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本棚が女の子まみれになるまでを振り返る

こんばんは、ゆと申します。

毎月18日は『コミック百合姫』の発売日。百合姫関連の告知ツイートをずっと見ていたらなんだかゆりゆりしてきたので、私と百合について勝手に振り返ろうと思います。

リアルな描写はありません。フィクションの女の子やわらかくていい匂いしてかわいいくて綺麗だよねって言ってるだけの記事なので苦手な方はお気をつけください。同性婚がどうとかそんな話も一切しないよ創作の話ですご注意。


きっかけは『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』

まず、百合とはなんぞや、って人はここから下は読まないと思いますが、解釈が違うと戦争が起きてしまうので念のため。 

私の中で一番しっくりきている「百合」の定義は、『百合の世界入門』さんで書かれていた「女の子同士の特別な関係」を題材にした作品、です。

私自身どのレベルのオタクかをざっくり話しますと、小・中でジャンプとサンデーを読み始めて夢小説にどっぷりハマり、BLも少し触れましたがなんとなく合わず。自分で創作したりはせず、漫画やアニメは気になれば追うくらいのぬるーいオタクです。

そんな私が「百合」という概念を知ったのは大学生の頃。当時は、「百合」といえば”お姉様と秘密の花園”みたいな禁忌で甘美なイメージが強く、特に作品に触れたりといったことはありませんでした。BLがだいぶ広まってきていたけど、女の子同士はさらにシークレット、うかつに足を踏み入れてはいけない聖域、みたいな。


そこから時は流れて20代半ば。4年付き合っていた恋人と別れ、人恋しさでどうしようもなくなっていた時に書店でたまたま見つけたのがこちら。

目を引くピンクの表紙と、”レズ風俗”というタイトル。実家を出てどんなセンシティブなタイトルの本でも買えるようになっていた私に怖いものはありませんでした。

正直下心満々で読み始めたのですが、実際の中身はというと「親のごきげんをとりたい私」の要求で動いてきたために生きづらかった作者が「自分で自分を大切にしたい」と気付きレズ風俗に行く、というもの。特にフリーハグでいいからハグされたい、のくだりに共感しすぎて隣の抱き枕に抱きついてもだもだしてました。

元恋人とは遠距離だったのもあって、圧倒的ふれあい不足でした。

誰でもいいから抱きしめてほしい、できればやわらかくて綺麗なお姉さんに。

私もそう思ってGoogleのシークレットモードで「レズ風俗 関東」と調べてみたりもしました。が、金銭的なあれこれがあって実行には至らず。

女性同士の関係は、お姉様で、スールで、秘密の花園で禁断で。

そんなふうに思っていた”女性同士”というコンテンツが、意外と自分の身近にもあるのかもしれない、と思った出来事でした。


しかし当時は、社会人百合の傑作『2DK、Gペン、目覚まし時計』の1巻をおそるおそる買ってみたり、『柚子森さん』を読んでおねロリというジャンルを知って衝撃を受けたりしたのですが特にその後には至らず。引越しの際に他の本と一緒に売ってしまったのでした。


沼の住人からの誘い

上記のことがあって半年後。再び百合本に触れる機会ができました。

きっかけは、旦那氏。彼は、百合男子だったのです。

旦那氏の家に入り浸るようになった私は、だんだん本棚にあった百合本を読み漁るようになりました。

主に2000年代後半に発行されたものが多く、『純粋アドレッセンス』だとか『ふ~ふ』だとか、純粋な恋愛模様から、ドロドロで思わず目を背けてしまうくらいエロティックなものまで。感動したりビックリしたりしながら、気付かないうちに百合沼にずぶずぶと入り込んでいったのでした。

この時期に読んだもので特に印象深いのは、森永みるく先生の『GIRL FRIENDS』と志村貴子先生の『青い花』。いずれも名作中の名作ですね。

ガルフレは昔読んでいた少女漫画の雰囲気に近く入りやすかったのと、純愛えっちなバランスが絶妙で旦那氏の本棚の中では一番のお気に入りでした。

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(余談ですが、デジタルカードゲームの『ハースストーン』にハマっていた頃にこのページを読んだせいで、今でも「ハースストーン」にしか見えない呪いにかかっています)

そして『青い花』はお嬢様学校が舞台で幼馴染の女の子ふたりが主人公という、”私の好きはこういうことをしたい好きなんだよ”を描いたザ・王道百合といった感じで雰囲気が大好きでした。志村先生のシンプルなタッチで描かれる繊細な描写がたまらないんですよね……。もともと鎌倉が好きというのもありましたし。


王道の傑作百合作品は大体彼の本棚に見つけたのですが、彼自身がもう長いこと別の趣味に夢中なこともあり、新しく刊行された百合作品はあまりありませんでした。また学生モノが多く、別の関係性も読んでみたいなぁと思っていたある日、私はとある雑誌に出会います。


『百合姫』との出会い

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仕事終わりに立ち寄った書店で、たまたま見つけたのがこのフライ先生のイラストが表紙の『コミック百合姫』。

その少し前にちょうどフライ先生を知っていたことと、『百合姫』というそのものズバリなタイトルを見つけて、やたら興奮したことを覚えています。というかこのイラストが本当に大好きでショートの子の触れそうで触れない右手がたまらないですよね最高。

とはいえ、掲載されている作品は初めて読むものばかり(週刊誌とか月刊誌を途中から買うあるある)。『百合姫』というレーベルを知った私は、書店に行くと毎回この棚を見に行くようになりました。


自分で百合を集め始めた当初は、とりあえず気になる作家さんを見つけよう、ということでアンソロを中心に買っていました。ちょっと記憶があいまいですが最初に購入したのは確か『ショコラ②社会人百合アンソロジー』(書店に2巻しかなかった)。


それから百合姫ではないですが、こちらもフライ先生が表紙を担当されていた『シロップ』シリーズもお気に入りでした。森倉先生が描かれている[PURE]の表紙が特に大好きです。

(帯は「10年先も、ずっと好き。」)


その中で知ったのが伊藤ハチ先生と岩見樹代子先生。

ハチ先生はよくケモミミ幼女とお姉さんを描かれるのですが、幼女にケモミミ。かわいくないはずがない。なんなら普通に人間の耳もついているのですが、いいんだよかわいいから。『ご主人様と獣耳の少女メル』はずばりタイトルが示すとおりご主人とメルちゃんの関係が愛おしいし、『月が綺麗ですね』は各巻表紙の色使いがとても素敵です。

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また、長期連載だとほんわかした世界観が多いのですが、読み切りのちょっぴりダークな世界も魅力です。砂糖菓子ふわふわなおねロリもいいけど、ほんの少し陰のある関係性もやはり良し。


岩見先生はというと、とにかく泣いた女の子を描くのがめちゃくちゃ上手。

もちろん女の子にはいつだって笑って幸せでいてほしいのですが、岩見先生の描く涙は綺麗で繊細で壊れてしまいそうで、本当に好みです。

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そして以前はピンとこなかった『2DK、Gペン、目覚まし時計』も読み直しました。8巻とわりと長めなのに、かえちゃんと奈々美の関係性の変化が丁寧に描かれていて読み応え十分。ストーリーのある百合を楽しみたい時に、今でも読み返しています。

私が社会人百合で一番オススメしたいのが、犬井あゆ先生の『定時にあがれたら』。犬井先生は『百合姫』でエッセイも連載されています。

『定時にあがれたら』は、書店で表紙買いしたものなのですが、絵のタッチもストーリー展開もほっこりする温かさがあってとっても素敵。髪型や洋服、アクセサリーもこだわっていて綺麗でかわいいお姉さんを眺めることができます。次回作も楽しみ!


あなたにはあなたの百合がある

長々と私の好きなものばかり書き散らしてきましたが、そろそろまとめのようなものを。

「百合の良さってなんだろう」と考えた時に、ものすごく単純ですが私は「綺麗だから」と答えます。

だって女性の姿かたちの造形って、改めて考えるまでもなくとっても美しいと思うんです。女性はいつだって綺麗でいなくちゃいけないのかとかそんな面倒くさいことは置いておいて。


私が百合作品に対して以前抱いていた”女性同士ならではの背徳感や秘密主義”というバックボーンが、だいぶ薄い作品が多くなったのではないかと思います。私がそういう作品ばかり選んでいるからなのか、流行の移り変わりなのか分かりませんが。

だから「私たち、女同士なのに……」という葛藤にあまりページを割くことなく、ただ純粋にふたりのやり取りや、もっと違う心の動きを描くことができる。もちろんすべての百合作品に触れることはできないので、伝統の、といいますかそうした感情をベースにした作品も、今なおあることと思います。

かわいい女性と美しい女性(あるいは、かわいいとかわいい、美しいと美しいetc)が、お互いにお互いを特別に扱うところを垣間見ることができる。なんて素晴らしいんでしょうか。


私がモットーにしているのは、「あなたにはあなたの百合がある」です。オタク趣味、というか趣味全般にいえることですけどね。

私も旦那氏も百合好きですが、私には彼の好みが全く理解できませんし、逆もしかり。でもそれはそれでいいんです。自分が好きな関係性を見つけて、勝手に部屋の隅の植木鉢になればいいんです。沼に引きずり込むのは結構ですが、好みの押し付けも、相手の好きを否定することもしてはいけません。まだまだ、百合好きを名乗るには熱意も量も足りないかもしれませんが、これからも私は私なりに彼女たちの眩しい姿を、そっと見守りたいと思います。


長々と読んでくださりありがとうございました。百合はいいぞ。

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(旦那備考)
僕は「ささめきこと」が好きです。人には人の百合がある。





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箱崎ゆのまる
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