見出し画像

憧れを追い求めて、生きること。

偶然見つけた、目の前で風鈴の鳴るカフェでずっと読みたかった本を読んでいたら、思わず涙がこぼれそうになった。

土曜日の朝10時、大阪。4ヶ月半ぶりに会いに来たパートナーのお仕事が終わるのを待っている間、ひとりで過ごした時間がとても尊かった。

つい先日、「夢を追いかけて、生きること。」というエッセイを描いた。30年かけて自分を一周した話し。社会課題の解決でもなく、大きなビジョンでもなく、大切な人のやりたいことでもなく、やっと、自分自身の夢と向き合えたことを描いた。

それから、わたしの夢って何だろう、ということを考え始めた。

「この目に映る世界の素晴らしさや美しさを、色々な形で表現したい」

これが「わたしのやりたいこと」、なのだけど、じゃあ「私の目に映る世界の素晴らしさや美しさ」って、一体、何だろう。

目に見えない誰かの想い、鳥肌が立つほど感動する瞬間、二人で築き上げていくパートナーシップ、日常生活に散りばめられている幸せ、沢山沢山あるのだけど、「今のわたし」の、心のいちばんまんなかにあること。

わたしは今、
何にいちばん、心を動かされるんだろう。
何にいちばん、感動するんだろう。
何にいちばん、美しさを感じるんだろう。

最近憧れていた、YouTuberの「TAKASU TILE」さん。周りの友達の間でも人気が高くて、この夏、何度も高須さんのお名前が出てきた。

そんな高須さんのライフスタイル本が出たことを知り、今回の5泊6日の旅に読もうと、1冊だけ選んでスーツケースの中に入れてきたんだ。

昨日、旅の2日目の夜、夜にベッドの上で読み始めたのだけど、朝から夜まで一日中外で動きまくった日だったから、すぐに寝落ちしてしまった。🥺

そして今日、旅の3日目、リベンジということで、歩いてたら見つけたカフェの窓際、広めのテーブルに贅沢に座り、オーツミルクの抹茶ラテ(アイスクリーム付き)を飲みながら、ゆっくり読む時間をつくることができた。

至福の時間。

ドキドキしながら一枚一枚ページをめくるそこには、高須さんの「日常の幸せを伝えたい」という想い、100万円で作った小屋での暮らし、大切なおばあちゃんとの時間、愛する奥さんとの日々、生まれ育った幸田町の様子。

構想から一年、ついに小屋が完成した。
総面積は18.5平米、建築費は100万円。
最初は撮影スタジオのつもりだったけど、料理のほかに、食事したりくつろいだり人を招いたりもできる、暮らしの場所が誕生した。

ー P76 「予算100万円のほぼ手作りマイホーム」

「TAKASU TILE 自分をHAPPYにする暮らし方」
/高須亮介

それから、6年前に突然癌に襲われたこと、お兄さんが30歳で亡くなったこと、そんな自分や大切な人との「死」と向き合う中で、「自分がやりたいことをやろう」と決めYouTubeを始めたことなどが、紛れもなく、高須さんの温度感で描かれていた。

いつもの何でもない日常がどれだけ大切で幸せなものか。
いつかやろう、いつか会おうって思っていても、いつかなんて来ない。
だから、やりたいことはすぐにやり、会いたい人に会いに行こう。
好きだという気持ちは照れずに伝えよう。
がんと兄の死をきっかけに、僕はやりたいことをやっていこうと決めた。

ー P106 「長兄が旅立つ 好きなことをやろう」

「TAKASU TILE 自分をHAPPYにする暮らし方」
/高須亮介

「日本の田舎暮らしと言えば、高須」と言われるくらい、海外へも広めたいこと、YouTube登録者数100万人を目指したいビジョンについても。

2年前からは海外の方にも見てもらえるように、チャンネルを多言語化した。「日本の田舎暮らしと言えば、高須」と言われるくらい、世界の視聴者さんに見てもらいたい。

僕の次なる目標は登録者数100万人!夢みたいな話だけれど、必ず実現できると信じている。そのために何をすべきか日々書き出している。これからも僕の挑戦は続く。

ー P102 「挑戦と継続 僕の目標達成術」

「TAKASU TILE 自分をHAPPYにする暮らし方」
/高須亮介

数ヶ月前、Instagramでたまたま見かけた高須さんのショート動画。カラフルで透明な雰囲気に、田舎暮らしが切り取られた日常。一瞬で「素敵だ」と想い、フォローボタンを押した。ただ、彼のそんな「表面」しか見ていなかったので、今日、こうして本を読んだ時、初めて知った一面に沢山触れることができた。

そして心臓が熱を持ち、なんて素敵な写真と文章の数々なんだろうと感動する自分に気づき、わたしは何にこんなに心打たれているんだろうと思った。

一度はやってみたい、田舎暮らしの日常?
資本主義から離れた、丁寧なライフスタイル?
愛する人との間に存在する、穏やかな気持ち?

いや、違う、

いちばんは、「憧れ」だ。

ここだ、と思った。わたしがいちばん感動したポイントはきっと、「憧れと共に、生きていくこと」。

高須さんの、憧れを追い求めるまっすぐなその姿に感動して、わたしもそんな風に生きていきたいんだ、と気づいたんだ。

じゃあわたしの憧れってなんだろう、と考えた時に、やっぱり秒速で思い浮かぶのは、「料理があるライフスタイル」のことだった。

新卒で入ったのは食品メーカー、本屋さんでいちばん先に足が向くのは、食のエリア。26歳の頃に、フードエッセイストの平野紗希子さんや、フードコーディネーターのSHIORIさんなどの存在に出逢い、心が高鳴るほど感銘を受けた。

食とこんな風に向き合って、関わって、お仕事にしてる人がいるんだ。

その頃、わたしはというと、週6飲み会外食生活、自炊ゼロ。家にいることに一切の興味なし、お休みの日も仕事の日も外に出かけて、帰るのは、寝る時だけ。料理とは一切無縁の家庭環境で育ったし、何よりこんな自分が料理をできるようになるのは宝くじに当たるくらいの確率で、到底できるようになるとは思っていなかった。それくらい、宇宙でいちばん料理が向いてないと思ったし、もし仮にそれができるようになったとしたら、他のどんな難しいことも全て叶うと断言できるくらい、本当に遠い世界の話だった。

でも確実に言えるのは、
わたしはきっとその時、「憧れてしまったんだ」。

料理という世界で自由自在に遊ぶ感覚、
自分の好きなものをつくって食べるライフスタイル、
器なんかを使って見た目をお洒落に盛り付ける世界観、

自分のライフスタイルに、彩るように「料理」が存在する人生。
そんな自分を楽しみながら、生きていくこと。

そんな毎日を想像した時に、とても胸が高鳴った。
それから5年経った今も変わらず、高鳴るこの気持ちを一言で表すなら、それは「憧れ」と呼ぶのだと。

数日前、これからの自分の肩書きを考えた。
色々イメージしてみた結果、「フードデザイナー&エッセイスト」に落ち着いた。

フードデザイナー(フードコーディネーター)になった理由を思い出した。「誰かの素敵な作品に、フードで彩りを添えたいから」という想いから始まった。でも、実は彩りを添えたいいちばんの対象は、「誰かの素敵な作品」よりも、「自分の日常」、しいては「自分の人生」そのものなんだと、今日初めて気づいた。

ずっと自分のまんなかに出たり隠れたりしてきたこの気持ちは、自分が望むライフスタイルへの「憧れ」だったんだ。

だからずっと憧れを追ってきたわたしは、同じように誰かが「憧れ」をまっすぐ追い求めるその姿に、自分を重ねて感動したり、ドキドキワクワクしたりするんだと。

高須さんの本を読んで、そんな風に思う自分に気づいた。

憧れを追い求める姿って、美しい。

高須さんがYouTubeを始めた時、最初に登録者数10万人を目標に掲げたことも描いてあった。そのために何ができるか?と、当時も今も、ずっと書き出し続けていることも。

わたしも真似して、iPadに描き出してみた。

自分が描きたい世界観、築きたいライフスタイル、SNS発信の目的、繋がりたい人、ワクワクするコンセプト、提供できそうな価値。

夢中になって描き出していると、自分が憧れを追い求めて生きている姿が、くっきりと想像できた。そしてその限りなくまんなかに、料理で遊んでいる自分の姿も。

五年前、不覚にも憧れてしまったあの日から、食や料理に関する、沢山の本や雑誌を買い集めてきた。フードコーディネーターの学校に通い、資格もとった。栄養学に関する講座も沢山受けたし、自炊レッスンもやってみた。日本だけでなく、アメリカの考え方も学んでみた。アシスタントも、企業が絡むお仕事もやってみた。見た目を美味しそうに魅せるスタイリングだけじゃなく、何より本質的なレシピと向き合うようになったし、やっと料理を嫌いと思う時間より、好きだと思う時間の方が増えた。

アトリエのような空間で料理してみたかった。お洒落な食器で食べてみたかった。光が入る空間で、つくりたかった。だから、理想とする空間も整えた。わたしはただ、ずっと自分の憧れのために、生きてきたんだ。

そんなことを思い出しながら本を読んでいたら、涙が溢れそうになった。憧れを追い求めて生きる自分の姿が、高須さんを通して見えるようになったんだ。

明日は31歳になる日、わたしの「憧れと共に生きていく30代」が、新しく始まる音がした。

宮古島の夕陽を浴びて。


心いっぱいになるほど、感化された本。
あなたの「憧れ」の気持ちも、見つかりますように。

高須亮介
映像作家・クリエイター。1994年生まれ。愛知県額田郡幸田町出身。消防士として8年働いたのち、映像作家として独立。現在は100年続く家業の瓦屋「高須製瓦」の屋号を引き継ぎ、ユーチューブチャンネル「TAKASU TILE」を運営している。田舎の風景、日々の暮らし、家族団らん、当たり前にある日常の尊い時間など、自身のライフスタイルに根差したコンテンツを発信している。

「TAKASU TILE 自分をHAPPYにする暮らし方」
/高須亮介


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?