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ヒーローショーの舞台袖が気になる5歳児
映画を見ると撮影方法が気になり、CGアニメを見るとレンダリング時間が気になり、テーマパークに行くとアトラクションのギミックが気になり、ライブに行くとPA卓が気になり…
これを人に話すと必ず「職業病だよ」と言われる。しかし私自身そうではないと思っている。この職業に携わるだいぶ前からそうだから。
私のエンタメの原体験はたしか5歳の時、地元の秋祭りでヒーローショーが催された。地域の子供たちが目を輝かせながらヒーローに声援を送る中、当時の私はある事に気づいてしまった。
トラックの仮設ステージの傍にあるテントの中に、無数の機械とそれを操作する人が見えたのだ。
私は直感でこの人たちが陰でこのショーを作っているのだと悟り、ブースの前を陣取り、ヒーローはそっちのけでかじりつくように見ていた。スタッフのおじさんが沢山のボタンが付いている機械を操って打撃音や爆発音が会場に鳴り響かせていた。
私は心底感動した。陰から機械を操作して会場全体を盛り上げていく様が、カッコよかった。
ちなみに、同時にヒーローのマスクのギミックも少し見破っていた。顔の横に工具箱などで良く使われるパチンとする金具があるのが気になり、それで前顔パーツと後頭部パーツを止めている。TVシリーズのマスクとは違う構造のものを使っているんだなという事に気づいた。
私はいわゆる子供の夢のようなものは何故か抱いていなかった。作り物は作り物、それでもワクワクするしカッコいい。そんな感じの5歳児だった。
その日からヒーローごっこ遊びならぬ、「ヒーローショーごっこ」遊びが定番になった。
裏方への興味と共に、私は幼少期から物を作る事が好きだった。そして作った物を披露するのが好きだった。小学校に入学し、劇の演習などがあると衣装や小道具作りも率先してやっていた。自分は出演する必要はなく、ただただ舞台袖から幕が開いていく瞬間を見るのが好きだった。
そして現在。紆余曲折しながらもエンターテイメント業界の端っこで、今日も幕が開いていく様子を、舞台袖から見ている。