
いつも見る夢のはなし
こんにちは、ゆのまると申します。
今回は、初恋の人が夢に出てくるというお話です。
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皆さまは、いつも見る夢だったり、同じ人が夢に出たりといったことはありますでしょうか?
私の場合は、初恋の人。それも、最後に話したのは十数年以上前の、です。
彼――『もののけ姫』のアシタカに似たイケメンだったのでアシタカとします――とは、保育園から高校まで一緒でした。もう少し親密な仲だったら、幼馴染といえたと思います。
私自身は覚えていないのですが、幼稚園の頃まではアシタカに好かれていたらしいのです。しかしその年頃の男の子にありがちの好きな子をいじめちゃうタイプで、いつもいじわるしてくるので苦手でした。
その後小学校も高学年になって好きな子のひとりやふたり出てくる時期になり、ふと周りを見渡してみると「あれ?アシタカって結構かっこよくない?」と気付きます。
今は違うのかもしれませんが、小学生の頃って足が速いだけでモテたりしますよね。顔が良くて足も速くて勉強もできて背も高い、そしてついでにムードメーカー。まだアシタカもわんぱく坊主だったので苦手という女子も多かったのですが、真面目でおとなしかったゆのまるちゃんは、密かな好意を寄せるようになりました。
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中学生になると同級生も増え、アシタカはスクールカースト上位の女子に囲まれて、すっかり遠い存在になってしまいました。
帰り道は同じだったものの、彼はいつも友達に囲まれていたし、部活もあったので帰りが一緒になることもほとんどありませんでした。
そんななか、数少ないチャンスがテスト期間中。
部活もお休みで下校が重なるチャンスが多く、そして私もアシタカもお勉強はできた方なので、テスト範囲や結果のことで話しかける機会がありました。というか話したいがために勉強を頑張っていただけなんですけどね。我ながら健気。
バレンタインチョコを渡したくて友人に頼んでみたり、アシタカの家の周りをうろうろしたりもしましたが、特に進展はなく。高校も同じところに行けたものの、文理選択でクラスが離れ、そしてその頃には彼は手の届きようもない人気者になっていたため、何もないまま高校卒業を迎えてしまいました。
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その後のチャンスといえば、成人式後の同窓会。
その頃は私も少し身だしなみを覚えて恋に浮かれる時期でしたので、気合いを入れて同窓会に臨みました。
友人と談笑しながら、視線はちらちらと会場の入り口へ。早く姿が見たいような、ずっと来ないでほしいような、複雑な気持ちでした。
そして会場がひと際ざわめいた時。入り口を振り返った私は、そのまま固まってしまいました。
……か、かっこよすぎないか?
東京の私大に進学したと聞いていたアシタカは、田舎の高校生からすっかり垢抜けて、ますますかっこよくなっていました(※つよーい初恋フィルターがかかって見えています)。
話しかけるどころか近づくことさえもできず、これでもう関わることはないんだと思った同窓会でした。
ところが。
このSNS時代、繋がろうと思えば繋がれるもので。
同窓会以来、数年ぶりに中学時代の友人とごはんを食べに行った時のこと。卒業して随分経つのに未だに夢に見るんだと話すと、「任せて!」と友人がつてを頼って連絡してくれ、あれよあれよというまにアシタカのIDをゲットすることに成功してしまいました。
夢にまで見たアシタカの連絡先。親指一本で繋がることができてしまうなんて、なんて恐ろしく便利な時代。
おそるおそるメッセージを送信し、やりとりが始まりました。それこそ、夢のような数日間でした。
あぁこのまま憧れの人と、生涯を添い遂げることになったらどうしよう。
まだ「仕事何してるの?」くらいのことしか聞けていないのに、妄想は膨らむ一方でした。
しかし、送信してから数日経ってやっと来たメッセージをわくわくしながら開いたとき、ふと我に返りました。
いくら夢にまで見る人とはいえ、もう15年近く話したこともない。何をしてきたのか、何が好きなのかも知らない。そんな人を、今でも好きになれるのか?
その時点ですっと熱が冷め、そしてもともと筆まめでないタイプなのか、相手が私だからなのか、その判断すらもつかないままにアシタカとの一時の交流は終わりました。
それがきっかけで真剣交際を始めた相手が夫になるのは、またいつかのお話で。
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というわけで、今では未練も何もありません。なのに、それでもたまに夢に出てくる、アシタカ。
それも不思議なことに、毎回毎回告白する直前で終わってしまうんです。学校だったり修学旅行先だったり、シチュエーションは様々なのですが。いつも秘めた想いを伝えようと決心したその瞬間に、目覚めてしまう。
心のどこかに好きな気持ち(顔が好きなだけだと思いますが……)が残っているというなら、それはそれでいいです。だからそろそろ、少女の恋物語を完結させてくれ。
いつかこの執着が実を結ぶことはあるのか。続きはいつかの夢の中、ということでしょうか・・・。
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