【名古屋グランパス✖川崎フロンターレ】ヒーローの歩く道~2021.05.04(第十二節)
各記事に乗る『2-7』の数字。知らない所から飛んでくる石。訴える必要のなかった症状を訴えチームを助けた監督。ありえない日程の連戦で、必死に選手のために準備したチームスタッフの方たち。そして試合に臨んだ選手。
試合は結果が全てというけれど、自分の心の中では『2-7』で負けようが、外野から石が飛んでこようがヒーローだ。
そんなヒーローがプライドを背負って戦ってくれた試合を振り返る(感情的になるのはここまで)
スタメン
川崎は前回と同じ人と形。選手層が厚くとも必要な役割をピッチに置く人選をした結果ターンオーバーはできない。と考えたのだろう。一方で、名古屋はコンカコーチが前節で「ボールを持てるようにする為の3センター」と回答したように、川崎のプレスに対しての保持の解答である3センターで挑んだ。
3センターのバランス
前半4分。ソンリョンから旗手へのフィードの際、違和感を感じた。
稲垣が詰めて、前田と稲垣の守備2人に対して川崎は4人。米本は2対4の局面で後ろにできたスペース管理の為に局面に守備参加は不可能。成瀬は画面に映っていないが恐らく三笘か誰かにピン止めされている。
三笘が成瀬から離れ、成瀬が守備参加に入るために画面外から出てきた瞬間家長が成瀬を引っ張りながら外へランニング。米本は出し手のコースを限定するために構える。2枚構えているからいいだろうという感覚だったのかわからないが、稲垣も自分の位置がボールに絡まなくなってからの戻りの意識が低かった為、旗手から家長へパスが渡った際の中央は丸山と吉田VS三笘とレアンドロの構図に。
稲垣の相手へのアプローチを見ていると「後ろ2人いるから大丈夫」という感覚で川崎にプレッシャーをかけにいく事が多かったように感じる。
突然2トップのように相手最終ラインに制限をかけにいったり、シミッチの前までプレッシャーをかけにいくも相手に選択肢を残した状態の距離感で急に立ち止まったりと…
結果的に見た目上3センター。相手にボールを持たれたときはいつも通り。といった形で3センターの強みの一つを自ら消してしまったのが苦しかった。
川崎は開始数分で、簡単にIHの2人(特に稲垣)を釣り出せる事を理解し、ほとんど同じ形で2得点目を奪う。
この守備の形は外見だけ能動的に見えるだけの受動的な守備なのだ。
「どこのポイント、人。方向でボールを自分達のものにする」約束ではなく、「相手のミスが出るように食いつき、50%のボールになればそこを回収する。無理なら気合で止めて自分のボールに。」という方法になってしまっていた。なってしまった。というよりは、理論立ててボールを取る術をチームに組み込んではいない。というのが正解だろうか…
攻撃の部分では良い形があるだけに「付け焼刃だからしょうがない」という意見もあるかもしれないが、もう少し選手間でバランスが取れれば。というシーンが目立った。
失点シーン
山根の得点シーンは前回対戦時の旗手の得点や4分で感じた違和感の部分の意図と同じだった。
前回の失点シーンの川崎の意図は前節のレビュー記事をみてもらうとして、
川崎は左で稲垣を釣り出す前に逆サイドで一度米本と長澤を釣り出してからサイドを変えた。こうする事で中央に米本しかいない時間を作り出し、山根が走り込むスペースが空いた。
開始早々に釣り出したIHは戻りが遅くなることをチームが理解した上で、名古屋の中央を減らす意図的なボール運びから失点してしまった。
三笘と登里の2人に前田、成瀬、中谷とつけた上で戻りが遅れた稲垣までカバーに来る。三笘の脅威度からすれば4枚付いてもおかしくないが、長澤と米本が旗手とシミッチに食いつく際に明確に「行け!」と指さしてる稲垣が映っており、長澤の戻りが遅くなる点と米本の人とスペースを管理するダブルタスクを想定したオーダー(指示)なのであれば、自分まで参加して4枚でスペースを消すことがこの場面でリスクを減らす事だったのか?というのは考えなければいけない。
その辺りの選手間の意識共有がどうなっているのかは分からないが「自分たちの思うようにやってやられた」のであれば修正が必要な部分だ。
おまけ
オウンゴールは強いて言うならばお互いが声かけする習慣をつけておけば…といった所だろうか。
毎回ランゲラックがスタジアム中に響く音量でオーライをかけている姿は見受けられるがキーパーに対して最終ラインが声かけする強度はランゲラックの声かけに比べるといつも弱いイメージがある。
“防犯は抜かりない確認から”
おまけ2
1失点目は、中谷と丸山に対してシミッチ、谷口、ジェジェウの3対2だったのでどこかでずらされて、勝負されたらどうしようもなかった。
まとめ
攻撃の部分のレビューは、グラぽを観ていただければ。という事で失点や違和感についてを取り上げた。
判断の速さに負けたホームの試合。今回は判断の質で負けてしまった。
守備が堅くとも相手に殴られ続けられると壁はいつか崩壊する。確固たる守備には確固たるボール保持能力が必要だ。相手の時間を無くす術を獲得してこそ最強の盾は完成する。
守備において個人の能力に依存する事は難しい。なぜなら、攻撃は数的有利、位置的有利、など、一人に対して有利を作る術がたくさん存在するからだ。
失点の部分は、「成瀬が三笘に勝てば」「丸山が谷口とジェジェウの二人を沈めれたら」という結論に今の名古屋はなってしまう。
これからこのチームがどこまで理論立てて守備が出来るようになるのか。相手の時間を削るボールの持ち方ができるのか。
僕らのヒーローが歩く道はまだ続く
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