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Led Zeppelin 「Physical Graffiti」 (1975)

1973年、ZEPとマネージャーのピーター・グラントは、アトランティック・レーベルとの契約が切れたことを受け、新たに自らのレーベル、スワン・ソングを設立します。本来であれば、自らのレーベルからの第一弾はZEPの新作で・・・というのが理想ですが、そんな矢先にベースのジョン・ポール・ジョーンズ(ジョンジー)が脱退を申し出ます。そんなドタバタ劇があったもので、スワン・ソングの第一弾はZEPの作品ではなく、実はあの名作、バッド・カンパニーのデビューアルバムなんですね。

で、ジョンジーですが、ピーターの説得もあり、一旦メンバーが長期休暇を取ることで、再びバンドは始動します。1974年1月から本作録音がスタート。そしてこのアルバムは過去の作品も含めて2枚組の大作として、翌年発表されます。

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本作中、1974年の新録は①③⑤⑥⑦⑩⑫⑮の全8曲。残り7曲がアルバム「Ⅲ」「Ⅳ」「聖なる館」からのアウトテイクとなっています。ただアルバム通して聴いても全くアウトテイク混在の違和感は感じられません。それだけ中期ZEPサウンドが洗練されていた訳で、この作品はまた同時に、次のZEPサウンドへの橋渡し的存在ともなってます。
恐らくZEPがブルース色の濃かったファースト・セカンドあたりで、音楽的進化が止まっていたら、ここまで伝説化していなかったでしょう。やはり中期の音楽的進化、そしてその集大成である本作の位置づけは、非常に高いものを感じます。と偉そうに言っても、私自身、本作を初めて聴いた中学生時代は、本作の良さなんて全く分かっていなかったんですが(苦笑)。

アルバムトップ①「Custard Pie」はジミー・ペイジのソリッドなギターリフ、ジョン・ボーナムの重量級ドラムのシャッフルビートが心地いいZEP流ハードロックナンバー。そしてここではジョン・ポール・ジョーンズが弾くクラヴィネットがカッコいい。このグルーヴィーなクラヴィネットに導かれるような、ジミーのワウワウを利かせた激しいギターソロもGood!カッコいいナンバーですね。

①よりも更にジョンジーのクラヴィネットがフューチャーされた⑤「Trampled Under Foot」。この曲はロバート・プラント、ジミー・ペイジ、そしてジョン・ポール・ジョーンズが曲作りに参加。ジョンジーのファンク趣味が色濃く反映され、かなりファンキーなクラヴィネットのソロが聴けます。
こうした曲は初期ZEPには見られなかった一面ですね。かなり熱いライブ映像をアップしておきます!

そしてこのアルバムを代表する曲が⑥「Kashmir」。
カシミール、インド北部に広がる山岳地帯ですが、この曲自体は、ロバートがモロッコ旅行中に書き上げたもの。ですからカシミール地方そのものとは関係のない地で草稿されたものなんですが、そんなことは別にどうでもよく、やはり曲の持つエスニックな雰囲気が、ZEPが単なるハードロックバンドではないことを証明してくれます。ここでもボンゾのズシッと刻まれるビートが心深く刺さってきます。6分40秒あたりからちょっと曲調がかわり、一瞬レインボーっぽい中世音楽の雰囲気も登場してきます。いや、レインボーがこの曲にインスパイアされたのでしょうかね。

DISC2では個人的に⑤(⑪)「Night Flight」が大好き。イントロの拡がりを感じさせるジミーのギター、ボンゾの16ビートのハイハットワーク、このイントロがいいんですよね。曲はオーソドックスなロックなんですけどね。でもくどいようですが、こんな単純な曲でもボンゾのドラミングはフィルインとかバスドラのタイミングとか、ちょっと普通じゃない。だから曲も飽きさせない。すばらしいですね、ボンゾは。

⑦「Boogie With Stu」はロックンロール好きなロバートの趣味を反映させたものでしょうか。
クレジットはメンバー+イアン・スチュアート(Key)に、ミセス・ヴァレンス。ここでの詞はリッチー・ヴァレンスの「Ooh、My head」をモチーフとしたもの。そのため当時リッチーは故人でしたので、実母の名前をクレジットしたもの。本作は大作やらリズムが複雑なものやら、ちょっと肩肘張ったような楽曲(実際はそうでもないですが)が多い中、こうした気楽に聞けるような曲が合間に収録されており、それがまた一層本作に深みを与えているような気がします。

アルバム最後はZEP流ハードロックでクロージング。⑨「Sick Again」。
でもこの曲も普通じゃない。間に5拍子が挟まれているところがジミー・ペイジらしい。そしてそれを難なくプレイしているボンゾのドラムがここでもうるさいくらいにパワフル。ライブ映像をアップしておきます。

ここではご紹介していない曲もすべてZEPならではのアレンジで、聴き応えある曲ばかりですので、未聴の方は是非チェックしてみることをおススメします。
でもあらためてこの4人でしか出せない音だったんだなあと思ってしまいました。ボンゾが急逝し、ボンゾの後任など居ないからバンドはあっけなく解散してしまいましたが、そもそもボンゾの後釜をやるドラマーなんていないでしょうね。

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