雪あかり
いつ行っても西和賀はたのしいが、やっぱり冬は格別だ。歩けば歩くほど美しいものに出合える。
今回は氷柱を見れたらオーケーのつもりだったけど、行きの新幹線で「雪あかり」があることを知った。ラッキー。運の良さに自分を褒めたくなる。
西和賀の雪あかりは、町民総出で雪を固め、彫り、灯す。町全体が会場なので、車でぐるぐる巡ってたのしめる。
湯本温泉の通りで、バケツで固めた雪の灯籠をバックに鬼剣舞が披露されていた。踊りも、お面も、太鼓も、笛も、かがり火も、ゆらめく影もすべて見惚れてしまう。
雪の上で足袋を履いて舞うのはさぞ凍みるだろうという一見物人の懸念も、舞手の全身から上がる蒸気とともに寒空に消えていく。
個人的にイチオシの雪あかりは、山の斜面に展開される「カタクリのさと」の作品。
雪下で息を潜めていた山が火のあたたかみを歓び、歌っていた。
かんじき履いて、スコップで穴を掘り、ロウソク置いて、火を灯した人たちは偉いなあ。
祭りのあとの片付けもそれなりに大変だろうなあ。
遊びごころたっぷりの明滅する芸術を眺めていると、からだの奥からあたたまった。