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「実家の匂い」が気になる。

先日、テレビを息子と観ていたら、さかなクンが「ゴンズイ」の解説をしていた。相変わらず、ホワイトボードに絵をささっと描きながら、即興で説明していくのがわかりやすい。(パワーポイントや資料を使ったものより、こんな風なレクチャーのスタイルが、僕は好き。)

ゴンズイは、「ゴンズイ玉」と呼ばれる集団の塊を形成して、外敵から身を守ろうとするらしい。イメージとしては、「スイミー」のとった作戦に近い。

ゴンズイ玉を「形成するメンバー」は、同じ親から生まれてきた「兄弟たち」らしく、それは「匂い」によって判別しているのだそうだ。

仮に、同じ水槽に2つのゴンズイ玉を作る集団がいたとして、水槽を揺すってその「塊(秩序)」を崩したとしても、またその「匂い」を元に、「自己組織化」し始める。故に、2つのグループが「混じる」ことはないのだという。

これを観ていて、「おお、家族は『匂い』でつながっているのだ」と思った。

確かに、小さい頃に友だちの家に遊びに行くと、「それぞれの家の匂いがある」と感じていて、「うちと違うな」と思っていた。今から考えると、「ここは自分の家じゃない」とか、「自分の家族ではない」と、「匂い」で認識していたのかもしれない。

そして匂いは、「違和(差分)」として感じられることが多く、「自分の匂い」ってわからないものだ。(この歳になると、気をつけないとね。笑)

「家族なるもの」がある。

僕もなんとなくそれはわかる。定義とか教えてもらわなくても、それはわかる。

それは「匂い」によって識別されているかもしれなくて、同じ家族は「(大きい視点では)匂いがしない人たち」で、それ以外の場所に行くと、「ん?なんか違う?」という形で感じる。

けどある日、人は、「うーん、なんとも窮屈だ」と、いろんな理由で「住み慣れた、生まれ育った家」を飛び出し、旅に出る。その中で、「変わった匂い」や、「妙に惹かれる匂い」や、「お父さんに似ている匂い」などに出会ったりする。

旅の期間はどれくらいだろう。

数日の時もあれば、数ヶ月、数年ということもあるだろう。

それによって、「ああ、家に帰ってきた(ここは自分の家族がいるところだ)」と感じるのか、「あれ、実家の匂いってこんなだったけ?(旅の途中で『自分の家族』を新たに持ち、『家族の匂い』がシフトしている)」こともあるのがおもしろい。

「遺伝的に遠くに離れた人」に惹かれるように人間はなっているのかもしれないけど、それって「匂い」が結構大事な役割をしてそうだし、「遠いんだけど、近く感じる匂い(違うんだけど、どこか似ているような…)」ってのもありそうな。

もうちょっと、この辺りは勉強したり、探求してみたいなと思う。

「なんか、『同じ匂い』がするなって思ったんですよね」なんていう感じで、「共同体の構成」とか、「所属意識」にも関わっていそう。でもそれが、「他の共同体の排除」にもつながったり。うーむ、興味深いわ。

ちなみに僕は、「どこのコミュニティにもどっぷりと属していない人」でいたいなと思ってるんだけど、それって、「あんまり匂いがしない人」ってことよりも、「いろんな匂いが複雑に混じり合って、そこまで何かを刺激することのない『丸くて、安心する匂い』がする人」ってことなんじゃないのかなと、思ってみたりして。

「洗濯物の太陽の匂い」とか、「森の中の匂い」とか、「ぬか床」とかとか。

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