「きみと、波にのれたら」のお芝居に思いを馳せる。
「きみと、波にのれたら」の主演キャストに、有名な声優はいない。
キャスト発表を見て、不安に思った人がいたかもしれないけど、
ぼくは全く心配していなかったし、むしろ嬉しかった。
なぜなら、前作「夜明け告げるルーのうた」において、お芝居のクオリティが非常に高かったから。
声優未経験に近い役者が声を当てていたにも関わらずだ。
ルーパパを演じた柔道家の篠原さんは、その最たる例だろう。
映画をご覧になられた人ならお分かりだろうが、あのルーパパは篠原さんにしかできない。
カイやルーも唯一無二の存在となっている。
さて、いいキャスティングとはなんだろう?
ぼくは「映画を見る人に違和感を感じさせないお芝居」ができる人を
きちんと選出するのが、いいキャスティングだと思っている。
視聴者に中盤まで「ん?」と思わせた時点でキャスティング的にはアウト。
では、どんなお芝居だと違和感を感じないのか?
それは、「映像と、きちんと調和できている」お芝居だ。
絵に負けていてもダメ、声が主張しすぎていてもダメ。
調和がとれていることが大切。
絵と声を合わせてこそのアニメーション映画だから。
言わずもがな、湯浅作品の絵のクオリティは高い。とてつもなく高い。
演じる側にも、かなりの力量が無ければ、絵の芝居にはついていけない。
並外れた技術と感性が無ければ、置いてけぼりにされるのがオチだ。
しかし、さすが湯浅監督。
とんでもない演者を4人も連れてきた。
片瀬良太、川栄李奈、松本穂香、伊藤健太郎。
皆、素晴らしいお芝居だった。
上映後にスタンディングオベーションをしたかったぐらいに。
きちんとオーディションをして選出したのだろう。
見事、湯浅監督はいいキャスティングを果たしたのだ。
そのあたりのバランス感覚も、湯浅監督作品における魅力の一つ。
作品全体のクオリティが高い。だから安心して見れる。
個々のレベルが上がれば、全体のクオリティが上がるのは当然のこと。
あまりにも、個々のレベルに差があると、作品全体のクオリティはガタ落ちする。
だから、映画監督の采配がとても重要。
今日も日刊ムショクを覗きに来てくれて、ありがとう。
いい人材を選ぶのが、映画監督の大仕事だよね。
このnoteは「日刊ムショク」と題して、
無職の毎日をつらつらと綴る。
平日は7時ごろ、休日は9時ごろに更新予定。
また明日、時間があれば、覗いてね。
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