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Whitesnake「Ready an' Willing」(1980)

私とホワイトスネイクの出会いは、当時私のアイドルだったコージー・パウエルが加入した「Slide It In」が最初でした。

今、思うと、本当のホワイトスネイクの良さは、それよりも前、先日亡くなられたバーニー・マースデン在籍時に発揮されていたと思っているのですが…。
そのバーニー・マースデン、彼のファーストソロも素晴らしい内容なので、いずれご紹介したいとは思ってますが、今回はバーニーを偲ぶ意味でも、バーニー在籍時のホワイトスネイクの最高傑作(と私が思っている)、サードアルバムの「Ready an' Willing」をご紹介致します。

プロデューサーはマーティン・バーチ。本作から名手イアン・ペイス(Ds)が加わり、これでついにデヴィッド・カヴァデール(Vo)、ジョン・ロード(Key)のディープ・パープル出身の3人が揃うこととなりました。ミッキー・ムーディ(G)、バーニー・マースデン(G)、ニール・マーレイ(B)、この6人の布陣が白蛇最強の時代であったと私的には確信しております。このアルバムはジャケットもカッコいい。

その最強白蛇集団の6人が繰り出した本作、トップ3曲があまりにも素晴らしいですね。
まずは白蛇の最高にハードポップな①「Fool for Your Loving」。デヴィッド、ミッキー、バーニーの共作。
ポップといっても白蛇らしく、ブルージーです。そしてイアン・ペイスの軽快なフィル・インも大好き。
本来はこの時代特有のブルージーなハードロックを奏でているスタジオ録音Verを聞いて欲しいのですが、ここはバーニーに敬意を表し、2013年のホワイトスネイクのステージに、バーニーがスペシャル・ゲストで参加した動画をアップしておきます。演奏自体はちょっとメタル的で好きじゃないんですが、愛らしいバーニーが楽しめます。
バーニーはあの「Slide It In」発表前に解雇されているので、てっきりデヴィッドとはあまり交流がないものと勝手に思ってましたが、ここでの映像を見る限り、そんなことも無かったんですね。
いや~、でもバーニー、太り過ぎだろ(笑)。実はデヴィッドとバーニーは同じ1951年生まれ。この映像のデヴィッドとバーニー、同い年には見えない。それでも太ったオジさんがギターを持つと豹変、実にカッコいい。しかもバーニー、他の若々しいメンバーに負けず劣らずギターを弾きまくってますね。ギターソロ、弾けるのか…と思ったら、それは全くの杞憂でした。

白蛇流ロックンロールの②「Sweet Talker」。デヴィッドとバーニーの共作。イントロからツインギターが心地いい。こうしたギターリフはミッキー・ムーディが作ったのかと思ったら、バーニーだったんですね。
イアン・ペイスのカウベルとか、ジョン・ロードのキーボード・ソロとか、楽曲は単純ですが、随所にいいアレンジ、いい演奏が効いてます。

アルバム・タイトル・トラックの③「Ready an' Willing」はメンバー6人の共作。白蛇お得意のブルージーなシャッフル・ナンバー。こうしたリズムワークは日本人には結構難しいですね。
ギターソロ前のサビの演奏が静かになるところとか、メリハリのあるアレンジは白蛇ならでは。サビのコーラス、そしてデヴィッドのセクシーなヴォーカル、彼等の持ち味が十分発揮されたナンバー。

ちょっとサザン・ロック寄りな⑥「Ain't Gonna Cry No More」はデヴィッドとミッキーの共作。
何も知らずにこの曲を聴くと、イントロはアメリカのバンドじゃないか…と思ってしまうのではないでしょうか。デヴィッドのブルージーなヴォーカルが入ると、直ぐにホワイトスネイクと分かりますが、この曲は当時の彼等の音楽的な進化がよく分かる1曲です。
当時のステージではバーニーがダブルネック・ギターでイントロのカッティングを弾いてました(恐らく12弦ギター)。そしてこの曲はミッキー・ムーディーのスライドが堪能出来る素晴らしい1曲でもあります。当時のホワイトスネイクの2人のギタリストは地味な印象ですが、2人とも職人気質で、デヴィッドとはウマが合っていたように思えますね。

②と同様にご機嫌なロックンロール・ナンバーの⑧「Black And Blue」はデヴィッドとミッキーの共作。
疑似ライヴですね。ローディが歓声を上げているらしい。②のバーニーが作ったロックンロールとはちょっと違う味付けのナンバーです。ジョンのご機嫌なホンキー・トンク調のピアノも心地いい。
エンディングで曲が終わったと思ったら、また始まる演出も素晴らしい。出来ればフェードアウトで終わってほしくはないんですけどね。

この後、ホワイトスネイクは「Come an' Get It」「Saints & Sinners」とブルージーなHRアルバムを発表していきますが、その後メンバーを一新し、全米進出を果たしたデヴィッドは商業的な成功を収めます。ただ、ジョン・サイクスを擁したメタル的なホワイトスネイクには、もはや「Ready an' Willing」のようなブルージーな様式美はなく、味気ない商業的ハードロックに聞こえてしまいます。


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