#31 ジャンボン・ド・ヒメキ
こんにちは。
be-en 代表のゆうかです。
発酵醸造元巡り第31弾は長野県小県郡長和町大門姫木にあるジャンボン・ド・ヒメキさんを訪問しました。ちょうど訪問した際、代表の藤原伸彦さんは、豚肉に”マンテカ脂”というラードとひまわり油の混合油を塗る作業を行なっていました。今回初の試みとのことで、美味しいハム作りで研究を重ねていらっしゃることが出会ってすぐに伝わってきました。
生ハムを作るのは飲食業界歴42年の元フレンチシェフ
藤原さんは大阪出身。山好きの父親がペンションを経営することとなり、小学5年生で姫木平へ移住されました。全校生徒世界一の学校から、1学年2組の小学校へ転校し、大阪と長野の県民性や食文化の違いに驚いたとのこと。特に、食に関しては、お店の数も雲泥の差で、味付けも異なれば、牛肉ではなく豚肉ばかりを食す食文化にも大きなカルチャーショックを覚えたそうです。両親の営むペンションで料理やホール業務を手伝い、既に10歳の頃から飲食業に従事。バブル真っ只中で高校を卒業し、大好きな「料理天国」というテレビ番組の影響も受け、フレンチシェフに憧れて辻調理師専門学校へ入学。その後、フレンチだけでなく、イタリア料理も学びたいと心斎橋の飲食店で勤務し、そこで”プロシュート”という生ハムと初めて出会ったそうです。
LE PONT DE CIEL、グランメゾン、親戚の居酒屋の経営、ラスベガスレストランでの商品開発、富士山麓のリゾート開発等々、飲食業界の現場から経営まで様々な経験を積まれてた藤原さんですが、「俺は何者なんだろう」とご自身自身に向き合う瞬間もあったそうです。
そんな中、地元諏訪の複合施設のレストランで商品開発や経営マネージメントを任されることに。「地産地消」というコンセプトから、地元豚の育成から商品のブランド化、野菜といった特産物との連携を考え、地元産生ハムを作るという発想が生まれました。
そこで、秋田県秋田市田沢湖にある生ハム工房「グランビア」の金子裕二さんが開催する生ハム塾に参加。同様の方法で地元産生ハムを作ったところ、その美味しさに少々驚いたとのこと。
専門学校時代に1年半フランスへ留学し、本場のハムやの味わいを知る藤原さんは、日本で同じレベルのものは作れないと思っていたそうですが、その概念が覆った瞬間だったそうです。
生ハム作りも人生も全ては「なりゆき
「人生も生ハム作りも”なりゆき”だから」と、素敵な笑顔でお話しをされる藤原さんですが、研究熱心で美味しさへのこだわりがうかがえます。藤原さんの生ハムは、麹菌が刷り込まれていることが特徴です。生ハム作りを開始した当初、色々な菌が生え、安定してより美味しいハムを作るにはどのようにすれば良いか試行錯誤されました。そこで、地元の酒造会社から譲っていただいた種菌を使用してみたことが始まりだそうです。カビの一種である麹菌は肉の水分を吸収し、菌によって生成される酵素で肉の中に旨味が蓄えられていきます。大阪のもやし屋とも連携しながら複数の菌株を試し、現在の菌株にたどり着いたとのこと。
日本独自の製法で、日本一の生ハムを
「日本のハムといえば、ヒメキと言われたい。」そう語る藤原さん。実の父から「なんでもいいから一番になれ。一番でないと意味はない。」との教えを受け、今も心に刻まれているそうです。美味しいレストランがひしめき合う日本で、「やっぱりヒメキさんのハムがいいよね」と言われたい。そして、「日本のテロワール活かした日本ならではの本場と肩を並べるハムを作りたい。」と熱い思いを語る藤原さん。量産はできませんが、ハム作りを極めることが可能な規模で作り続けていくそうです。生産者にも寄り添い、長野県産の信州太郎ぽーく、信州黒豚、千代幻豚を使用し、それぞれの品種でベストな熟成期間で製品へと仕上げています。
自分の嗜好性やファッション性を活かし、自分が本当に美味しいと思うものを作っていきたいという藤原さんの姿勢に生ハム作りへのロマンを感じました。
原木から削られた香り高くコク深い藤原さんの生ハムを、たくさんの方に召し上がっていただきたいと思っています。11月に開催の発酵ツーリズムでもジャンボン・ド・ヒメキさんをご案内させていただきます。ご興味のある方はご連絡をお待ちしております!
それではまた、次の記事でお会いしましょう!
ジャンボン・ド・ヒメキさんの記事はこちら▼
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