記者クラブいらない訴訟、第5回口頭弁論
2024年5月13日、東京地裁(衣斐瑞穂裁判長)で「記者クラブいらない訴訟」の第5回口頭弁論が開かれた。
3月18日の第4回口頭弁論で、原告(三宅勝久、寺澤有)は被告(共同通信社、前田晋吾氏、久納宏之氏)に対し、以下の釈明を求めていた。
〈被告らは、鹿児島県知事の記者会見を県政記者クラブ「青潮会」が主催していると主張しているが、その法的根拠を示すとともに、それを裏付ける証拠を提出されたい〉
これに対して、被告は事前に提出した準備書面で「記者会見の司会進行は青潮会の幹事社により行われている」「鹿児島県も、記者会見は青潮会が主催していると説明している」と釈明していた。
法廷で原告の代理人の山下幸夫弁護士は「記者会見の動画や会見録を見ると、鹿児島県広報課長が記者会見の司会進行をしている」と反論した。
いずれも原告は証拠で提出済みだ。
衣斐裁判長は「事実として、広報課長が記者会見の司会進行をしているのは認めるのか」と質問した。
すると、被告の代理人弁護士は「そういう事実はない。青潮会の幹事社(共同通信社も幹事社の1社)が司会進行をしている」と答えた。
また、山下弁護士は「青潮会が記者会見を主催するという法的根拠はないということか」と確認した。
被告の代理人弁護士は「事実上、ずっと青潮会が記者会見を主催してきた。法的根拠という質問の意味自体がわからない」と述べた。
衣斐裁判長は「青潮会が記者会見を主催する手がかりとなるような法規はないというのが被告の回答。それを前提に、原告は主張していただきたい」と指示した。
原告は、〈報道自由度、日本は70位 G7で最低、国境なき記者団〉と題する5月4日の共同通信社の記事を証拠で提出した。
「国境なき記者団」ホームページの原文では、「The system of kisha clubs (reporters’ clubs), which allows only established news organisations to access press conferences and senior officials, pushes reporters toward self-censorship and constitutes blatant discrimination against freelancers and foreign reporters.」(記者クラブ制度は既存の報道機関にのみ記者会見への参加や高級公務員への取材を許可するもので、そこに所属する記者に自主規制をもたらし、フリーランスや外国人記者に対する露骨な差別となっている)となっているにもかかわらず、共同通信社の記事では、意図的に「フリーランス」という言葉をはずしているからだ。
第6回口頭弁論は7月1日10時から東京地裁第526号法廷で開かれる。