「定例記者会見は県民に情報発信する重要な場。双方向のやりとりを大切に」と塩田康一鹿児島県知事

 2024年11月18日に東京地裁(衣斐瑞穂裁判長)で開かれた「記者クラブいらない訴訟」第8回口頭弁論。私は、「陳述書(前編)」「陳述書(中編)」「陳述書(後編1)」「陳述書(後編2)」「陳述書(後編3)」の5通を提出している。そのうちの「陳述書(後編1)」(証拠の番号は「甲78の1」。「甲」は原告が提出した証拠。「乙」は被告が提出した証拠)の全文を公開する。

陳 述 書(後編1)

2024年11月15日

原告 寺澤有(1967年2月9日生)

【1】

 2020年6月25日、鹿児島県知事選挙が告示されました。

 同時期、新型コロナウイルスに関する鹿児島県の記者会見で、「記者クラブ(鹿児島県政記者クラブ『青潮会』)が、県民が知りたいことを質問してくれない」という批判がTwitter(現X。以下、Twitter)などで巻き起こっていました(甲78の2)

 そこで、私は、「どうして鹿児島県民が批判するような事態が発生しているのか」を提示するため、7月11日、〈フリーランスを差別する鹿児島県知事の記者会見〉と題する記事(甲10)をネットで公開しました。すると、この記事が拡散され、鹿児島県民、国民の青潮会に対する批判が高まりました。たとえば、小倉雄一さんという方は「長かったけど、一気に読んでしまった 記者クラブの方々が人種差別を容認する白人と二重写しになった 既得権益を奪われる恐怖心か…」などとTwitterへ投稿しています(甲78の3)

 さらに、同時期、訴外有村眞由美さんは鹿児島県知事選挙の候補者全員に対し、「当選したら、知事の記者会見でフリーランスの参加、質問を認めるか」と質問し、その回答をTwitterで公開していました(甲50の1~2、甲51の1~7)。これは、有村さんが自分で思いついて行っていた取材・報道活動で、私は「候補者全員に質問するのは、手間がかかるけど、万全」「フリーランスの質問を認めなかった伊藤祐一郎前知事(当時)、三反園訓現知事(同)まで、『認める』と回答しているのは、よほど選挙戦が苦しいんだろう」などと感想を有村さんへメッセージしています。

 7月12日、塩田康一候補(現鹿児島県知事)が当選すると、有村さんは同候補を直接取材し、「(知事の記者会見でフリーランスから)質問されたくないことはないので(フリーランスが質問しても)構わない」という言葉を引き出しています(甲49の1~4)。

 なお、このころ、私は、元民放記者で、「『夜回り』で長崎県警幹部にレイプされた」と告白している郡司真子さん(甲76の13)がTwitterで「記者会見を規制した三田園氏ではなく、県政が一新される。新知事は、記者会見を規制しないで欲しい」(後刻、「私の最初のツイート、三反園氏の漢字が間違っていたことをお詫び致します」との訂正と謝罪あり。甲78の4)と述べているのを見て、「あの郡司さんも鹿児島県知事の記者会見の在り方を批判していたのか」と知りました。

【2】

 7月13日、有村さんは鹿児島県広報課を訪れ、塩田新知事の就任記者会見について、担当者から話を聞きました。その結果、次の点がわかったとして、私へ連絡してきました。

(1)就任記者会見が開かれるのは7月28日。

(2)就任記者会見は鹿児島県が主催する。

(3)新知事が「フリーランスも質問していい」と言っているのに、広報課が禁止するということはありえない。

 そこで、私は「(訴外)畠山理仁さんほか、就任記者会見に参加できそうなフリーランスに声をかけてみる」と有村さんへ伝えました。

 ちなみに、同日、有村さんが超特急で名刺を作れる店を探して行ったところ、「ああ、有村眞由美さん。あなたが書いたものを読みました。がんばってください」と励まされたそうです。

【3】

 7月14日、『南日本新聞』が「鹿児島県知事当選の塩田康一氏インタビュー」の記事(甲78の5)を掲載しました。記事で塩田氏は「定例記者会見は県民に情報発信する重要な場だと思う。双方向のやりとりを大切にしたい」と述べています。同日午前中、この記事の画像と「事前に県庁を牽制したのかもしれない」というメッセージが有村さんから送られてきました。私は「この物言いでフリーランスの質問不可にしたら、三反園さんの二の舞」と返信しました。

以上

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寺澤有
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