薬剤師国家試験の勉強法【生物編ver2】
こんばんは！
前回、薬剤師国家試験の生物のウェスタンブロットの問題を解説しました。
問題の解説は、既に様々な所に掲載されているため、そこまで需要はないと思っていました。ですが、思っていたより多くの方に読んで頂いており、ありがとうございました。
今回は、薬剤師国家試験の生物のPCRの問題を解説しようと思います。
解説する問題は、106回の問113の生物の問題です。
【106回 問113】
検体中における、ある微生物の存在を調べるために、リアルタイム PCR法を実施した。以下に示す測定手順で行い、測定した結果を図に示す。この実験に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
測定手順
3つの検体（試料1～3）をサンプルチューブに別々に採取し、それぞれにDNA抽出用の試薬を加える。→抽出したDNAを定量する。→各検体から一定量のDNAを別々のチューブに取り、それぞれのチューブに二本鎖DNAを検出する蛍光色素、デオキシヌクレオチド混合物、プライマー1組、 酵素を含む反応液を加えて、PCR を開始する。→蛍光強度を測定することで、反応産物が増幅されていく経過を追いながら、PCRを約40サイクルまで繰り返す。
目的とする微生物の存在量が最も多かったのは、試料3である。
この測定手順で、細菌、DNAウイルス及びRNAウイルスの検出が可能である。
試料1と試料3に含まれる微生物の存在量は、約106 倍異なると推定される。
各試料とも25サイクルを超えるあたりから曲線が頭打ちになる主な原因は、 デオキシヌクレオチドが枯渇するためである。
PCR開始時に反応液に加える酵素には耐熱性のものを用いる。
まずは、リアルタイム PCR法について説明します。
細胞や臓器などのサンプルからDNAやmRNAを抽出します。その後、DNAの場合、発現量を調べたい遺伝子のプライマー、ポリメラーゼ酵素、プローブ、dNTPをサンプルから取り出したDNAと混合して、PCR反応により増幅します。DNAが増幅する際に、蛍光を発するためその蛍光を測定します。
一方で、mRNAを使用する場合は、逆転写によりcDNAを合成する必要があります。作製したcDNAを同様に増幅して解析します。
以上が、リアルタイムPCR法の説明です。
それでは、問題の解説に入ります。
①の選択肢は間違いです。
リアルタイムPCR法では、プライマーによりDNAが増幅されることにより蛍光を発します。その蛍光を定量します。DNAが多い方が、結果としてより多くのDNAが増幅されるため、蛍光は強くなります。そのため、より早く蛍光強度が増加して、より早くdNTPが枯渇するため頭打ちになります。より多くの微生物が存在したサンプルは1番になります。
②の選択肢は間違いです。
今回の方法では、DNAを抽出しています。RNAウイルスは、DNAを持っておらず、RNAを抽出する必要があります。即ち、逆転写酵素を用いて、cDNAを合成するステップが必要になります。よって、間違いです。
③の選択肢は間違いです。
こちらに関しては【リアルタイムPCRの解析編】を見て頂くとわかります。
DNAの発現量の差は2^(Ct3-Ct1)で計算されます。即ち、2^6が正解です。
④の選択肢は正解です。
解析曲線が頭打ちになるのは、DNAの構成成分であるdNTPが枯渇するためDNAを合成できなくなるためです。
⑤の選択は正解です。
PCR法によるDNAの合成は、熱変性→アニーリング→伸長反応の３段階で行われます。よって、熱に耐えられる酵素でないと反応を起こすことができません。
以上で、リアルタイムPCR法の問題である106回の問113を解説しました。
解いててわからないなと思った問題があったら、ぜひコメントで教えてください。また、解説の〇〇をもっと詳しく教えてほしいなどの要望でも大丈夫です。
最後まで読んで頂きありがとうございました！！