特殊景品

パチンコ業界誌で「換金」はやはりタブーだった

 noteで、私がパチンコ業界誌『PiDEA』(ピデア)に連載していた記事に加筆して公開しています。

「何でも好きに書いてください」と言われて続けていた連載だけに、パチンコと関係ない時事ネタも政権批判、警察批判も本当に自由に書けました。

 2010年11月号に元警視庁巡査部長でジャーナリストの黒木昭雄さんの追悼記事を書いて、いったん連載は中断していました。

 2011年3月11日、東日本大震災が発生します。同年夏、私は『PiDEA』編集部から「震災後の警察の動きについて書いてほしい」と依頼され、快諾しました。そして、書いたのが以下の原稿です。

 しかし、この原稿はボツになってしまいました。『PiDEA』発行会社の社長が読んで、「これは載せられない」と判断したそうです。編集部によると、「『出玉の換金は違法』と言うと、パチンコ業界が成り立たない」とのことでした。

 以後、私は『PiDEA』で記事を書いていません。

警察庁とパチンコ業界は「ズブズブな関係」

 2011年3月11日に東日本大震災とそれに伴う福島第1原子力発電所の事故が発生し、電力不足が懸念されると、すぐさま警察庁はパチンコ業界に対し、節電要請を行った。

 6月に入ると、警察庁は約10年ぶりに通達を改正し、パチンコホールの広告の規制に乗り出した。従前、当たり前のように行われていた、特定機種で大量の出玉が獲得できると錯覚させる広告や高い換金率をうたう広告は不可とされた。

 毎年、夏場になると、親がパチンコに興ずる間、乳幼児が駐車場のクルマの中に放置され、熱中症で死亡する事故があとを絶たない。これを防止するため、2011年は、警察庁が7月27日付で通達まで出し、都道府県警察本部にパチンコホールへのはたらきかけを実施させた。

 警察庁とパチンコ業界は、俗な言い方をすれば、「ズブズブな関係」である。しかし、それが目立つのを嫌い、警察庁は表面的にパチンコ業界と距離を置いてきた。何かをパチンコ業界にやらせるにしても、「業界からの発案」や「業界が自主的に取り組む」という形にこだわった。

 そう考えると、節電要請も広告規制も乳幼児の車内放置の防止も、警察庁が前面に出ており、極めて異例だ。これを見たとき、筆者は、警察庁が手じまい、つまり、パチンコ業界との「ズブズブな関係」の清算を急いでいると確信した。

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