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Merry Chirstmas and a Happy SAKE Year!!


Merry Chirstmas and a Happy SAKE Year!!

こんにちは。
株式会社小林順蔵商店の小林佑太朗です。
早いもので、もうクリスマスも終わり、年末に差し掛かってきましたね。
久しぶりに、この1年の総括と今後の活動についてつらつら書いていきたいと思います。


2023年の総括

2023年は、日本酒業界にとっては、色々と変化の起きた年だったと思います。一番大きなトピックは、2023年5月に新型コロナウイルスが「5類感染症」に分類され、それに伴い本格的に経済活動が活発化していったことだと思います。これによって多くの方が本格的に外に出掛けるようになってきて、飲み会などの活動も再開されるようになってきました。多くの酒蔵も、今年の1月にはなかなか新春の蔵開きを行うことが出来なかったのですが、今年の後半には久しぶりに再会するようになってきました。

酒蔵にとって、これって本当に大きな事だと思うんですよね。やはり実際に自分の蔵を開放して、ファンとの交流をするということが酒蔵にとっての励みにもなるし、そこで働くスタッフにとってはお客様の生の反応を得て仕事のやりがいを感じる稀有な機会にもなるからです。
そのせいか、秋の仕込みが始まるシーズンには、蔵開きを行う酒蔵様が大変多かった印象です。また、年末年始の歳春蔵開きを計画している酒蔵様もたくさんいらっしゃいます。

また、輸出に関して考えると、いい面と悪い面の両面があった1年だったように感じます。いい面というと、もちろん新型コロナウイルスの影響が弱くなって、飲酒機会が大幅に増えたことかと思います。ただ、海外では本年からというよりは昨年より日本に先駆けて既にマスクもつけないような環境が出来ていたように感じるので、今年特に変化したという感じでもないかもしれませんが、いずれにしても最も厳しい状況だった2、3年前ごろから考えると業界にとっては大変良い状況に改善してきております。

ただ、海外需要が促進されるような要因ばかりだったかというと、そうではないのが現状です。その一つが、2022年初めごろから始まった「ロシアーウクライナ戦争」です。当初は、すぐに終息すると思われていたこの戦争は予想に反して長期化しており、未だ終息の気配は見えません。近隣諸国は、この戦争の直接的な影響をモロに受け、難民や物流の問題など大変大きな打撃を受けました。また、地理的に隣接していない地域(例えば、中央や西側の欧州、アジアなど)もその影響を受け、その最たる例は、エネルギー高騰に端を発する生活費等の高騰が挙げられます。一時的とみられたエネルギー問題も既に慢性化してきており、世界各国の地域住民の光熱費や生活雑貨の継続的な高騰により、人々の財布のひもが固くなってしまう要因の一つとなっています。その結果、世界的にまだまだ新規商品かつ中・高価格帯の分類となる「日本酒」には中々手が伸びなくなってしまう状況も存在しています。

また、中国の福島第一原発処理水に対する強い反発からくる日本産品への不買運動も日本酒業界には大きな負の影響を与えています。輸出統計を見ても分かるように、現状の日本酒輸出の2大お得意先は米国と中国であり、その2か国に輸出の大部分を依存している酒蔵は多く存在します。聞くところによると、中国で福島産の日本酒の販売を行った事業者に罰金が科されたり、現地の日本料理店などで日本産の食材などが中国産に変更されるなど、大きな影響を及ぼしているようです。本件のニュースが流れた夏ごろからは、中国向けの輸出がピッタリとストップしてしまったという酒蔵様も多く、売り上げの見通しがたたないとなげく酒蔵も多いようです。ただ、年末に近づくにつれ、徐々にオーダーも回復傾向にあるとのことですので、完全復活も近いのではないかと期待しています。

2024年以降の海外日本酒市場の動向

様々なトピックがありましたが、海外日本酒市場は年々拡大傾向にあります。2022年の日本酒輸出額は約475億円となり、13年連続で最高値を更新してきました。国内需要が低迷している中、多くの酒蔵様は海外に活路を見出して活動して参りました。特に、2021年、2022年はコロナ特需ともいえるほどにその伸び率も大きく、海外市場での存在感は大きなものになってきています。

ただ、2023年の輸出額は微減が予想されています。その理由としては、上記のエネルギー問題や原発処理水問題はもちろんのこと、やはりコロナの影響が弱まったことも大きいのではないかと感じています。
もちろん、コロナが収まってきたことにより外食や外飲みなどが増えていくというプラスの影響があります。しかし反対に、今までコロナによって我慢してきた様々な事(例えば、旅行やショッピングなど)にもお金を使うことが可能になり、結果として世界の人々のお金の消費先の選択肢が(コロナ禍と比較して)増えたことにより日本酒の消費の伸びに歯止めがかかっているということだと思います。

また、もう一つ言われているのは、「海外の日系市場の日本酒需要が飽和に近づきつつある」ということです。日本酒が海外にたくさん出ていっているということで、世界各国の色々なレストランや小売店などに日本酒が並んでいて、様々な現地の方が日本酒を楽しんでいるというイメージを持つ方も多いと思いますが、それは半分正解で半部不正解と言えます。もちろん、徐々に現地人が普段楽しむようなレストランやお店に日本酒が並びつつあるというのは間違えの無い事実です。業界全体として、少しでも多くのお店やレストランに商品が届くように一丸となって普及活動を行っております。

ただ、やはり最大の消費場所は、和食店、日経スーパーや日系デパートなどです。そういった場所に訪れる人は、日本人の駐在員であったり、日本や日本食が好きな一部の現地人です。私のnote記事でも再三お伝えしているように、世界の多くの人々にとって日本はまだまだ身近ではなく、日本酒が常飲酒になっているとは言い難いのです。
日本酒に携わる多くの業者様にとっても、ゼロからそのような現地人の需要を喚起させ、日本酒を飲むように促すのは相応の労力がかかるし、時間もかかります。それって、広大な砂漠に自分一人で水を撒いていくような行為で、効果が見えにくいんですよね。通常、営業活動には達成すべき目標があり、それを達成すべく各営業担当者は活動を行うのです。そうすると、営業活動をするうえで「和食には日本酒」と分かりやすい場所の方が消費がされやすそうだなーと考えるのは普通ですよね!?

今までは、それが一番効率的だったんです。間違いではないんです。
2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを契機に、そして世界規模で健康ブームが起きたことにより、世界各国に和食店がどんどん増えていきました。今までは、そういった増え続ける和食店や日系ルートに、日本から日本酒が届いていなかったため、そこに届けるだけで数量は伸びていきました。(語弊が無いように注釈しますが、業界各社はそれだけしか行ってこなかった、という意味ではございません。あくまでも、メインストリームの流れとして、という理解をしていただけたら幸いです。)

ただ、ここにきてそういった既に需要ある程度見込める市場に対する輸出に頭打ち感が出てきたように感じます。2022年の輸出統計も、金額ベースで見ると最高値を更新していますが、数量ベースで見ると前年度を割っています。これはつまり、数量としては若干減ったが、輸出されている商品が高価格帯に変わってきている、ということです。もちろん、高価格帯の商品が売れてきているということは喜ばしいということですが、市場の頭打ち感を打開するには至らないと思います。

ここで必要なのは、やはり「現地市場をしっかりと創造する」ということに尽きるのではないかと思います。
(いつも言ってるので、またそれか、と思われるかもしれませんが(笑)、まさにその活動が必要になってきていると改めて感じるようになってきました。)

まだまだ世界的に見ても、「日本酒は和食を食べるときに楽しむもの。それ以外の食事は合わせたこともないし、併せようと考えたこともない」というのが現状だと思います。これからの海外市場では、そこにしっかりと訴求し、真なる現地市場の開拓に真正面から取り組むことが、回り道に見えて全体的な市場拡大に最も必要な事だと考えています。

この点に関しては、業界的に取り組んできていましたがその流れがより強くなってきたようにも感じます。例えば、WAKAZEはフランス市場(欧州市場)に合わせた商品をフランス現地で開発、流通しようと本格的に動いていますし、獺祭の旭酒造もニューヨークに現地工場を建設して日本と米国の文化を融合させるべくチャレンジを行っています。

つまり、2024年以降の海外市場は、そのような動きが激化していくと予想しており、我々もその一旦を担えるべく引き続き、努力をしていこうと改めて考えております。

おわりに

つらつらと今年の出来事や所感を書いてきましたが、もう少しで2024年に切り替わります。
我々も色々とやりたい構想がいくつもあるのですが、中々実現できていないものも多いので、来年は一歩一歩想いを形にし、我々らしく笑顔で活動できるよう頑張って参ります。

最後になりましたが、本年度も本当にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします!

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