見出し画像

雨に沈む

いつもの感覚で目を覚ます。

じっとりとした空気と、窓から見える見慣れない風景。

「ここにはあたしを知ってる人はいない」というぼんやりとした感覚が妙に心地良い。

旅先で感じる偽物の孤独が官能を刺激して、なんだか身体が気怠い。

「雨だしね…」とわざと口に出して言ってみる。

知らない国の雨音を聴きながら時間を無駄にするなんて。

とんでもない贅沢だ、と思いながらもう1度ベッドに深く身体を沈め込む。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?