手放すか迷っているもの
皆さんこんにちは、ゆと申します。
皆さんは、毎月どのくらいの書籍を購入していますか?
電子書籍もすっかりメジャーになりましたが、私は気に入ったものは手元に置いておきたいタイプなので、漫画ばかりですが毎月5冊くらいは購入しています。
定期的に本棚を眺め、本当に好きな作品ばかりを残すようにしているのですが、今そのボーダーライン上で残すか手放すか迷っている漫画があります。
それは、『あせとせっけん』という作品です。
現在週刊モーニングで連載されていますが、今年の10月以降の内容は読んでいませんし、今の自分には合わなくなってしまったという記事ですので「大ファン!欠かさず読んでいます」という方にはおすすめできません。ブラウザバックをお願いいたします。
私が『あせとせっけん』と出会ったのは、ちょうど連載が開始された頃でした。
「えっちだ……」それが第一印象でした。
化粧品&バス用品メーカーの経理部に勤めるOLの麻子さんは、自社製品の大ファンであるものの重度の汗っかきなことがコンプレックス。学生時代にそれでいじめられたことがあり、デオドラント製品が手放せない生活を送っていました。
そんなある日、商品開発部の名取さんに「君の匂いからインスピレーションを得た!新商品開発のために匂いを嗅がせてください!」と言われてしまい……というストーリー。
はじめは新しいせっけんのために交流していたふたりですが、やがて惹かれあうようになり、すれ違いやケンカも乗り越えながらふたりの時間を過ごしていくこととなります。
正直、下心丸出しで読み始めたのですが、山田先生の丁寧なストーリー展開と心理描写にすっかり夢中になってしまい、そして何より当時の自分の状況と重なる部分がとても多くてお気に入りの作品でした。
ちょうどこの連載が始まった頃に私も交際を始めたのですが、とにかく自分に自信がなくて、でもパートナーはそんな自分がいいと言ってくれて、少しずつ自分のことを好きになることができて。
「麻子さんは私だ!」と何度も思ったものでした。
ストーリーの展開も現実の自分とリンクしているかのようで、私たちが物件探しをしている時には内見の日に更新された最新話で麻子さんたちも内見に行くという偶然もありました。
すれ違いの末にきちんとお互いに気持ちを伝えあったり、無事に両家挨拶が終わったりしたときには、リアルの友人のように良かったなぁと思ったものでした。
普段、フィクションはフィクションと区別しているのですが、自分とリンクする部分がありすぎたのかもしれません。だんだんと、気になる部分が出てくるようになってきました。
かつてのいじめっこに遭遇したことでトラウマが呼び出されてしまって、一週間も名取さんに他人行儀な態度を取ってしまったり。
街中の親子連れを見て自分たちと重ねてみたり。
決定的だったのは、結婚式の打ち合わせの際に名取さんに事前の相談なく「ウエディングドレスを購入したい」と言ったことでした。
費用は?置き場所は?という問題もありますが、ずっと汗っかきということでいじめられていたのにウエディングドレスには強い憧れがあったのか?というところで違和感を覚えてしまったんですよね。
私自身、見た目にコンプレックスがあって「結婚式は挙げたくない」「ウエディングドレスなんて絶対着たくない」と思っていたので、真逆の麻子さんを見て理不尽に冷めてしまったというか……。
このお話が掲載されたのが私が精神的に一番参っていた時期で、幸せな姿を見るのがつらいという完全に個人的な理由もありました。
ウエディングドレスを購入したい麻子さんの気持ちを読んでみれば印象も変わるかもしれませんし、なにより今どのようにお話が展開されているかもわかりません。
私自身、漫画や小説にはあまり共感せずに接してきたので、こんなにも漫画のキャラクターを身近に感じることも、展開ひとつでもう無理かもと思ったこともほとんど初めてでした。
最近の不倫ブームといいますか、素直にキャラクターを応援することが難しい作品が増えている中で、丁寧にふたりの恋愛から結婚までを描いた素敵な作品だと思います。
でも、今の自分には合わなくなってしまいました。
漫画も映画も、そのときの自分のコンディションやどんな経験をしてきたかで受け取り方が大きく変わってきます。
”今”はだめでも、少し先にはどう変わっているかわかりません。
しばらくは保留ボックスに入れておくことにしたいと思います。
今回はここまで。もしこの作品を好きな方で、不快な思いをさせてしまったら申し訳ありません。コンテンツに触れるときに大事なのは嫌いだからと攻撃するのではなくて、「not for me」の姿勢だと思っています。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。