最近どうよ?:VFB伊藤洋輝(グラサポ目線報告)

ワールドカップに送り出した若鯱達のその後。皆さんは追ってますか?AZに菅原由勢、モンテディオ山形に山田康太、VFBシュツットガルドに伊藤洋輝。

名古屋グランパスはACLにルヴァンカップ、リーグ戦の大混戦の戦火の中、週末はSNSの音声コンテンツで大忙し!と、名古屋を追いかけてる人は中々他のチームまで追う時間が無い!

ましてやAZに関しては日本で合法的に試合を見れる手段も少ないので余計に見る機会が減っていると思います。

そんな中で「伊藤洋輝君、最近どうなの!?追えてないから教えて!」という声がごく僅かですが頂きました。なので、今までのVFBと伊藤洋輝についてのパフォーマンスについてまとめていきたいと思います。

まずはチームから。

代表戦ウィークに入る前までのVFBシュツットガルド

11月14日現在インターナショナルマッチウィークに入りリーグ戦は休止中。現在は11試合終えて2勝4分5敗で15位という順位に居ます。開幕戦で昇格組のグロイターフェルト相手に快勝したのですが、その次の節でRBライプツィヒにコテンパンにやられてしまい、2節目でチームの課題が浮き彫りになりました。(試合のレビューは下記から。興味があればご覧ください。)

そこからなんとなくパッとしない試合が続いてしまいます。リードした試合でも試合終了間近に勝ち星が手からこぼれる事が中々に多い状況です。

このリーグ戦の状況は仕方ないというかカラクリがありました。

アクシデントの多いチーム

開幕前からチーム内で離脱する選手が多数出ます。ケガやコロナが原因でした。バルセロナとの親善試合では試合日当日に選手内にコロナ陽性者を発見。濃厚接触者と思われる選手が出場できないと判断された結果、トップチームのほぼ全ての選手が出場できなくなり、急遽U21の選手(下部リーグ)で埋める事に。バルセロナのベンチが10人近くいる中でVFBシュツットガルトのベンチは4,5人…なんて出来事もありました。

怪我人はどのリーグでもある事ですが、後者のコロナに関してはブンデスリーグやチーム内の感染対策、衛生管理に問題があるのでは?と毎試合実況解説の方々も言っている状況です。

直近ではキミッヒがワクチン接種を拒否して話題になりました。

ブンデスリーグやDFB(ドイツサッカー協会)が選手個人の意見を尊重していることで日本のような厳しい制限や規約をチームや選手にかけられない状況が続いています。

ブンデスリーグ、DFBのコロナ関連のニュースはこちら↓

一方で、ボルシア・メンヒェングラートバッハはチームの方針として予防接種率をほぼ100%にしており、チーム間に衛生管理に格差があるのが現状です。

そんなこんなで…

VFBは衛生管理においては恐らく「消極的」なチームの部類であり、誰かが隔離から戻ると誰かが陽性になる。という事を繰り返しています。

伊藤洋輝は磐田に居た時に予防接種を済ませているはずなので安心ですが、予防接種が「絶対にかからない魔法の薬」ではないのでそこは心配です。

ただチームが100%の戦力を登録できない状況は伊藤洋輝にとってはチャンスでした。

代表戦ウィークまでの伊藤洋輝

ベンチ入りはリーグとカップ合わせて12試合、出場試合数は7試合、その内スタメンが5試合となっています。

本来はアントン、マブロパノス、ケンプフという選手たちが3バックの絶対的選択肢。そしてベンチにはボランチ兼センターバックのカラゾール、モラ、シュテンツェルを入れる事がチームが考える計画でした。

しかし開幕戦はカラゾールが風邪で一枠空いたことでカップ戦で安定感を見せた伊藤洋輝がベンチに入ることになりました。その後はマブロパノスが離脱し、途中出場。その次の試合でアントンがレッドカードを貰い出場停止が確定。それによりスタメンを獲得。そして、アントンが復帰する直前でコロナに感染。

本人の努力があるのはもちろん承知ですが、それを神様が見ていたかのような、奇跡とも言える誰かしら一枚足りない状態が3センターバックに出ていることで出場機会が激増しました。

怪我だけじゃない伊藤洋輝を使うVFBの狙い

ケガで空いた所に埋める為に出してもらえる。そんなブンデスリーグ簡単ではありません。きちんと伊藤洋輝には信頼された理由、彼を出す狙いがありました。

VFBの課題は「プレスに弱い」「遠藤を潰されると厳しい」「前線が一切プレスバックをしない」基本的にこの3点になります。

VFBが採用する3421は中央が二枚しかいないため前線の選手やウイングバックの選手がサポートに来てくれないと簡単にハイプレスの網にかかってしまいます(相手と噛み合いやすい為。)

そのプレッシャーをパワーで何とかしてきたのが遠藤航ですが、対VFBとしてどのチームも今シーズン遠藤を潰しにかかります。

その時のボールの出所として彼を使いたかったのだろうと思います。実際開幕する前に監督が伊藤洋輝のボールのさばき方や出し方については絶賛しているので期待されていたのでしょう。

実際は…

実際はかなり厳しい現実が待っていました。サイドから攻撃することが強みなので3センターバックの真ん中から高い位置を取っているウイングバックや2枚のトップ下にボールを配球したいところですがその選手達の長いボールを「受ける意識」が低すぎるのです。基本的に前線の選手達は「自分が受けたい時に受けたい位置で待つ」のが基本になっており、「最終ラインの出し手を基準にボールを受けるシーン」があまりにも少なかったのです。

なのでボールを扱えることからリズムを取りながら3センターバックの中央で両隣のマブロパノスとケンプフ、遠藤の攻撃参加の為の動く時間とスペースを造る仕事が多くなりました。

チーム内得点王が隣にいるマブロパノスとケンプフの2人なので仕方ないですね…


SOFA SCORE(選手のデータを閲覧できるサイト)でもアタッキングの場所の数値は軒並み0。打ったシュートは全試合合わせて1本。組み立て部分に関してもチップ(浮き球)パスもロングボールも両隣の選手達よりも10%ほど少ない値となっています。

攻撃中も最終ラインでお留守番が増える事に‥‥

お留守番が増えるという事は守備でも一番危険にさらされることに。基本的に両脇のセンターバックと両ウイングバックが上がるので被カウンターの際、守備の戻りが遅いVFBは最終ラインにいるのはサポートに降りていたボランチと伊藤洋輝の二人…なんてことも。

しかし、以前「ジュビロ磐田選手会」が主催したインスタライブにドイツから出演した際に

「突っ込んで取りに行って、やられちゃだめだけど‥それでいかれたら仕方ないっていうか…試合でしょうがないっていえないけど。そこで自分の力量を試したい。経験とかって事ではないけど‥100%行って自分のフィジカルっていうか、それでボールが取れたら自信になるじゃないですか?そういうのを積み重ねながら成長したい」(抜粋)

というような事も話していたので、守備でお留守番することに関しても、ある程度割り切りつつ、明確に目標をもって試合に臨んでることがうかがえました。

伊藤洋輝のライバルたち

チーム内で彼の直接的なライバルになる選手は主に2人です。

まず1人目はシュテンツェルという選手(25歳)。地元紙ではすでに「厳しい状態」と書かれている選手ですが、直近の試合では伊藤洋輝と交代し出場しています。

もう一人はモラという選手(19歳)、チェルシーというビッククラブの下部組織出身で伊藤洋輝と同じ左利き。足も速く左と中央のセンターバック。チェルシー時代には中盤もこなしておりその点も伊藤洋輝と共通点の多い選手。

まとめ

個人のパフォーマンスの良し悪しの前に、チーム全体の課題がかなり大きかったり、100%の戦力で試合ができないなどチームとしての地盤が緩いですが、毎試合見ていると伊藤洋輝自身も確実にたくましくなっており、チームも大味で「勝ち負けを気にせずに見るにはもってこいのチーム」です。

最近はスカパーさんが無料配信してくれる試合も増えてきたので、そういったイベントに乗じて視聴してみてはいかがでしょうか?

次の試合は11月20日。黄色の悪魔、ドルトムントと対戦します。楽しみですね。



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