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「女ざかり」

辞書によると、
「女の一生のうちで、いちばん女らしく美しい年ごろ」
らしい。
それが何歳なのかは書かれていない。
これには当然、年齢的に個人差が出るんだろう。
そして、“女らしさ”なんて言う、男社会から見た都合のいい女性像も、かなり曖昧だ。
働く女は、やっぱり生き生きしていて格好良い。

何人かの女性に直接聞いてみたことがある。
皆さんどうも主観が入るかしてバラバラで参考にならない。
自分の年齢を言ってしまう人が多い。
もうその時点で“女ざかり”は過ぎていると認めているようなものだけれど。
だいたい、そういうオバサンっぽい発想がそもそ…、いや、失礼しました(汗)。

ここからは完全に、中井ゆう個人の独断と偏見に満ちた“女らしさ”にまつわる文章になる。
実際、曖昧模糊(もこ)としているんだけれど、美しい年頃については少し分かる気がする。
正確に言うと、美しくなる瞬間というのがはっきりある、ような気がする。
それは24歳だ(独断)。
これは僕の経験上というか、美しくなる瞬間の女性を見てきたデータに基づく。
女ってやつは基本的に自信のない生き物だから(偏見)。
なにかしら、自信になるものが見えてくる年齢なのかもしれない。

子供から大人に、可愛くから美しくに。
そろそろ社会に慣れてきて、自意識過剰や自信過剰から謙虚に。
もう仕事もこなせるし給料も貰える。
男前だけが、二枚目じゃないことも心から解る。
お酒を飲んでも、嘔吐しないで酔っ払えるようになる。
もう24歳、まだ24歳。

先日も、キレイになった女の子と再会した。
何がキレイかって、もう佇(たたず)まいが違う。
これは顔のパーツとかは全く関係ないから不思議だ。
女性として、輝いているとしか言いようがないくらい。
近所のおばちゃんに、ええ娘さんになったねぇ~、なんて言われる頃かな。
きっと、耳まで熱くなるような、とても大切な恋愛が進行中だろうことくらいは予測がつく。
それくらい彼女は魅力的になっていた。
そして、それは彼女だけじゃなくって、すべての女の子が通るはずの駅。
長時間停車する人もいれば、特急で通過する人もいるかと思われる、青春の次の駅。

純粋に興味半分、単純に悪趣味半分、年齢を尋ねてみた。
すると、その女の子は、僅(わず)かの恥ずかしさと、少しの強さを含んだトーンで、

「えぇ?あたし24歳なんですよ~。」

と、僕に答えた。
“ビンゴ~っ!!!”みたいな。

#なごみの手帖  [ 2006年3月18日(土) HP更新]


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