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ヨーロッパSAKE事情 ~スウェーデン編~

こんにちは。
株式会社小林順蔵商店の小林佑太朗です。
今回は、北ヨーロッパの大国、スウェーデン王国におけるSAKE事情をお伝えしたいと思います。

スウェーデンの概要

スウェーデンは、北ヨーロッパのスカンディナヴィア半島に位置する国で、西はノルウェー、北東にはフィンランド、南西にはカテガット海峡を挟んでデンマークに囲まれた国です。首都はストックホルム、主要言語はスウェーデン語、EUに所属しているが使用される通貨はスウェーデン・クローナ(SEK)です。

(ちなみに、お隣のデンマーク王国もEUに所属していますが、デンマーク・クローネ(DKK)という通貨を使用しています。良く財布の中で混ざってしまって、レジで焦ってしまいます。ややこしいですね。。笑)

スウェーデンのアルコール全般に関して

スウェーデン1

日本では、スーパーマーケットやコンビニなどで比較的簡単にアルコールを手に入れることができますが、スウェーデンは世界的にもアルコール規制が厳しいため、それゆえSAKE事情は、少しユニークです。
なぜならば、スウェーデンで小売販売されるアルコール度3.5%以上の酒類は、Systembolagetという国営の専売公社が専売権を有しているため、日本のように気軽にどこでもお酒を買うということが難しいのです。また、そのSystembolagetも、営業時間は平日AM10:00~PM7:00までで、週末は土曜日にのみAM10:00~PM3:00にオープンしているだけなのです(店舗によって差異あり)。
もちろん、アルコール度3.5%以下の酒類であれば、スーパマーケットやコンビニで購入する事が出来ます。なんと、世界的に有名なCarlsbergやGuiness、Heinekenといったビールも、スウェーデンのスーパーマーケットやコンビニで販売できるように、特別にアルコール度を3.5%に下げた商品を製造しています。

スウェーデン2

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なぜこのようなシステムになったのかというと、昔からスウェーデンは寒い地域ということで、歴史的にウォッカなどのアルコール度の強いお酒が好まれていました。さらに、スウェーデン料理で有名なニシンの塩漬けなどはショットグラスでシュナップスやアクアビットというじゃがいもを原材料とした強いお酒と非常に相性が良かったということもあり、アルコール依存症などが社会問題となっていきました。そのため、こうした習慣を無くそうと、1920年代から禁酒運動が盛んとなってきました。それに伴い、政府も販売自体を管理するようになり、1950年代より今のシステムが出来てきたといわれています。

Systembolagetに潜入!

今回私は、スウェーデンの南部に位置するマルメ(Malmö)という町に伺いました。マルメは、スウェーデンではストックホルムやヨーテボリに次いで3番目に人口の多い町です。マルメは、最先端のバイオテクノロジーやIT企業の誘致が盛んとなっていたり、近代的な建築物が増えてきている一方で、市街にはマルメ城などの歴史的な建物や公園が残っており、新旧の素晴らしい文化の融合する町です。

当然、マルメにも前出したSystembolagetが数店舗存在します。今回は、そのうちの一つに訪れました。
印象的な看板を通って店内に入ると、ワイン、ビール、ウイスキー、リカーなど様々な種類のお酒が所狭しと並べられています。ワインだけでも世界の様々な国・地域から何十種類も取りそろえられています。さすが、スウェーデンにおいてアルコールを(ほぼ)独占して販売しているだけあります。

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日本からは、アサヒ・キリンなどのビール、甲州ワインなどのワイン、そして響・山崎・明石・戸河内などのウイスキーも取りそろえられています。店頭に置かれていない、ウェブショップでの取り扱いを合わせると、なかなか日本の商品もスウェーデンへ輸出されているようです。

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スウェーデンのSAKE事情

肝心の日本酒に関しても、近年その商品ラインナップは増加傾向にあるようです。しかし、店内を見回してみても、日本酒の陳列されている棚は非常に限られたスペースしかなく、「SAKE」というカテゴリーもまだ出来ていないのが現状です。

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例えば、今回訪問したSystembolagetに陳列されていた「吟醸 極上吉乃川」ですが、日本での希望小売価格は、税込で1,296円。一方、スウェーデンでの販売価格は、239スウェーデンクローナでした。「1スウェーデンクローナ=13円」で計算すると、一本3,107円です。輸送費等を考えても、妥当な線なのかなあと思いますが、現地スウェーデン人からすると、やはり様々なワインが1,000円~2,000円で売っていることを考えると、若干割高に感じてしまうそうです。
やはり、そのおいしさや飲み方、背景にあるストーリーを丁寧に伝えて、その価値を現地人に徐々にわかってもらうような取り組みも必要なようです。
しかし、最近では有機認定の「Ekologikt」というカテゴリーにおいてSAKEが選ばれてきていたり、その存在感は年々増してきていることは確かなようです。

最後に

今回の訪問でミーティングをさせていただいたインポーター様からも、ついこの間にスウェーデンのTVにて現地ソムリエの方が日本酒を取り上げて宣伝された、という話を伺いましたし、マルメ市内でも(もちろん、スウェーデン国内全体でも)日本食レストランの数は増加してきているようです。

スウェーデンでは、ワインブーム、ウイスキーブームなど様々なブームが今まで起きてきたが、次のブームはもちろん「SAKEブーム」となるのではないかと、期待させるような気配が近づいてきているのを感じさせる今回の出張でした。


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