Queen 「Sheer Heart Attack」 (1974)
数年前に大ヒットした映画「ボヘミアン・ラプソディ」でクィーンを知った若い世代の方々も多いと思いますが、個人的には「やっぱりクィーンはパンキッシュだった初期がいいなあ」と思っちゃいます。
特にこのサード・アルバム、内容もさることながら、ジャケットがロックしていてカッコいい!
クィーンのアルバムジャケで、メンバー全員が写っているものは実はあまりなく、そういった意味では本作、ジャケ、内容とも素晴らしい作品です。
前作「QueenⅡ」から1974年2月にシングルカットされた「Seven Seas Of Rhye」がそこそこのヒットを記録した中で、本作はレコーディングを開始。前作発表から1年経過していない1974年11月に発表。クィーンの創造性が極まっていたことがよく分かります。
後に彼らは、①「Brighton Rock」と②「Killer Queen」でクィーンのすべてをやり尽くしたと語っていたような記憶があります。確かにこの2曲を聴けば、当時のクィーンの独創性がよく理解出来ると思います。
そのブライアン・メイ作の①「Brighton Rock」。最初の遊園地と思われるサウンド・コラージュは、この曲の持つハードなイメージとは対極なコラージュのような気がします。実際直ぐにブライアンの激しいギターカッティングが聞え、直ぐにロジャーのパワフルなドラミングがスリリングさを煽ります。フレディの裏声を使ったヴォーカル。タムやシンバルを華麗に駆使するロジャーのドラミング。とにかくこのファーストトラックはハードロックで、パンキッシュでありながらも、クィーンらしいハイトーンコーラスを交えたポップさも同居した、素晴らしい1曲。挨拶代わりの1曲としては、実にインパクトの強い楽曲です。
初期クィーンを代表する1曲となった②「Killer Queen」。ブライアンのハーモニーを効かせたギターソロはロックしていますが、やっぱりこの曲、聴いて直ぐにクィーンと分かるコーラスを効果的に用いた超一流のポップスと思ってます。アップしたTV番組出演シーン、確か映画でも「口パク」を嫌がったクィーンが登場してましたね。
③「Tenement Funster」~④「Flick Of The Wrist」~⑤「Lily Of The Valley」はメドレー形式で繋がってます。それぞれの楽曲はタイプが違うし、③はロジャー、④⑤はフレディの作品と、そもそも作者も違うのですが、一気に違和感なく聴かせてくれます。この後に続くロックチューンの⑥「Now I'm Here」まで踏まえると、このA面の楽曲の配置は絶妙だし、クィーンのセンスを感じます。
この⑥「Now I'm Here」も単純なロックンロールなんですが、高い演奏力と効果的なコーラスが、並みの楽曲ではない、カッコいいクィーン流のロックンロール・ソングに仕立ててます。アップしたライブ映像、超カッコいい!!!
⑦「In The Lap Of The Gods」は、エンディングの⑬「In The Lap Of The Gods...Revisited」とセットと考えると、実はこちらも両曲に挟まれたパッケージ(B面)として、完結した作りなんですよね(⑦⑬はタイトルは同一でも曲は違います)。
この曲は何と言ってもイントロの絶叫、超ハイトーンの金切り声(笑)。間奏でもこのハイトーンは聴こえてきます。もちろんロジャーですね。アップしたライブ映像には、しっかりロジャーが歌っていることが確認出来ます。ただし流石にイントロの絶叫はなし(笑)。1分45秒くらいから見てください。
これに続く⑧「Stone Cold Crazy」、これは珍しくメンバー4人の共作。超パンキッシュな1曲。ひょっとしたらクィーンの全作品の中でも、一番スピーディーな楽曲なのではないでしょうか。
ジョン・ディーコンが初めてバンドに提供した楽曲の⑩「Misfire」。アコギはジョンが弾いています。ジョンの楽曲って、非常に親しみやすいものが多いんですよね。この曲も明らかに他の楽曲とは異質。次作「A Night at the Opera」からのファーストシングルは、ジョン作のポップな「You're My Best Friend」でしたが、映画の中でもフレディが「ボヘミアン・ラプソディ」を推していたのに、レコード会社の社長(だったかな)が「You're My Best Friend」で行く!と言っていたのが印象的でした。
クィーンらしいボードビル・ナンバーの⑪「Bring Back That Leroy Brown」。フレディの趣味でしょうかね。彼らの演奏力とポップセンスが堪能出来るナンバー。個人的にかなり好きな1曲なんです(笑)。ジム・クロウチが「Bad, Bad Leroy Brown」をヒットさせたのが1973年なので、それと関係あるんでしょうね。
前掲でご紹介した⑬「In The Lap Of The Gods...Revisited」、実はこのナンバー、「We are the champions」 がコンサートの最後の定番になるまでは、こちらが定番ソングでした。一緒に歌いたくなる名曲。
聴けば聴くほど味のあるアルバムです。初期の名作ですね。この後、「オペラ座の夜」を発表し、更にクィーンは次のステージへと飛躍していきます。