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「本棚」と「頭の中」。(2024年6月コラム)
東京の出張から戻ってきて、二階の自分の「書斎」に座ると、「ああ、帰ってきた」という感じになる。目の前の「本棚」を眺めながら、少しぼーっとする。忙しかった心の動きが少し落ち着いてくる。もう何冊くらいになったんだろう。「本はいくら買ってもいい」と、そこは惜しみなくお金を使ってもいいことにしているから、次から次へ本が増えていく。
最後まで読み切ったものもあれば、全く読んでいないものもあったり、少しだけ読んで積んでいるものある。同時に何冊かを並行して読むので、勢いよく進むものもあれば、途中で止まるものもある。けど、それはどちらでもよい。本は「文字だけの情報」ではないから、どんな時にどこで買ったのか、新書だったか古本だったか、どんな旅に持って行ったか、装丁はどんな感じか、しおりは何を使っているかのでも、本はまるで変わってくる。
さらに、どんな本とどこに一緒に並ぶかだけでも、まるで違った情報になる。「積読」でもいい。そこに積まれている本のタイトル、表紙の色合いの並ぶリズムが、「新しい思考」に誘ってくれる。
僕は、基本的に「作者」毎に並べているけど、図書館のような「整然」とした感じではなく、少しの「歪さ(違和感、ノイズ)」も入れたい。関係なさそうな他の作者と隣り合わせにしたり、並べるだけじゃなく、上に重ねて置いたり、ポストカード、おもちゃを合間に飾ったり。そうすると「一つの世界(生態系)」が立ち上がってくる。まるで「僕の頭の中」を、目の前に「Visualize(視覚化)」したみたいに。
「書斎で本棚を目の前にしていると落ち着く」というのは、「自分の頭の中という、漠然とした大きな広がりが、目の前に見えているという安心感」なのかもしれないと、今書いていて思った。
歳の同じ仲のいい友だちがいる。彼が家に泊まりに来てくれて、書斎で酒を飲み交わすことがあった。彼も「本を読む」ことが好きな人だが、主に「専門書(解剖、生理学)」や「論文」などが多く、「全然、俺の持ってる本と違っておもしろいわ」と喜んでくれた。僕もそれがうれしかった。
最近、街から「本屋さん」が消えるというニュースをよく目にするようになった。それぞれの本屋さんで、選ぶ本、並べ方に「クセ」があっておもしろい。Amazonでも本を買うことが多いけど、「あなたにおすすめ」とAIに紹介してもらうよりも、「ん、何これ?」から始まる、本屋さんでの「偶然の出会い」は格別だ。「個人でやってる小さな本屋さん」が、少しずつ増えてきているらしいけど、本屋さんはいつまでも残っていてほしいなと思う。
みなさんには「本棚」はありますか?なくて積んでるだけにしていますか?どんな本が好きなんでしょう?festaにいらした時には、いつでも僕の本棚をお見せしますし、みなさんの本のことも教えてくださいね。