ドール
著:小松郁
ある晩、熱にうなされて起きた時だ。
私は何時かとうっすら目を開けると壁の方に黒い布切れがかかっているのを目にする。
それはどうやらフリルの付いたゴシックロリータの服のようだ。
寝ぼけているのか?
でもそこにはちゃんと彼女がいた。
お目覚めですかご主人様。
狼狽える。
いきなり彼女は話しかけてきた。
私はまだよく働かない頭の中でこの状況を理解しようとする。
君はメイドみたいな格好をしているが家にはメイドを雇う余裕なんて無いぞ。
大丈夫です。
私は配給公社より派遣されてきたものですから。
なんだその配給公社って言うのは?
はい、人間は21世紀にかけてとても孤独になってしまいました。
そこで私のようなドールが孤独なご主人様たちに奉仕するように法律で定められたのです。
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