れいゆ大學④⑧ 信楽たぬきは時代遅れのピュアなエンゼルなのか
どんなに世界が資本主義化し、信仰心が失われても、神社も寺院も教会も路傍の仏像も祠も、基本的に残される。下界の人間を救済するために顕現してくれているのだ。そうしたホトケやカミが近代社会に遍在する中で、信楽焼のたぬき(以下、信楽たぬきと表記)は、縁起と福を授ける。彼らは「脱力」による、天の使いだ。
都会の蕎麦屋の門前には信楽焼のたぬきはあまりいない。無関心で早歩きの都市生活者の雑踏に対し、「おとぼけ+スピリチュアル」の二重構造のありがたさが、機能しにくいからである。ところが住宅街に入ると忽ち、信楽たぬきは現れる。都会の蕎麦屋でも、中には小さな信楽たぬきがいたりする。
ここから先は
2,042字
/
1画像
¥ 150
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?