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母集団形成より動機形成が大事だと思う話

母集団形成至上主義がまだまだ色濃く蔓延るこの世の中に、アリ一匹の私が小石を投げ込むような滑稽さと覚悟を持って、動機形成至上主義を唱える話をしようと思います。

22歳の人口推移を見ると恐ろしくなる

まず、人口はこの先、減り続けていきます。国立社会保障・人口問題研究所の調査データによると、2024年の22歳の人口は121.4万人に対して10年後の2035年には10万人もの人口が減り、20年後は約40万人、30年後は50万人まで落ち込みます。

国立社会保障・人口問題研究所「出生中位(死亡中位)推計(令和5年推計)」

一方で、こんなデータもあります。

産経新聞 「親世代の日東駒専は今の早慶レベル」って本当?受験認識のギャップでこじれる親子関係

何が言いたいかというと、昔は今と比べて大学数も少なく、ライバルとなる学生も多い中、難関大学は非常に狭き門だったと言える。では、今はどうでしょうか?ライバルとなる学生が少なく、大学数も増えており、大学側も経営上多くの学生を集める必要がある。昔と比べれば、非常に広き門というわけです。

これ以上は野暮な話になるので、あえて細かく言及はしませんが、要約すると、一人でも多くの優秀な新卒採用を実現したい!という企業側の需要に対して、市場における供給は追いついていない、というのが、まず前提にあるのです。

学生の吟味・選別の勢いが凄い

もう一方で、就活って軸で見ていくと、1人当たりエントリー社数も激減しています。

キャリタス就活「新卒採用マーケットの分析 2024年卒 就職・採用戦線総括」

私が学生の頃は「50社エントリーをしたのに、1社も受からない…」と泣いていた友人もいましたが、徐々に、学生側もエントリー段階からかなり慎重に吟味する傾向が見て取れます。もちろん、吟味するのはエントリー段階だけではありません。

次のグラフは、
「選考辞退が3割以上ありました」という企業の割合推移と、
「内定辞退が5割以上ありました」という企業の割合推移です。

マイナビ企業新卒内定状況調査(2022年卒・2024卒)

現場感でいうと、25卒で内定辞退率50%以上の企業様と出会う機会も増えてきました。

企業は選ぶ側から選ばれる側という自覚を

まとめると、エントリー段階から、選考過程、内定後と、企業側はものすごい勢いで選別されている、ということです。しかも、企業の方から聞くところによると、内定辞退も、昔は電話や直接出向いて伝えていたらしいのですが、今ではLINEやメールでサクッと、カジュアルに済ませちゃうのだとか。私も何社かメールで済ませちゃった経験あるので、何も言えませんが。

以上のような、企業側は明らかに選ぶ側から選ばれる時代になってきている市況感の中で、やみくもな母集団形成をいつまで続けても、本当の意味で採用成功はあり得ない、というのが私の所感、危機感でもあるのです。

選ばれる理由づくり、動機形成戦略をしないとマズい

どれだけ掲載する媒体を増やしても、プールをかえてスカウトを打ち続けても、紹介会社を増やしても、母数が増えない今の時代、大事なのは、その先でずっと選別され続ける背景を捉えて、「この会社でいいや」という諦めの選択ではなく「この会社がいい!」という希望に満ちた選択を増やすための戦略だと思うのです。

これが、私の言う母集団形成至上主義ではない動機形成至上主義の根っこにある思想です。

もちろん、求人原稿やスカウトの文面、エージェント向けのブランディング・関係構築など、各社さまざまな努力をされていることを知っています。

ですが、それは「選ばれる理由」を明確にした訴求戦略に基づいているか、疑問に思うことも結構あります。

最近では、働きやすさ訴求をしている会社も結構多くいらっしゃいます。年間休日が何日以上だ、ワークライフバランスを充実させるための豊富な休暇制度を用意してますだ、多様な働き方を実現できる制度だなんだ。

でも、事業サイドの責任者とかの話を聞くと、そういう働きやすさ文脈に集まってくる人は、きつい仕事や苦しい局面に出くわすと、辞めちゃうと。

で、実際に、社員の声を聴きに行けば、そういう制度よりも、仕事を通じて社会に自分がこんな風に貢献できているとか、自分が取り扱っている商品やサービスでお客様をこんな風に感動させられて「ありがとう」と言われたとか、チームで一緒に働く人たちがこんな人で、こんな風に切磋琢磨できたとか、そういう魅力がごろごろと転がっていたりします。

それこそが会社らしさであり、それを広めるための広報・マーケティングを戦略的に考える必要があると思うのです。

なんですけど、インターネット上を俯瞰的に見ると、皆さん一様に待遇面や制度面が訴求され、一方で口コミサイトでは辞めた人のネガティブな暴露話に花が咲き、実際の企業の“虚像”が出来上がっていたりする

企業側では、そうした問題にふれて、口コミを消すとか、サクラを雇って上書きするとか、書き込み代行をする業者さんさえ生まれてたりする。なんだかイケてないじゃないですか。

それでもいいよって割り切れる人の方が多いならいいけど、私はそれは本質的じゃないじゃんって思うのです。

だからそこに現職で活躍している方々、口コミサイトにはおそらくこの先一生縁のない方々の声を通して、魅力を言語化し、広めていきたい

こうした課題意識から「現職社員の口コミサイト VOiCE」というサービスは生まれましたし、「VOiCE」ではそんな“らしさ”を言語化するための専用のサーベイを開発しました。

この事業の面白さは、つまり、VOiCEを利用する企業にそうした活躍社員がいること、活躍社員予備軍となる成長志向・活躍志向の社員がいること、が前提にあります。さらに言えば、口コミを増やす=コンテンツを充実させようと思ったら、活躍社員・活躍予備軍を増やす努力が求められる。したがって、VOiCEのコンテンツの充実はその会社の成長でもある。

で、そうした活躍社員の人たちの声に強く賛同して、動機づけされた人が増えるみたいな、このサイクルを作るっていうのが幸せだと思うのです。

結果として発信するべき魅力をまず先に持つ。それをいかに多くの面を取って発信するか?となる。そこで初めて必要な母集団が生まれる。この順番でいくから、採用担当者はもちろん、リクルーターとなる社員の方々の言葉や求職者への接し方も変わる。当然、広報の仕方も変わる。

その出発点に「社員の声」を置く。

VOiCE」の由来はここからです。

さいご宣伝になっちゃいました。すみません。

以上。

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