
もっと人を呼ぶような、面白がってもらえる、楽しんでもらえる事をしたい。
クラウドファンディングでお金を集めるときに、ダイヤや真珠をばらまくのは?……楽しい!そしてお金が集まり、ひとも集まる。
そうしたら、オープニングパーティやりたい。個展開催のパーティ。コナン君が来たら誰か死ぬやつ。やりたい。関係者のつながりで、最高に素敵なパフォーマンスを手配する事ができるし、パフォーマーのファンも喜ぶ。やりたい!!
ただ、それだけだと1週間の展示は中だるみがありそう。
トークイベントでもはさもうか。
「ひとり株主総会へようこそ!」とか楽しそう。
と言っていたら、うちを担当している会計士さんがFacebookでそれを見ていて「やりましょう!やるべきです!公開決算公告&税務申告までやりましょう!」とめっちゃ前のめりになってきた。
「決算公告って、すべての会社がやるものなんですよ。でも零細企業はほどんどやってないですね。本当はね、ぼくはそれはよくないと思っていて、もっと開示する流れが起きないかとずっとずっと思っていたんです」
ちなみに私は法人成りする前から、ずっと今月の売上とか口座の残高がだいたいこのくらいとか、来月にはこのくらいお金が出ていくとかばっかり書いている。ハッシュタグは #エアIR 。Facebookで友達限定での公開だけど。
「とにかく、もっと開示したほうがいいと思うんですよ。でもみんなしないんです」
「僕はクリエイターとかアーティストっぽい仕事をしている人のマネジメント中心にやっていますけど、そういう人たちってお金にルーズなのかなとか、適当に値段つけているのかなって思われがちじゃないですか。そうじゃない、ものすごくちゃんとしているって事を、もっと伝えたいんです。それに、クリエイターとか零細企業はちょっと下に見られるみたいな空気も納得いかない」
ちなみに、もともと美大出身の方で、なぜかアート畑ではなく会計事務所というキャリア(一説には、周りがあまりにズサン過ぎたのを管理せねばというのがきっかけだったという話を人づてに聞いた)なので、クリエイター系の小さな会社や事務所を経理面でマネジメントしている人です。
「でもみんな隠したがるんですよ。やっぱりちょっと後ろ暗いところがあるとか、売上が少ないとか、資金繰りがうまくいっていないとか。そういうの出したくないって思うんですよね。でもそこをちゃんとオープンにできる会社は本当に強いんです。どこ見ていてもそうでした!」
「だいたい、働いていない家族にお金を流していることを隠している社長の下で働く社員の気持ちとか、すぐわかるじゃないですか。そういう会社って、脆さを抱えているって事でもあるし」
私にはわからない、相当の想いの丈がある様子。
(以前働いていた会計事務所が給与不払い状態の時、社長夫妻がクリスマスディナーを取っているレストランの前を偶然通って目撃してしまったという鉄板エピソードをお持ちです)
「それに会社のお金の流れとか、法人化したら納税どうするのかとか、知りたい連中もいっぱいいると思うんですよ。それをいくら本で読んでも、目の前で一回やって見せる方がどれほど説得力あるか」
わたくし、人身御供的な展開になっている?
「十分、社会的な意義があると思います!」
や、やってもいいけど(すでに散々自分のFacebookではおおまかな金額ばらしちゃってるし)、チケット売りますよ!金取ります!タダでは見せません!
「お、いいと思いますよ!税理士さん呼びましょう。ぼくは監査役って席に座ります!」
実際に決算公告&税務申告って時間的にどのくらいかかるんですか?
「短ければ15分とかですかねー。もっと詳しくやろうとしたらいくらでも」
15分のために税理士さん呼ぶんですか!?
「それが仕事です」
そりゃそうか。
トークイベントといいつつ、話す内容は全然考えていなかったんだけど、ゲストスピーカー交えて、それぞれ社外取締役とか監査役とか架空の役職を振って(私は代表取締役?)、「表現としての株式会社とはなんなのか・その可能性」みたいな内容で適当に話して、公開決算公告&税務申告やれば、十分なショーになり得る気がしてきた。(スピーカーの話はすでに軽くお願いしている)
来年は、どのくらい伸びるでしょうねー?役員報酬の額はこれでいいんですか?みたいな事やるのかな。私の給料大公開ですよ。
「これ、毎年やるんですよ」
あっ、そうか……。
ま、それでこそ、表現としての株式会社じゃないかなとも思う。
予定調和を素材にしてしまう。
会社というスタイルのコスプレをする。
レールに乗れなかった者の、レールへの思慕。
それが表現としての株式会社。
アーティストとしての株式会社机上の空論。
それ以外の普通の日は、普通に製造して販売してビジネス回しているのだけど、本当はそれが最大の表現なんですよ。
でもわかりにくいから、たまにわかるように文化祭的な事をしたほうがいいんだろうなって。
ところで、英語で「ひとり株主総会へようこそ!」ってどういったらいいんだろう。表現ってやつはむずかしい。