【読書】ネガティブフィードバック 「言いにくいこと」を相手にきちんと伝える技術
皆様は言いにくいことを伝えることができていますでしょうか?
かくいう私は、苦手意識があり、とてもできているとは言えません。
何かアイデアを出したり、意見を戦わせること場面において、言いにくさを感じることは比較的ありませんが、人に対してネガティブなことを伝えるとなると、かなりのハードルを感じます。
そもそも、得意だという人はいらっしゃらないかもしれません。皆さんそれぞれ悩んでいらっしゃるのではと思います。
理由はなんといっても、相手との関係性を悪化させてしまうからではないでしょうか。また、伝えたところで、相手がそれを受け取ってくれることは少なく、むしろ反発されるだけでいいことが起きないということもあります。伝える方も受け取る方も、相当のストレスを感じます。
一方で、過去に言われて役に立ったというフィードバックを振り返ってみると、褒められたことではなく、むしろ耳の痛いこと、ネガティブなものだったということも多いものです。自分自身気づけていなかったようなことを指摘されると、自己認識が改まり、その後に役に立つ示唆が得られるものです。
つまり、ネガティブなフィードバックは、使い方を間違うと劇薬にもなりますが、気づきを与え、成長を促してくれる非常に有益なものともなりえます。そんな性質があるものです。
ネガティブフィードバックを効果的に行うにはどうしたらよいか。このテーマに焦点をあてて詳細に解説された書籍は多くありません。本書はその意味で非常に役立つ、実践的な本であると思います。
まず印象的だったのは、フィードバックはそもそも、一方的に伝えるものではなく、双方向の対話型コミュニケーションであると定義していることです。このスタンスが非常に大事だと感じます。
よく”怒る”のはよくないが、”叱る”のはOKであるという話を聞くことがあります。しかし、本書では、どちらであっても、一方的に伝えるだけであれば相手の納得感は得られないと言います。
私たちはつい、相手に反論されることを恐れ、説得に走ったり、言い放ってあとは放置するということをしてしまいます。しかし、耳の痛いフィードバックは、相手からすると心外であることが多いもの。しっかりと対話をしながら、双方の腹落ちをしていくことがなければ、相手の中に感情的なしこりが残ったり、納得感が得られないという結果になってしまいます。
その意味で、ネガティブフィードバックを伝えるときに大切になってくるのが、自分と相手との間にある”GAPを伝える”ということです。まずは自分と相手の認識に差異があるんだという客観的事実をそのまま差し出し、その理由をお互いに対話しながら明らかにしていく。このようなアプローチでかかわることができると、どちらの意見が正しいかということに固執しすぎず、いくぶん冷静に、どうすればGAPを解消できるかの建設的な対話ができるのだと思います。
その際は、相手の視点を傾聴すること、対話が必要になってくるということです。これはフィードバックの中の要素として意外と見落とされがちではないでしょうか。
本書では更に、「ネガティブフィードバックを成功させる心の整え方」として5つのマインドセットを紹介したり、ネガティブフィードバックを成功させる5つのスキルセットを紹介しています。
体系的に自分の中にフィードバックの型をつくっていくことのできる、具体的な内容となっています。
是非手に取っていただけたらと思います。