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モンゴルの砂漠でチンギスハーンのことを想った話

 
Semi-gobi(ゴビ砂漠まではいかないが、砂漠だよという意味っぽい)の遊牧民のゲルにホームステイをするためにウランバートルからずっとずっと5時間くらい何もないだだっ広い道を永遠とドライブした。

21世紀のオアシス

途中家も店も植物も電波も何もない場所もあった、ここに電波通しても仕方ないもんね。でも所々で4Gがつながるところがあって、そこには必ずと言っていいほど小さな町があった。21世紀の砂漠のオアシスは水ではなく、電波。


あんなにだだっ広くてなにもない世界を統一したチンギスハーンは何を思って、なにを目的にしたのだろうか。
何もない(人も資源もない、ただの土地)ところを領土にして何をしたかったのだろうか甚だ不明である。もしかしたら昔は違ったのかもしれないけれど。
土地を持つということに意味があったのかな。昔から変わらない雄大な土地とチンギスハーンに思いを馳せながらドライバーと一緒に野ションをした。

21世紀のゲルはわりと快適

今日お世話になるホストファミリーのゲル。
中は発電機を使ってテレビを見たりしていて、思ったよりも現代的だなとちょっとだけ残念に思ったりした。一応3Gの電波は通るし、それなりに苦労はしなさそうだ。
ウランバートルのゲストハウスの人に話したら「電気通ってるなんて当たり前だよ。21世紀だよ!」って言っていた。たしかにそうだよな。全てがグローバリゼーションしている世界で、ここだけが未開の地、なんてことはないんだな。

ゲルに着いたらミルクティーみたいなもの(塩気のある豆乳ミルクティーみたい)を振る舞われ、その後も何かにつけていつから置いてあるかわからない飲み物やお菓子をくれた。
こういうものをちゃんと食べられるし、食べてもお腹を壊さない自信があるのが私の強いところです。

夜ご飯は羊肉の揚げ餃子みたいなデカくて豪快で美味しいやつだった、もういいよってくらいたくさん揚げてもてなしてくれた。

子供がいきなり隠れんぼをしだして、いきなり?となったが、おかげで仲良くなれて良かった。スナチャのエフェクトで遊んだら喜んでいた、文明の勝利です。

テレビがあると言ったが、それでも未だに発電機で電気を通しているし薪を焚いて部屋を暖めてその上で料理をしている。
遊牧民は電気も満足に繋がらない中でどんな娯楽があるのだろうか?電気は辛うじてあるのでテレビは観れるけれど、映画も本屋もカフェもレストランも遊園地もない世界なんて想像もできない。自由で質素な生活、憧れるけど自分にはできないな。
なんてことを考えていたら目の前で女の子がいきなり野ションしていた。大胆だな。

ラクダに揺られて

ラクダに乗った。こんなところでラクダに乗るとは思わなかったし、本当はエジプトで乗ろうと思ってあたためていたのだが、まあいいです。楽しかったので。

ラクダに乗って行脚していた時代のことを考えた。わりと安定するし、二つ目のコブは背もたれになるし、温かいしでめちゃくちゃ有能な移動手段だったのではと思う。
ラクダの口の中はヒダがたくさんあって気持ち悪いという学びを得ました。(興味のある方は自己責任で調べてください。)

マイナス20度の夜空の下で

夜は満点の星空が見えると言われて一番くらいに楽しみにしていたのに曇っていて悲しくなってしまった。

星が見えない暗闇の中で、私がバックパッカーになろうと思った場所のことを思い出した。
トルコのカッパドキアでのバックパッカーの大学生との出会いがバックパッカーになったきっかけ。その前にも旅はしていたけれど、バックパッカーではなくあくまでも海外ひとり旅だった。
ひとり旅中、日本人と会って日本人と行動したのがそれが初めて。彼らの、星を見に谷に行ったり、バギーで近くを回ったり、宿を行き当たりばったりで探したりとタフで自由な姿に憧れた。
あの頃の私はまだ臆病で神経質で、絶対に一人部屋で、すべての日程を決めてなにをするのかも全部決めていた。何もかもが彼らと正反対だった。

その半年後、東南アジアをバックパッカーして、バックパッカーという身軽さに感動して以来ずっとバックパックひとつで旅をしている。

どちらにも良い点はあるが、私はバックパッカーの自由で大胆で勇敢で身軽なところが大好き。これからもずっとやっていきたいな。安さや冒険よりも安全を取ってしまったら私の旅は終焉を迎えるだろうとまで思う(極論です)。

そんなことを考えながらゲルの中で寝袋に入って寝ていた。
夜中に目を覚まして外に出ると、さっきの曇天とは打って変わって、空一面に星が輝いていた。天然の天の川なんて見たことなかったよ。どんなプラネタリウムよりも綺麗な夜空で、世界がずっと平和でありますように、なんて願わずにはいられなかった。

砂漠と雪

朝、ゲルの扉を開けたらまだ日は上りきっていないもののそこは一面の銀世界だった。夜中に雪がたくさん降ったらしい。昨晩とは打って変わって白い世界が広がっていた。
ゲルの中はめちゃくちゃに寒くて、火が消えるとほぼ外と同じで凍え死ぬ寸前だった。

相変わらずおせっかいなモンゴル人は朝ごはんを食べるのやめたらもっと食べな!って言うし、タバコ吸う?って一本くれて火うまくつけられないと花火みたいに自分の火分けてくれたり、帰り道にドライバーと入ったレストランでご飯なににする?って言われて同じのがいいって言ったら嬉しそうにしていた。
言葉は全然通じないけど、心が通じ合ってるもんね。

ちょっと外に出ようとしたら、ここ座って!これ飲みなよ!って、ミルクティーっぽい飴を溶かしたみたいな甘いやつ(なんですか?)を飲ませてくれた。美味しいと言うと嬉しそうにしていた。
家族とは別のゲルだったけどわざわざ何度も火をつけにきてくれたり自分たちで敷く布団をそのままにしてたら敷いてくれたり、ほんとにずっと気にかけてくれて世話焼きで優しさを感じて嬉しかった。

モンゴル人は体格がデカくて豪快なのでこわいと勘違いしそうになるが、実はめちゃくちゃ優しくて世話焼き。全員いい人。
私が行った他の国の人たちよりも、おせっかいの大きな心を感じた。


結局チンギスハーンが何を考えて何もない広い土地を統一したのかはわからなかったけど、21世紀になっても尚、一面に広がる星空を見られるっていうのが一番のお宝かもしれないね。大事にしてください(?)

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