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映画「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」をU-NEXTで見ました。タイトル通り、ヴァンパイアにインタビューしていた。

「インタビュー」という言葉に、私が知っている言葉の意味以外にも意味があるのかなと思っていた(まさかインタビューする映画とは思わなかったので)。ヴァンパイアにインタビューする作品でしたね。不死のヴァンパイアの苦悩を描いた物語。画面的に派手な動きはないが、ヴァンパイアたちの葛藤が画面に映らない動きを感じさせる作品。解決するべく問題を解決するまでの物語ではなく、ある特異な存在の一定の時間を切り取り、その時間での出来事を描いている。ドラマとなるのは、特異な存在の苦悩、後半となるとその種が長く生きるために必要なもの、そこから「生とは」を考えさせる。

ヴァンパイアとして200年生きてきたルイが、自分(ヴァンパイア)の生涯(ヴァンパイア・サーガと言ったら、言い過ぎかな)を語る。

妻を半年前に亡くし、死を願っていたルイはレタストというヴァンパイアに噛まれヴァンパイアとなる(自分から願ったようでもある)。ヴァンパイアは血を飲まないと死んでしまうのが、ルイはレタストのように人を死に追いやるほど、血が吸えない(血を少しだけ分けてもらうというのはダメのようだ)。このようにルイが語る話は、ヴァンパイアとして生き抜くための苦悩を描いている。ルイが自らの選択で初めて血を吸った娘クローディアは、ルイの苦悩を知ったレタストによってヴァンパイアになる。クローディアは、娘の姿のまま永遠に成長しない。大人への憧れ、成長しない身体ということでの苦悩が描かれる。そして、自分たちの存在について、ヴァンパイアとは何かということにも苦悩し、自分たちを知るため物語の後半は仲間探しにアメリカから、ヨーロッパへ行く。

この作品において、ドラマは人間とヴァンパイアの差異によって生まれている。ルイやクローディアの苦悩が内面の対立をうみドラマを作る。ヴァンパイアとして生きることを全て受け入れているとも思える、レタストもヴァンパイアとして孤独に生きることが耐えられず仲間を作っており、ともに生きて欲しいはずのルイはレタストの考えを完全には受け入れてくれず、クローディアの成長しないということに対する苛立ちからの勝手な行動にレタストは怒りを覚えている。ヴァンパイアとして生きることに苦悩がない(孤独以外に)レタストと、ルイとクローディアとの間には外部的な対立が生まれており、それがドラマになる。前半はルイやクローディアの苦悩、レタストとの対立が主である。レタストはクローディアの策略によって体を弱らされ、クローディアを守るためルイが止めを刺す(実は生きていて、襲ってくる場面もあるが、撃退する)。この作品では吸血鬼が身体を弱らせるルールとして、死者の血を飲んではいけないらしい。

後半はヨーロッパに渡り仲間を探す(ルイはもっと詳しくヴァンパイアのことを知りたかったのだろう。レタストもあまり知らなかったのかな)。アーマンドという、ヴァンパイア集団のリーダ的存在に出会う。アーマンドもまた生きることに飽いるいた。ヴァンパイアは長く生きられるが時代の変化についていけず、死んでいってしまうらしい。どの時代も受け入れない、ルイの存在はアーマンドが長く生きるための刺激として必要のようだ。ルイはアーマンドに対して、ヴァンパイアとは何かについての答えを求めていた。しかし、アーマンドについていくにはクローディアと別れないといけない。子供をヴァンパイアにすること、これもまたヴァンパイアのルールには違反しているようだ。トラブルの元になるかららしい(今までのクローディアの行動を見ていればさもありなんとも思う)。ここにもまたドラマが生まれる。

クローディアはアーマンドの仲間に殺され(日に当てることによって)、ルイはその復讐をする。アーマンドに助けられるも、クローディア殺しを見逃したアーマンドを許せず、その元を離れ、アメリカに戻る。そこには時代に適応できないでいるレタストがいた。ルイの語りは終わる。

最後はヴァンパイアへの憧れを語るインタビュアーに対して、ルイが攻撃する。苦悩が伝わらないことに苛立ちを覚えたのだろう。ルイはインタビュアーの視界から消え、インタビュアーは逃げるように建物から出て車に乗る。その車はレタストに襲われ、インタビュアーは噛まれる。あの話を聞かされた後で、インタビュアーは死を選ぶか、それともヴァンパイアになることを選ぶのか、その選択は語られず物語は終わる。レタストはルイの声が入ったテープを聞いて「俺はもう何世紀も聞かされている」と言う。こういうぼやきをずっと聞いてきたという意味だろうが、ルイの話が「信用できない語り手」とすれば、本当に何世紀も語っていたのかもしれない。

最後がよくわからなかった。素直、ヴァンパイアの苦悩を聞かされてなお、それよりも不死という特殊能力に目が眩み、ヴァンパイアになりたいと思うインタビュアーという構図を。眩いことにだけ見て、その裏にある苦しみを無視する(例えば実業家に憧れる若者)人への皮肉ととればいいのかもしれないが。あまりに素直な終わり方である。結局、ルイが人を殺した話は出てこない。200年生きたのだから、殺しているとは思うのだが(殺してなかったら、ずっと動物の血だけで生きてきたとか語るはず)。ここらへんから、ルイが信用できない語り手(都合が悪いことを語っていない)なのかなと思えて、ラストにオチがあるのかと思ったが、何もなかった。そのせいで「よくわからない」と思ったのだろう。


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