Procol Harum「Broken Barricades」(1971)
ここ1か月程、仕事でバタバタしていたのですが、ようやく落ち着いてきました。そんな中でも音楽はしっかり聴いております。
ここ最近は、思いついたようにプロコル・ハルムを聴いてました。
プロコル・ハルムというと「青い影」ですよね~。でも実際は1967年に発表されたデビューアルバム「A Whiter Shade Of Pale」の中の「青い影」はちょっと浮いた感じです。彼等の音楽の本質は多様な音楽性にあったりするんですよね。
デビュー曲「青い影」でフューチャーされていたオルガン、そのオルガン奏者のマシュー・フィッシャーが1970年に脱退、ベースにクリス・コッピングが加入し、ゲイリー・ブルッカー、ロビン・トロワー、B.J.ウィルソン、そしてクリス(に作詞者のキース・リード)の演奏者4人の体制になり、結局、プロコル・ハルムは前身のR&Bバンド、パラマウンツのメンバーに体制が戻り、音楽性にも更に幅が広がった感じです。
ただし今回ご紹介する5枚目のアルバム「Broken Barricades」はロビン・トロワーの音楽嗜好が全面的に表れたハードロックなアルバムです。
プロデュースはクリス・トーマス。ジャケットからして重たい雰囲気。そうです、このアルバム、かなりヘビーな曲が収録されてます。
まずはロビン作の③「Memorial Drive」を聴いて驚いて下さい。
激しいギターのリフ。これは間違いなくハードロックです(笑)。ジミ・ヘンドリックスのフォロワーとして有名なロビンですが、プロコル・ハルム時代にここまでロックしていたとは知らなかったです…。ここでのヴォーカルはゲイリー・ブルッカー。間奏のゲイリーのピアノソロもしっかりロックしてます。ジミー・ペイジがZEPのドラマーにと考えていたB.J.ウィルソンのドラミングがロックしているのは理解出来ますが、意外とゲイリーもロック好きだったりするのかなと思わせる1曲。
本アルバムは全8曲中、3曲がロビン作、残り5曲がゲイリーの作品ですが、ゲイリーの作品でもロック色の濃い楽曲がオープニングナンバーの①「Simple Sister」。
ロビンは本作発表後に直ぐに脱退し、代わりにギターにデイヴ・ボール、ベースにアラン・カートライトが加入し、ベースのクリスはオルガンに専念といったメンバー変更があったのですが、アップしたスタジオ・ライブ・バージョンはこの時のメンバー。
この曲もイントロから激しいギターリフが…。ロビンのプレイでないのが残念ですが、デイヴもなかなかのプレイを聞かせてくれてます。プロコル・ハルムの熱い演奏が素晴らしい。
ゲイリー作の④「Luskus Delph」が一番皆さんが考えているプロコル・ハルムの音楽に近い楽曲かもしれません。
クレジットはありませんが、メロトロンが使われているような気がします。ゲイリーらしい美しいメロディですね。
ゲイリー作の⑤「Power Failure」はめちゃめちゃカッコイイナンバーです。イントロからB.J.ウィルソンの強烈なドラムが堪能出来ます。しかも間奏では彼のドラムソロが炸裂。ロビンの作品でないのに、こちらもかなりハードロックしてますね。この演奏にはオルガンが加わっていないので、よりハードなアレンジとなってます。
⑥「Song for a Dreamer」はロビンがジミ・ヘンドリックスに捧げたナンバー。
ヴォーカルももちろんロビン。それにしてもここで聞かれるギター、後期ジミヘンのギターにソックリ。かなりサイケしているアレンジですが、非常に不思議な雰囲気のナンバー。ジミヘンのナンバーにもこういう曲がありますね。ここまで来ると、もうプロコル・ハルムではありませんね(笑)。
ということでロビン・トロワーは1971年7月にプロコル・ハルムを脱退します。ジミ・ヘンドリックスが1970年9月に亡くなり、ロビンはジミからの影響度合いを更に深めていき、「Song For A Dreamer」へ行きついたわけですね。
ちなみにその後のロビンの、ジミヘンばりの演奏をお聞きください。これはやっぱりプロコル・ハルムを脱退して正解ですね。
一方のプロコル・ハルムもライヴアルバムを1枚挟み、1973年に名作「Grand Hotel」を発表するに至ります。こちらもいずれご紹介したいですね。