【BL小説】Finder #10
★推奨BGM
今回はBGMというかお祭りの雰囲気ってことで。
#10
次々に打ち上がっていく花火。
空高くで破裂しては大輪の花を咲かせ
そして儚く消えていく。
でもその一瞬に
人々を魅了するエネルギーが込められていて
こんなものを最初に考え出した人って
どんな人なんだろう?
なんて考えながら花火を眺めた。
ベランダで缶チューハイを片手に
たまに縁日で買ったものをつつきながら。
そして、隣には浴衣を着た蓮がいる。
花火を見つめる瞳の中に
赤や青や白い光の粒が映り込み
キラキラと輝いていた。
花火も綺麗だけど
それを見る瞳は息を呑むほどに綺麗だ。
その目に吸い込まれそうになる錯覚に陥って
あわてて花火に視線を戻す。
「なぁ、蓮?
なんで蓮はそんなに強くいられるの?」
「強くって、何が?
別に何も考えてないけど…」
たしかに、
いきなりそんなこと言われても何が?だよな。
「やりたいことがちゃんとあって
それにまっすぐ進んでて
オレから見たら動じない強さがあるように見えるよ。
オレが何を言っても受け入れてくれる
優しい強さみたいなのもあるし。」
「やりたいことやってるだけだし
それは恵まれてるのかもしれないけど
オレだって焦るときもあるよ。
柊のことは信用してるってだけ。
別に優しくも強くもないよ。」
「なんで建築のことやりたいと思ったの?」
「単純に建築物が好きなのもあるけど、自分の関わった建物が地図に載ったり、建築そのものが何十年、もしかしたら何百年も残るのだとしたら、すごく意味のあることをしてるっていう実感が持てそうだなって思ったからかな。」
そっか…
そんな立派な理由のあるやりたいことなんて
オレにはやっぱり何もないな…
「別に、最初からそんな風に思ってたわけじゃない。
建物を見るのが好きから始まって、もしかしたら自分にもできるかもしれないと思ったら、やれることをやってみようと思っただけだよ。
柊にだって、落ち込んだときこれ見ちゃうなとか、気づいたらやってるなーってことはあるんじゃない?
それを自分がやる側になりたいなって思えることを始めてみればいいと思う。
合わないなって思えば、また別のことでもいいんだし。
そんなに焦らなくてもいいと思うよ。」
自分には何もないと思った気持ちを見透かされていた。
「うん、そうだよな、
焦っても見つかるもんじゃねーよな…」
「そう。
好きなものに理由なんかないのと同じ。
だからちょっとでも興味持ったらやってみたらいいだけだと思う。」
「なるほどな。
うん、ちょっと考えてみる…」
「だから…考えるもんじゃねーんだって!
じゃあ例えば、、落ち込んだとき何する?」
落ち込んだとき…?
好きな曲聞くか、お笑い見るか、、
どっちの気分でもなかったら
空でも眺めてるかな…
…to be continued
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読んでいただいてありがとうございました。
久しぶりの更新になってしまったけど
気が向いたらまた更新していきます。
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では、また。