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一人暮らしの食器ファイナルアンサー
春から一人暮らしになる、みたいな人のための話題が出ると季節の変わり目を感じます。
一人暮らしといってもライフスタイルは様々だし、生活空間の状況もそれぞれ違う。だからみんなにとってのベストはないんだけど、それでも本質な形というのはある気がする。
一人暮らしの食器としてのエッセンシャル。
狭い空間での取り回しのよいサイズ感
少ない数で最大バリエーションを産むコーディネート
変化に対応できるフレキシブルさ
自分の好み(調理、食べるタイミングや量、味、見た目等すべて)
この辺りだと思う。
先に買ってはいけないもの
いきなりだけど、買ってはいけないものから考えておくべきだと思うんですよ。
先に買ってはいけないもの。
それは、デカい皿。
なぜなら、食器は机のサイズでベストなサイズ感が変わってくる。
机が決まる前に皿を買ってしまうのは、生活の動きがぎこちなくなる要因を最初から放り込むことになるので、避けた方がいいなと思ってる。
同様の意味で、どんぶりも微妙なところ。
生活の形、というか、家具の大きさ、机の大きさがはっきりしてきたあたりで、皿のサイズを決めてもいいと思う。
特に、家族がいる状態ではない、というのがひとり暮らしの特徴なので、家族がいて食卓を囲むスタイルに必須の大皿(または銘々皿)は、いきなり買わない方が食器の組み立てがスムーズ。
特に調理のスタイル、自分の食生活が安定するのは、ひとり暮らしをはじめてすぐの時期は無理です。
毎日何かは食べているけど、慌ててスタイルを確立しなくていいし、徐々に好きなものを集めるためにも、大きな皿やどんぶりは最初に買わない方がいいかなって思うわけです。
では、なにから買うかというと、食器兼用調理器具から!
アルマイトのラーメン鍋
いきなり、鍋。もちろんこれは調理器具です。
ですが、一人暮らしの食器として非常にフレキシブルです。
土鍋などもよいけれど、料理慣れしていない人はこっちの方がいい。
単純にラーメンを作れるし、一人分の鍋をやるにも最高。
チープなお値段、実際に持つとめちゃくちゃ軽い。
気軽に使えて、洗うのも簡単です。土鍋だと重さがあるので洗うのがめんどくさくなることはよくある。
なのでまずはこれ。
沢山食べる人は、このサイズは小さいかもしれないので、一回り大きめでもいいと思う。
これを皿のように使うとまたよいのです。
袋入りの千切りキャベツを入れて上に総菜コーナーのとんかつでも唐揚げでものせれば、野菜とたんぱく質がとれる素敵なメインディッシュ。
ビールをそえても絵になる、ちょっとトマトやアボカドなどをのせるとアジア系料理のテーブルスタイリングに見える。
チャーハンをのせてもいいし、カフェ風ワンプレートメニューを盛りつけてもいい。
食器として、あまりに力があります。
鍋として使ってそのままテーブルに持ってくるのもあり。
調理器具と食器がひとつでいいというのは、ひとり暮らしの狭い空間と少ないマンパワーでは極めて合理的な選択です。
洗い物も少なく、水や洗剤の消費も押さえられてエコ。SDGs。
問題があるとすると、冬にしか売っていないケースがよくある。
今すぐ買ってほしい。(現在2月)
ミニフライパン(オーブン対応型)
こういうタイプの、フライパンとして使えて、オーブンにも入れられるタイプのもの。16センチが小ぶりで目玉焼き1個もきれいに作れるのでお勧め。
ただ、人によっては20センチくらいのほうが使いやすいという人もいるかも。
これは食器としてなので、小さめがよいです。
別に深めの万能フライパンなどを調理用に用意するのがいいと思うけれど、取り急ぎこの小さいフライパンがあるとしばらくはしのげる。
なにかを少し焼いて、そのままテーブルに。
鍋敷きは用意してほしいけど、最初はふきんなどでいいでしょう。
卵を焼く時に大活躍。
スパニッシュオムレツみたいに具の多いオムレツ、ひとり暮らしだと「なんだかよくわからないけど卵でとじればオッケー」なレシピ全部を担います。
親子丼的などんぶりメニューを作るのも大活躍。
アヒージョみたいなのもできる。鶏のモモ肉を1枚焼くのもピッタリサイズ。
調理器具としてすごく有能、そして、食器としても有能です。
狭い空間と少ないマンパワーという背景で活躍するタイプ。
他にいい鍋やフライパンを買うまでのつなぎとしても役立つし、とにかく一個あって助かるやつです。
お安いのも助かるし、すぐにダメになる感じではなかったです。
似た感じで、スキレットもありますが、こちらは重さと錆のお手入れを考えると、万能とは言い難いです。見た目の雰囲気は最高なんだけど。
特に一人暮らしで信じられないくらい狭いシンクのキッチンの場合、めちゃくちゃ弱々しい火力のコンロの場合などは、やはり手軽な方がいいなって。
ティーマ・シリアルボウル(イッタラ社)
急に、ブランド食器が登場。
ここで100均食器を出してしまうと、生活の崩壊は近くなる。
一人暮らしは、すぐに生活が崩壊します。一気にゴミの山になってしまう事も、普通にある。
その時に、毎日使う食器が、ほんの少しでもしゃんとしているというのは、どこか人間の心を救う。その時は気が付かないけど、静かに支えてくれているものなのです。
ということで、なんでもいいので、ひとつはいいモノをいれておく。
というよりも、「すべてをどうでもいいもので埋め尽くさない」ための小さな布石です。
食器ひとつで生活の崩壊が止められるものじゃないんだけどさ。
でも、この名作食器として名高いイッタラのティーマシリーズの中でも、マグカップに次いでシリアルボウルは日常多くの人に愛されているようで、確かにこのサイズ感と取り回しのよさはすばらしいです。
ひとり1個、一家に10個みたいな存在。
色は迷うなら白っぽいのにしておけばいいし、好きな色があるなら急いでそれを買うべき。
好きな色というだけで、世界がバラ色になるから。
そういう精神論を抜きにして、このサイズ感はすごくいいです。
ちょっとした小どんぶりサイズで、サラダ、総菜、なんでも入る。
あって困ることない。
日本の食器のように手で持って食べることが想定されていない洋食器なので、手で持つと少し重いし、そういう意味ではマナー違反だと思うけど、普通に手で持って使っちゃいますね。お茶碗出すのが面倒な時はお茶碗として立ち回ります。
日本の普通の食卓でも、どんなにみじめな料理でも、「ほら、おいしそうね。いただきましょうね」って言ってくれる。
100均で食器を何か買う前に、これを一個。
お茶碗がなくてもこれがあれば大丈夫。
あとで、気に入った皿とかお茶碗とかそろえていけばいいので。
ティーマのマグカップは、ファッション好きおしゃれさんからインテリア好きおしゃれさんまで、幅広く愛用者とコレクターがいる名作なので、お金に余裕があるならティーマのシリアルボウルとマグカップをセットで買っておくといいと思う。(それはそれで初心者臭さがあるけれど)
色をそろえるのもいい。
私はそろえない派。色が違ってもティーマシリーズはなじみがいいので、とにかく好きに買う。
お客が来るようになっても、誰かと一緒に住むようになっても、ずっとついてきて一緒に暮らしてくれるタイプの食器です。
一人暮らしでも料理をしっかりするようになると増やしたくなるタイプのやつ。
なので、最初から1個あって損はしない。
あと、丈夫です。レンジ、オーブン、食洗器オッケー、落としても割れない。足の上に落とすと骨折。
食器は調理器具と家具で決まっていく
食器は、どのくらい料理をするのか、何を食べるのか、ということがあって決まっていく。
だから、最初にセットを買うのもいいけど、おしゃれな部屋にしたいという希望があったり、素敵なひとり暮らしを作りたいという意気込みがある人は、よほどお気に入りのセットが見つかった場合を除いて、慌ててセットの食器を買う事もない気がします。
おしゃれな部屋が作りたい人は、どんな机を置くのかで、なにをのせるかが決まる。
部屋は眠るために全振りする、という人もいるし。
服を収納するためにある、という人もいる。
ダイエットで野菜中心の料理をすごくする、という人と、ほとんど外食だけど朝ごはんだけ作るという人もいる。
生活スタイル、食事スタイルで調理器具の種類も決まるし、それによって食器も変わるわけです。
特に、皿のサイズにみんな悩むけど、21センチ以上になる皿は「ワンプレートメニューが楽で好き!」みたいなことがはっきりわかってきてから買うので大丈夫。
素敵なお皿がたくさんあるから、いいのを見つけよう。
小皿も素敵なのがたくさんあって、すごくいい。家でケーキを食べる楽しみが大きくなる。
和食器や茶器も、それが家にあると急に生活が自分を大切にしてくれているような感じが出てくる。
いくらでも好きに増やしていいのだけど、最初にわからないうちに慌ててそろえなくても大丈夫だと思う。
一人暮らしを始める時はとにかくお金もなく、欲しいものも多いし、そもそも忙しくてストレスが多い。だから、家具が決まってからでいいし、食生活や調理の度合いが安定してからで問題ない。
逆に言うと、家具や生活が安定しているのに、どこか薄ら寒い日常な人は、そろそろいい食器を買う時期じゃないかと思います。
お茶碗やマグカップは趣味と好みの世界
一人暮らし必需品みたいに言われているものは、とにかく好みのものを探して買うのが一番。もともとの愛用品でもいいし。
マグカップなんて、グッズで買ったりしてジワジワ増えることも多い。
お茶碗は、実家から持ってきました、みたいなこともある。
ファイヤーキングが好きな人、ノリタケやジノリなどのアッパークラスなティーカップにときめきがある人、チタンのシェラカップが好きな人、どれもいい。
一人暮らしは、そういう個人の趣味を心行くまで堪能できる自由が何にも代えがたい喜びだったりするので、存分に楽しむべきです。
誰かと共に暮らすにしても、自分の趣味を存分に堪能する暮らしを維持する力を持っているほうが幸せ度は爆上がりすると思う。
そういう意味でも、趣味に走った食器はひとり暮らしの必需品。
まだ趣味が確立していない人は、そういう趣味の世界もあることを知っておくだけで、いつか優しくも豊かな扉が開くことがある気がするので、気が向いたら見に行ってほしい。
一人暮らしの生活はすぐ崩壊するから再起動が大事
あと、生活が崩壊するのはひとり暮らしではよくあることなので、別にそうなっても心配しないで、復帰作業が楽なようにしておくといいかなって思います。
食器は多すぎても少なすぎても、崩壊するし再起動作業が面倒になる。
人によるけど、箸は料理用と食べる用を分けずに全部同じものを使うというのは、割と便利なハックでした。でも、使いやすい菜箸があった方がずっと楽という人もいるし、同じものを使うと区別がつかなくなって生肉を触った箸でうっかり食事をして食中毒で生死をさまようみたいなことも起きるので、分けた方がいい人もいる。
自分の力が足りないところは調理器具や食器、道具にばんばん頼り、心の栄養になる好みのもの、色、形、好きなブランドなどを少しでもいいので必ず投入。
生活の崩壊を防ぐにはお手入れが簡単な方がいいものを推奨されがちだけど、じっくり時間をかけて手入れをすることが趣味の時間になり、心の平安になるものもたくさんあるので、そういう手間のかかるものを持っているのもよい事なのです。
ひたすら黒ずんだシルバーアクセサリーを拭くことが気持ちの切り替えになるとか、そういうことです。
食器は生活の崩壊の入り口にあるアイテムなので、崩壊させにくく、再起動させやすいアイテムがそろっているといいですよね。
崩壊させにくいというのは、手入れが楽(軽くて汚れがこびりつきにくく、洗うのが簡単)ということ。洗う数が少ないのも大事。
同時に、すごく好きでずっと触っていたい、丁寧にお手入れしたいと思わせてくれる心を引き上げてくれるものも、同じくらい生活の崩壊を防ぎ、また再起動のスイッチを起動させてくれます。
そして気に入った食器で、なにか食べる時の喜びがあると、いいですよね。
定まってきてから買うべき大物は癖つよ
少し深さのある大きめなボウル。
一人暮らしに不必要なサイズ感と思いきや、パスタやカレーなどにベストな大きめボウルは、意外とおすすめです。
特に、野菜をどさっと入れて、鶏むね肉のソテーなどをのせたパワーサラダにすると、すごく良い。
大皿も、フラットなやつがあるとかなり便利です。
割れないタイプだと、ちょっとチープだけど便利。
大物は、華やかになるので、むしろシンプルにしない方がいい気がしています。全部白い食器でそろえるのがすごく流行ったけど、ひとり暮らしでそれをやると、プライベートまで管理されている感じが漂うので、工業製品系プロダクトは時に毒です。
効率の良さをカッコいいと思ってシンプルに走りがちな大物ほど、癖つよアイテムがいい。
絵柄つよい和食器や、オーバル型などがいいです。
色数が少ない方が合わせやすいとか言うけど、あわせなくていいと思う!
「これ好き!」なやつを見つけたら、もうそれ。
大体一人暮らしの食卓で大皿ひとつ出したら、そもそもコーディネートなんかしないじゃん。それ一個で完結しちゃう。
その時に、無印で売っているような癖のない白っぽい皿やボウルでもいいのだけど、生活の上ではむしろ大物ほど個性と華があるほうがいいです。
癖のないものは、生活の苦しさもそのまま乗っかってしまう。でも、華のある皿は、それだけですべてを輝かせる。
ひとりで暮らすのだから、無難である必要はないです。
もっと一人暮らしを楽しもう。
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