ASKA premium concert tour-higher ground-アンコール公演@神奈川県民ホール(2022.1.30) さらなる高みのその先に…(完全ネタバレ)


もう2年前になるのか…

この神奈川県民ホールで観たASKAさんのライブ-higher ground-。その「アンコール公演」と銘打たれた今回のツアー、以前とは違うライブの形が定着しつつある中で、さらなる高みのその先に見えたものは…(今回は初日の府中と神奈川県民ホールの公演、さらにその配信ライブを見て、レポをまとめてあります。ツアーは始まったばかりですが、配信もされた事でネタバレ記事を公開しますが、配信を見ずにこれからツアーを見る方はネタバレにお気をつけください)

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会場の神奈川県民ホール。今回のツアーは初日の府中に続いての参加です。

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この先はセトリ・演出等完全ネタバレになっておりますのでご注意ください!




OPENING 「Breath of Bless」(2019年・ソロ:SG「歌になりたい」収録)

このツアーが20年ぶりにASKAバンドへの参加となる是永巧一さんアレンジの「Breath of Bless /Learn to fly」のショートバージョンか?是永さんのギター一本で始まる旋律に思わず背筋が伸びる。これから始まるライブの世界に一気に引き込まれる。

①「塗りつぶして行け!」(2017年・ソロ:配信SG「塗りつぶして行け!」収録)

意表を突いた幕開けAL「BLACK&WHITE」に先駆けて配信リリースされたこの曲はライブでは初披露。ライブ前にセットリストを予想する人は結構いると思うが、この曲を一曲目に挙げた人は少ないのではないか。歌詞をあらためて見てみると、閉塞感を感じる昨今への挑戦状の様。

②「着地点」(1997年・ソロ:SG「ONE」収録)

ソロライブではお馴染みのナンバーと思っていたが、最後にライブで歌われたのは2010年の東京厚生年金会館の10DAYS以来。1999年のカウントダウンライブで散文詩の後に披露されたイメージが強烈に残っているからか。ロック色強めのスタートとなった。

③「幸せの黄色い風船」(2020年・ソロ:配信SG「幸せの黄色い風船」収録)

コロナ禍以降になって、配信リリースされた曲。幸福感に包まれる曲。不安な事だらけだった当時に気持ちを落ち着かせてくれた曲。王道のポップチューン。

MC

④「笑って歩こうよ」(2021年・ソロ:SG「笑って歩こうよ」収録)

昨年シングルリリースされたバラード曲。どこか懐かしい素朴な音があたたかい。聴けば聴くほど好きになる曲。あたたかい空気のまま次の楽曲へ。

⑤「僕のwonderful world」(2020年・ソロ:配信シングル「僕のwonderful world」収録)

美しいストリングスで始まるこの曲は前回のツアーの後にレコーディングされていて、明らかにこの形でのツアーを意識している楽曲。なんとなくクリスマスの景色が浮かぶ。

MC

⑥「not at all」(2001年・C&A:AL「not at all」収録)

「わりと人気ある」と紹介されたチャゲアスの後期の代表曲と言っても過言ではない曲。今のこの状況では当時とは違う意味を持つ歌詞だが、今歌うべき意味を持つ曲の一つだろう。

⑦「NO PAIN NO GAIN」(1995年・C&A:AL「Code Name.1 Brother Sun」収録)

昨年のオンラインライブで披露されたが、その時が「電光石火ツアー」以来。前回のツアーで「BIG TREE」が歌われた時と同じ衝撃だった。今のASKAが自分に向かって歌っている様な「まだまだ僕は ダメにはならないさ」。
「痛みなくして得るものはない」
戦い続ける人達への応援歌。

⑧「草原にソファを置いて」(1997年・ソロ:AL「ONE」収録)

昨年からスタートしたCHAGE and ASKA、そしてASKAソロの楽曲にフォーカスしているラジオ「Terminal Melody」。この番組でかかった事から今回選曲されたというこの曲(初日MCより)。ASKA得意のスケール感を感じる曲。個人的には大好きなアルバム「ONE」の中でも一番好きな楽曲だが、あまり存在感がないのは何故だろう。今回歌われた事で再評価されてほしい。

この3曲は本編最後に歌われるタイプの楽曲。この3曲を中盤に持ってくる辺りが今回のツアーの強さを感じた。

⑨「ID」(1997年・ソロ:SG「ID」収録)

リリース当時はそれまでとは全く違う雰囲気の異色のシングルで賛否分かれた曲だが、あらためて聴くとこんなにカッコいい楽曲なのか!と思う。ライブで歌われる事で成長し続けた楽曲。混沌とした感じが今の時代にマッチしている。

⑩「PRIDE」(2021年・ソロ:SG「PRIDE」収録)

昨年ソロ名義で新たにレコーディングされたチャゲアス不朽の名曲「PRIDE」。個人的にはこの曲はCHAGE and ASKAの特別な曲であって欲しかったと思うが、今のASKAが歌う説得力もあり、シングルは全くの別物として捉えようと思っている。しかし、この日はこの曲で2箇所歌詞間違いが…

⑪「歌になりたい」(2019年・ソロ:SG「歌になりたい」収録)

復帰後のASKAの代表曲であろう「歌になりたい」。ライブで無限の力を感じさせる曲。この曲が歌われている時は会場の空気というか空間そのものが変わる様に感じられる。歌の世界に会場が丸ごと包まれて異世界にいる様な感覚を覚える。

休憩タイム・メンバー紹介

今回はご時世で「もぐもぐタイム」も「質問コーナー」もなく、ASKAさんがメンバーに語りかける時間に。ここだけの話的に言ってたけど、見事に配信で流されるというね 笑
イヤモニがハマり、PRIDEの間違えた部分の歌い直し。
歌い直しにすぐに音を重ねるストリングスチームが素晴らしかった。

メンバー紹介ではSATOKOさんへの拍手が感動的でASKAさんの紹介も小声で「菅沼…」と言ってからの「SATOKO!」
受け継がれていくよね。
SHUUBIさんの結婚報告もあり、あたたかいメンバー紹介だったな。

さあ後半戦へ

⑫「はじまりはいつも雨」(1991年・ソロ:SG「はじまりはいつも雨」収録)

定番中の定番。この曲のイントロが流れると会場が安心感に満たされる気がする。休憩タイムの最後のMCで??になった空気がライブモードに戻った感じだった。

SPECIAL DRUM SESSION
菅沼孝三✖︎SATOKO

初日、ここで号泣した。映像に映し出された菅沼孝三さんとSATOKOさんのDRUM SESSION。SATOKOさんは今回のツアーに本当に全身全霊、全ての事を掛けて臨んでいる、そんな覚悟が見られた見事なSESSION。絶対に天国の孝三さんに届いてただろう。

⑬「なぜに君は帰らない」(1993年・C&A:SG「なぜに君は帰らない」収録)

初日から曲の位置が動いた曲。菅沼さんのドラムの映像の後に入ると意味合いが違ってくる。もちろん当時のツアーのドラムは孝三さんだったから。ここからASKAさんのギアが一気に上がり、会場の空気も一変する。楽曲の持つ力の強さを感じた。

⑭「じゃんがじゃんがりん」(2020年・ソロ:AL「Breath of Bless」収録)

「Breath of Bless」が発売された当時が、コロナ禍が始まった頃。この歌の歌詞が怖いくらいマッチしてた。この曲もこの世界で歌う意味がある曲。

⑮「百花繚乱」(2020年・ソロ:AL「Breath of Bless」収録)

前回ツアーで初披露された「百花繚乱」。とにかくライブ映えする曲。曲終盤にストリングスチームからメンバーが前に出てきて弾く場面、SHUUBIのコーラスもあいまって、妖艶さが感じられる。

⑯「higher ground」(1999年・C&A:AL「no doubt」収録)

前回ツアーと同じ流れ。ASKAがずっと体験してきたであろうネット社会のおそろしさに対する警鐘。スリリングな展開を見せるライブがまた次の曲で空気が変わる。

⑰「月が近づけば少しはましだろう」(1995年・ソロ:AL「NEVER END」収録)

ソロの不動の人気曲。ASKAの生き様が感じられる曲。この曲はライブで歌われる事でより一層心に響くのは、生身のASKAを感じられるからだろうか。

⑱「僕の来た道」(2012年・ソロ:AL「SCRAMBLE」収録)

こちらも今歌われるべき曲はなんだろう。色々なものと戦い続けるASKAの原点は少年時代にあり、そこから変わっていないんだろう。ASKAの中に強さと危うさを常に感じるからこそ、魅力的なんだろうな。

⑲「We Love Music」(2020年・ソロ新曲:AL「Breath of Bless」収録)

前回ツアー同様本編最後は「We Love Music」。ライブを通して音楽の力を感じ、それを最後に浴びせられる様な感じ。一緒には歌えなくてもクラップで応える客席。会場を一つにする曲。

アンコール

MC 
歌声が聴こえないのがもったいない。偽らざる本音だろうな。

①「パラダイス銀河」(1988年・光GENJI提供曲セルフカバー)

初日はまさに「サプライズ」だった、光GENJIへの提供曲のセルフカバー。ソングライターとしてASKA(飛鳥涼)の懐の深さを感じる楽曲。時を超えてあらためて聴くと楽曲、そして歌詞の素晴らしさを再認識できる。ヒットするべくしてヒットした曲だろう。

②「WALK」(1989年・C&A:SG「WALK」収録)

前回ツアーの「BIG TREE」同様にファンに愛されてる楽曲「WALK」。この曲も久しくライブでは歌われておらず2010年の東京厚生年金会館10DAYS以来との事。この曲は最高のラブソングと思っているが今回のツアーの文脈でアンコールのラストに入ると、歌われている「君」は個人へのラブソングではなく、「君」=「音楽」・「ライブ」という感じがした。不要不急と言われる音楽やライブやエンタメ。それでも人には絶対に無くてはならないもの。前回のツアーレポで書いた「音楽の伝道師」としての矜持が感じられた圧巻のパフォーマンスだった。今まで聴いた「WALK」の中で一番響いた。

エンディング、SATOKOさんをやさしく抱きかかえ包み込むASKAさん。美しいよね、優しさって。

初日に特に感じた事だが、今回のMVPは間違いなくSATOKOさんだった。父の遺志を引き継ぎステージに立つ事、恐ろしい重圧との戦いだったと思う。初日の終演後に立っていられなくなるんじゃないかという程の号泣。達成感もだろうけど、きっと安堵の気持ちがおおきかったのではないか。本当にお疲れ様。そしてありがとう、SATOKOさん、孝三さん。

今回2公演を観て思った事だが、もちろん素晴らしいライブであった事は大前提としてだが、個人的には前回のツアーの完成度・感動には及ばなかった。前回が本当に素晴らしすぎたという事もあるが、それは新しいライブスタイルに対するASKAさんの慣れなさからくるところが大きいかなと。特にMCではチャゲアスの時は主にCHAGEとそしてソロではお客さんとの掛け合いで成り立っていた事を痛感させられた。前々回の「もぐもぐタイム」や前回の「質問コーナー」などが最たるものかと思うが、やり取りの中で生まれる面白さが持ち味なのかなと。なので、空回りしている様に感じられてしまった。

そして、もちろんそれは演奏の部分にあっても感じられた。お客さんの歓声や歌声をさらに上回ってやろうという、ある種の決闘の様な側面がASKAのライブを「更なる高み」へと導いていたのであろう。観客とともにライブは作られて行く、それを大切にしてきたからこそ、今の形になっての気負いや違和感が強かったのだろうし、その中で生まれてしまった空回り感が「PRIDE」「We Love Music」や「パラダイス銀河」などの肝になる部分でのミスにあらわれてしまったのかと思うと、その点は残念である。

なので冒頭に書いた「更なる高みの向こう側」までは正直感じられなかった。それでもSATOKOさんと孝三さんのドラムセッションからの後半はそこに手が届きそうな素晴らしいパフォーマンスだった。孝三さんに背中を押されたのかもしれない。

まだツアーは始まったばかり、これからきっと進化して行くと思う。
「こんなもんじゃない、not at all」
そう信じて。

2022・1・31

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