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映画「キル・ビル」をU-NEXTで見ました。剣と拳法のよくばりアクション。


映画「キル・ビル」を見ました。Vol.1、Vol2とあるけれど、Vol.1だけでは全く物語が終わってなかったので(一区切りもついてない)、まとめて感想。
ベアトリクス・キドー(何故か、VOL.1では名前が隠されている。特に意味はないらしい)は、作中時間の4年前かつて自分が所属していた暗殺集団に結婚式のリハーサルをしていたときそこにいた九人とともに殺される。しかし、ベアトリクスは奇跡的に死を免れた。ベアトリクスが結婚式場での虐殺を行った四人と、そのボスを復讐として殺すまでを描いている。

復讐劇の物語で、拳法の剣術両方のアクションを欲張りに導入している。ベアトリクスのかつては恋人でもあり、暗殺団の長だったキルは日本刀の剣術を習得しているらしく、服部半蔵という伝説に近い刀鍛冶から刀を譲り受けている。ベアトリクスはキルから、剣術を習得したのだろう(描写はないけれど)、そして作中で拳法を習得する場面も描かれる。
テーマというか、監督が描きたかったのはアクション、それも少し戯画的なアクション(アニメなどで展開される、派手なアクション)だったのだろう。ラストで失ったと思っていた子供(ベアトリクスは殺されそうになった時、お腹の中には子がいた。その子供はキルの子である)が生きていてキルと暮らしている、その時ベアトリクスはキルをどうするのか? というところにはテーマ性を感じないでもなかったが、終盤で魅せられている点と、物語として見ると、ベアトリクスはどうするのかというより、キルはどうするのか? という感じだったので、テーマというべきか考えてしまう(キルはベアトリクスが死んだと知って後悔したらしいので、生きている娘を渡すかどうか。最後の戦いが本気を出しているように見えなかったので「死を選んだのかな」と思ってしまった)。
アクションは見ていて面白い。しかし、それだけという感想でもある。もちろん娯楽作品だから、面白ければいいと思います。ベアトリクスは殺し屋を生業にしていた人なので、殺しに対する葛藤はありません。戦いにおいてベアトリクスが葛藤する場面があれば、それがテーマと言えたかも知れないのだけれど、ベアトリクスは真っ直ぐ復讐に突き進むんですよね。
目的がはっきりしているので、物語として見やすいです。

この映画時系列をバラバラにして物語が進みます。
まず、最初の戦いはコッパーヘッドという名の女性(殺した順番としては二番目)。この戦いは素晴らしかったですね。導入として興味を惹かせるにも充分。それとなくこれが復讐の物語と伝えます。復讐とかはわかりやすい(しかも友人たちを惨殺される)んで、被害者側を応援しやすくなりますよね。コッパーヘッドは殺し屋家業をやめていて、四歳の子供もいます。ベアトリクスにも、産む予定だった子供がいました。しかし、気を失っていた間に失ってしまったようです。
子供と共に生きたいがために、戦いを避けよとするコッパーヘッド。殺さないと言わないまでも、今今殺すのはやめようと考えるベアトリクス。しかし、コッパーヘッドは不意打ちしようとして、逆に反撃され、殺されます。
ベアトリクスの子供のためなら、復讐を脇に置けてしまうという人間らしい性格もわかるので、最初の戦いとしては素晴らしいですね。主人公の殺しを伴う復讐劇という、ともすればあまり応援しなくなくなる物語において、主人公の優しい人間性を最初に示すのは良いですね。主人公の目的、性格、そして物語の方向性が最初の戦いで示されています。
紙に書かれた暗殺者の名前を消します。よく確認すると、すでに一人消しているのです。
わかりやすい展開として、二人目の戦いを最初にしたのは良い構成なんだと思います。しかし、最初に戦う人間との戦いがすでに勝つとわかっていると、緊張感に欠ける部分がどうしても出てしまいますね。物語上「主人公なんだから負けない」とわかっていても、戦いの結果は伏せていた方が物語を面白く見られるんですね。

この後、物語は彼女がどう死から免れたのか、復讐に至るまでの経緯が語られます。
頭、撃たれて生きていた理由はいまいちわかりませんが、そこは「奇跡的に生きていた」でも良いとはも思います(理由はあった方がいいけれど。単にわたしが読み取れていないだけかも知れないけれど)。
ベアトリクスは四年間眠り(加害側の四人の暗殺者の一人が殺しにくるけれど、キルに止められる)、突然起きます。四年間も寝ていれば筋肉が衰えてないかなも思いますが、けっこう動けちゃますね。服部半蔵に刀をもらい日本に行きます。そして、日本を拠点として活動している、自分を殺そうした人間の一人「オーレン・イシイ」のもとに向かいます。
オーレン・イシイの過去はアニメで語られるんだけれど、実写にいきなりアニメを見せられると少し見にくいね(アニメで見せた子供の頃の過去まで見せる必要があったのか謎である。ヤクザの集合場所で、出自に言及されて怒ってその人間を殺すところだけでいいのではなかろうか? 幼少期の過去があるからこその苛烈な性格なんだろうけれど)。
出てくると同時に過去が語られる、幹部がいる(女子高生? GOGO夕張と、オーレン直属の殺人集団「クレイジー88」のリーダー、秘書みたいな人)など、日本の少年マンガのノリで面白い。
刀持って飛行機に乗ったり、バイクに乗ったり、飲食店に入ったりと「絶対銃刀法違反だろう」と突っ込みたくなるが、まあそこは身をつぶろう。
ベアトリクスは、オーレンたちが入った店に突撃し戦いを始める。
「クレイジー88」との集団戦闘(ここもに誰か一人拳銃で撃てば良くないか?」と思った。でも、日本だから拳銃は使えないのかな?)との戦い、GOGO夕張(彼女も少し過去が語られる。自分を誘った男を殺すという描写。ほんの少しの描写だけれど、過去がわかっていいね)と戦い。過去がわかる人物との戦いは盛り上がるような気がする。人物性に厚みが出るからかな? そして、オーレンとの剣術での一騎打ち。これもなかなか良い(GOGO夕張との戦いの方が、武器が面白かったせいか楽しかったけれど)。面白く感じたのは、幼少期の過去を見せてくれたからだろうか?  願わくばオーレンには、一度負けそうになったところでその過去(一瞬よぎるだけでもいいから)を思い出して、何か大技を出して欲しかった。そしたら、もっと盛り上がって見られたかな。
日本のマンガの要素もあって楽しんで見られていたのだけれど、Vol .1、Vol2通して見るとここがピークだったのかもしれないと思う。
この後戦う二人の暗殺者との戦いは派手さがあまりないのである。
Vol.1は、ベアトリクスの娘が生きていることが示されて終わります。

Vol.2 はキルのところに向かうところから始まります。ということは、残りの二人にベアトリクスが殺されないことは確定してしまいます。「物語上、キルの元に向かうことはわかっているけどさ、映画の冒頭で確定しなくても?」と思ってしまいました。
始まりらへん、なぜか映像がモノクロなんですよね。これもなんか見にくかった。ずっとモノクロの「七人の侍」とかは気にならなかったのですが、やはりカラーの方が見やすいんですね。残る標的は、キル以外だと、キルの弟で暗殺団の唯一の男性「サイドワインダー」と、入院中のベアトリクスを殺そうとした「エル」。

まずサイドワインダーとの戦い。
サイドワインダーが兄と話している場面から始まる(キルの顔がきちんと映像としてできたのは、ここが初めて?)。兄とは確執がありそう。兄と同じく、服部半蔵の刀を持っているので(お金に困って売ったとは言ってはいたが、実は持っていた)、それなりに剣術の力があるのだろう。
働き場所をクビなるようなみっともない場面が描写される。こんな場面必要なのかな? なんて思うけれど、後々ベアトリクスの刀を奪ってエルに売るという件を語るには、お金がないことはきちんと描写しておかないとよくないね。ただこの働き場所をクビになる件あまり面白くない。性格がおとなしいんですよね。なのであまりハラハラしない。兄との会話でもそんなに覇気がないし、人生に疲れている感は出ていた。クビになる場面の面白さは特になくてもいいと思うのだが(そんなに長くもないし)、人生に疲れている描写があるのだから、それをこの後の物語に活かしてもよいと思った。描写はあるのに、人物像が立ち上がってなかった。
ベアトリクスはサイドワインダーを襲撃するも、岩塩が入った銃で撃たれて、重症を負う。何で普通に殺さなかっだのだろう、と思いました。この後、生き埋めにするから殺すつもりはあっただろうに。その理由は欲しかったな。
ハイドワインダーはこの後、ベアトリクスが持っていた刀を購入しようとしたエルに殺されてしまう。男性だけがみっともなく、終わるという展開は「良いな」と思った。

ベアトリクスが生き埋めから出る場面。棺に入っているので、しばらくは息ができる状態です。
ベアトリクスが過去に、「パイ・メイ」という拳法家に教えを受けたことを回想する場面がある。そこで出した力で、脱出。「もう少し前に布石があれば」と思わなくないが、こういう展開もいいのではないでしょうか。その設定が後々の布石なれば、尚のこと良いですね。

エルとの戦い。最後の暗殺者との戦いだし、もっと派手にして欲しかった。最後に戦う人は最強、もしくは最凶であって欲しかった。
その要素はあったと思う。キルは金髪好きらしいので、自分も金髪なのに、自分以上にキルに気に入られていたベアトリクスを恨んでいたとか、エルもまたパイ・メイの修行を受けていた(片目を潰されている。その恨みでパイ・メイ毒殺する)ので、ベアトリクスとの戦いで拳法の手合わせをするとか。エルは毒を扱うので、それを使って卑怯にベアトリクスを追い詰めるとか。
部屋の中で二人は剣術で戦う。部屋の中の一対一の戦いは、コッパーヘッドとの戦いで見せているしね。外で、しかも拳法での戦いが見たかった(外での剣の戦いはオーレンで見せているので)。
鍔迫り合いして、ベアトリクスは隙を見てエルの片目を潰して勝つ。最後のみっともなさはなかなか良かった。けれど、鍔迫り合いしている間に片手を刀から外したら、ベアトリクスの手がエルに届く前に、押し負けるないかな、と思ってしまった。部屋の中で、拳法で戦って最後まで修行をしなかった技で勝つとかだと格好かよかったかも知れない(キルとの戦いで見せてくれるけれど)。

最後にキルとの戦い。キルの元には、娘が生きていたからどうなるかと思った。このまま「キルを殺さないで、三人で暮らしていく」なんてこともあるのかなとも思ったけれど、そんなことはなかった。ここで、ベアトリクスが逃げた理由が語られるけれど、キルの元で生まれたら子供の教育に悪いからという理由で逃げたみたいだし、キルを活かす理由はないですね。娯楽作品としてない盛り上がりかVol.1の方があったので、ならばということでテーマ性を求めてしまった。強さがインフレする展開なら「ただ面白い。だけれどよし」という感想を持ったかもしれない。
最後もベアトリクスがキルから逃げる理由の語りは良かった。ベアトリクスを殺して、喪失感を感じたらしいことを語るキルからは、ベアトリクスに殺されるなら仕方がない感があるんですよね。けっこうあっさりやられてしまう。
ベアトリクス、ベアトリクスを愛していたキル、二人の間に生きていた娘(B.B)。この三人の関係性の中でどんなテーマを持たせられるだろうか? キルを思い切り異常な人間にする。B.Bをベアトリクスの代わりの恋人にしようとする(自分の娘だからな、今展開は良くないな。キルの子でなければ有りかもどけれど)。恋人がダメなら、ベアトリクス以上の殺し屋にするとか。しかし、物語の中でキルがどういう立場なのかよくわからない。暗殺団のリーダーらしいけれど。その暗殺団の組織がよくわからない。ベアトリクスを殺そうとした四人は、それぞれの道に進んでいるし。今もキルの暗殺団はあるのだろうか?
キルが育てることによって、B.Bは何不自由なく暮らせる。そのことを伝えた上で、ベアトリクスに娘ためにどういう選択するのか、再びキルと生きるのか、それとも娘の元から去るのか、キルを殺して娘と共に逃げるのか。まあ、ベアトリクスは最後を選ぶとは思うけれど、見ている人がそのような問題提起された時、どんな選択を選ぶのか思い浮かべるだけでもテーマ性は発揮できると思う。
キルが「スーパーマンが好き」というところはテーマ性があったかな。生まれた時から殺し屋の人間は、普通の母にはなれず殺し屋でしかない。人間は変わらないという考え方。そして、ベアトリクスもそれをわかっている。世間がそれを許さないことを。コッパーヘッドのように殺される可能性があることを。ここら辺は色々考えさせられるね。
最後キルがあっさり殺される展開は良いと思う。けっこう格好いい。それを活かすためにも、エルとの戦いはもっと派手が良かったな。動きのある戦いの後に、静かな戦いでリズムが出るし。

なんか色々書きましたが、あくまで私が考えた感想です。私が思った展開になると、マンガチックになっていて面白くなかったかもです。

キメのポーズでかかる音楽良かったですね。どこの場面か忘れてしまったけれど、顔のアップが続く演出も良かった。
拳法での闘いはもう少し見せて欲しかった。
子供の前では戦わないという設定を冒頭だけでなく、あっても良かったかな。

戦闘の一番面白いところをVol.1に持ってきてしまったこともそうだけれど、Vol.2の冒頭でベアトリクスがキル以外に負けるであろう可能性がなくなってしまったところが、よくなかった気がする。絶対負けないとわかってしまっていると、あまり緊張感を持ってみられないよね。
すごく戦いが派手で動きがあれば良いけれど、そうでもないし。

Vol.1はヘンテコ日本も見られたし、戦いも派手だったし楽しかった。Vol.2の戦闘も決して悪いわけではないけれど、Vol.1から続けて見ると少し物足りなく思ってしまった(サイドワインダーとの戦いはほぼなかったしね。最低な男を圧倒する女性が見たかった)。キルとの戦いは静かで良かった。作中最後の戦いの一つの見せ方だね。


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