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Deep Purple「Deep Purple in Rock」(1970)

世紀の名盤!
私が所有している「In Rock」は25th Anniversary Edition盤ですが、とにかく音が鳥肌が立つくらいの臨場感で、当時のサイケ感覚溢れるハードロックが堪能できます。

また例によってアマゾンではこのアルバムを★一つ評価としている方がいらっしゃいますね。
>どの曲もまだ未完成なのに、とりあえず録音してしまったという印象・・・
人の評価なんて十人十色ということを改めて認識させられました。

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本作発表前のパープルはジョン・ロード(Key)主導の時期もあり、一度ジョンの思い通りのアルバム(「Concerto for Group and Orchestra」)を制作した経緯にあるのですが、あのレッド・ツェッペリンの登場にリッチー・ブラックモア(G)が「これからはハードロックの時代だ」と提唱し、とにかく1枚だけそういったアルバムを発表しようと意図されて制作されたのが本作で、実際にこのアルバムを聴く限り、リッチーの選択は世のロック史上においても大正解だった訳で、一歩間違ったらロックの流れが変わっていたのかもしれません。

オープニングの①「Speed King」にはリッチーの一歩も後ろには引けないといった執念が感じられます。
なんだかエンディングみたいな激しいイントロに続き、静寂の間・・・、ジョン・ロードのクラシカルなソロ・・・、スピード・キングのメロディを弾いてます。
イアン・ギランのシャウト・・・、あとはハードロックの音の洪水ですね。私はイアン・ペイスのドラミングが大好きなんですが、やっぱりここでもスネアをリズミカルに叩いてますね。
間奏のジョンとリッチーのリードの掛け合い、これはZEPでは味わえないですね。

実は私は名曲③「Child In Time」が苦手でした。「Live in Japan」を購入した際に、常にこの長い楽曲は飛ばしていたんですよね。
パープルを初めて聴いたのが中学生(リアルタイムではありません)。「Deepest Purple」っていうレコードを毎日のように聴いていましたが、当時はハードな中にも親しみやすい楽曲ばかりを聴いていたので、「Child In Time」なんかは最も苦手とする部類の楽曲でした。
ところが今回リマスター盤を購入し、一番リピートしているのが「Child In Time」なんです。静と動がうまく織り成す素晴らしいハードロック。ビートルズの「へルタースケルター」辺りがハードロックの出発点だとすると、この「Child In Time」はハードロックの様式美をすべて備えた頂点に輝く楽曲かもしれません。
イアン・ギランという無名のシンガーが、一気にスターダムにのし上がった1曲。私が特に心震えるのはエンディングです。それまでの曲調を覆し、非常にスリリングな展開に・・・。イアンの官能的なヴォーカルは不気味でもあります。そして曲は異様な盛り上がりのなかで終わります。
アップした映像、上品な姿をした観客(なぜか子どもの姿も)が、あまりにも白けているのが気になります。こんなスゴイ演奏を目の前でしているのに、誰も手拍子も打っていない・・・。

④「Flight Of The Rat」は普通のハードロック・・・と思いきや、曲も4分45秒過ぎからのジミヘンばりのリッチーのカッティング。曲はまた最初へ戻りますが、またもやカッティングとそこに絡むイアンのドラム。
エンディングはイアンのドラムソロで終わります。いや~、イアンらしいドラミングです。

そしてオリジナルアルバムのエンディングは⑦「Hard Lovin' Man」。
これまたイントロからスリリングです。ここでもジョンのハモンドオルガンがいい味出してますね。リッチーのスピーディなギタープレイもカッコイイ。

恐らくこのアルバムの良さが理解出来ない方はボートラ的に加えられた⑧「Black Night」がイイ曲だと感じられるでしょう。でも私にはこのアルバムに加えられた「Black Night」の作りが、どうもこのアルバムには馴染んでいないように思えてなりません。だってあまりにも「Black Night」がポップでチープに感じられるので。「In Rock」に収録された楽曲はどれもスリリングで、勢いというか熱気というか、執念が感じられます。

ボードラで特筆すべきは「Speed King」のピアノ・ヴァージョンでしょうか。ピアノでこの曲を弾いても、しっかりといい味出してます。楽曲が秀逸なんでしょうね。

パープルってこんなに良かったのか・・・、と今更ながらに感激してしまいました。


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