ヨーロッパSAKE事情 ~ポルトガル編~
こんにちは。
株式会社小林順蔵商店の小林佑太朗です。
今回は、ヨーロッパSAKE事情~ポルトガル編~を語っていきたいと思います。
ポルトガルの概要
ポルトガルは、西ヨーロッパのイベリア半島に位置するユーラシア大国最西端の共和制国家であり、北と東にはスペインとの国境をもつ国です。
その首都は国内最大都市のリスボン、共通言語はポルトガル語、EU圏内なので共通通貨はユーロです。
ポルトガルの首都・リスボンでの出会い
今回私は、首都リスボンの「SAKEMICO」というインポーター様とお会いしました。「SAKEMICO」は約2年前からリスボン西部の旧市街地区に居酒屋兼日本酒卸業者としてポルトガル生まれの日系人であるイズミさんがスタートしたお店です。
トレードマークは、HPや店の扉に描かれている可愛い「日本酒を飲むお猿さん」です。(ちなみに、ポルトガル語でMICOとは「猿」という意味なので、そのトレードマークはお猿さんになったそうです。)
今では、リスボンには和食屋や和食フュージョンレストランが数多く存在していますが、彼女が日本酒ビジネスを始めた数年前はその数も数える程度しかなかったそうです。
また、当時は和食屋で食事をしても、現地人はビールかワイン、もしくはジン(!?)を飲んでおり、日本酒の置いてある店も少なく、その評判はほとんどなかったそうです。
(なぜジンが日本食とともに飲まれ始めたかは定かではないようで、地元の方によると「日本酒が当時あまりポルトガル入ってきていなかったので、日本食とジンを飲むのがかっこいいというスタイルが独り歩きしたのではないか」ということでした。)
イズミさんは数年前までは二十数年間アメリカの和食レストランで働いていたそうで、ある転機に生まれ故郷のポルトガルに帰ってきたところ、そういった当時の状況に衝撃を受け、自身で日本酒を普及させたい!という思いでビジネスをスタートされたとのことです。
その影響か、この数年で和食レストランの数は飛躍的に増加し、それに伴って日本酒の需要も確実に伸びてきているようです。
実は、ポルトガル(リスボン市内)には利き酒師の資格を持つ人は3名しかいないそうです。一人はもちろんイズミさん、あとの二人は和食系の飲食関係者の現地人だそうです。
現地レストランに潜入!
今回、たまたまそのうちの一人Joel君にお会いして、彼の働く和食レストラン「五十(GO JUU)」にも訪問しました。彼は、現地の和食レストランで働いているうちに日本酒の魅力に気づき、今ではつい数週間前まで日本全国で酒蔵巡りをしていたくらいSAKE好きになってしまったそうです。
レストラン内に入ると、オリエンタルな内装に、木製のカウンターがあり、その目前には寿司ネタが並べられていました。テーブル席も数多くあり、グループや団体での利用をされているお客さんも数多くいました。
このレストランのオーナーはポルトガル人であり、カウンター内で調理を行っているのは全て欧米系のシェフでした。シェフの多くは、日本人系の和食レストランできっちり修行をされていきたようで、食材を扱いや包丁さばきは非常に素晴らしかったのを覚えています。(もちろん料理も、ポルトガルにいるとは思えないくらいおいしいものでした!)
Joel君はそのレストラン内のバー担当で、お客さんにおすすめのお酒やドリンクを勧めており、どの食材にどの日本酒をおすすめするか、というのも全て彼が任されているようでした。
やはりまだまだポルトガル現地人からすると、日本酒というドリンクはまだまだ馴染みが薄く、ただ単にメニューに載せているだけではオーダーしないようで、彼は常にお客さんと話をして、彼らがどの様な料理をオーダーしたか、そして好みはどのようなものかを確認しながらその人その人に合った日本酒を提案しているようで、レストランからもお客さんからも信頼は非常に厚いようです。
最後に
見ていると、まだまだお客さん自身が日本酒というものの情報や違いを理解しているとは言えないので、彼のような情熱をもつプレイヤーが情熱とともに日本酒の素晴らしさ、おいしさを一歩一歩伝えていくことは、非常に素晴らしいと感じました。
結局、平日にも関わらずレストランはほぼ満席で(しかもほぼ現地人!)、日本食、さらには日本酒のこれからの普及が楽しみな市場だと感じる事が出来ました。
以上、ポルトガルのSAKE事情でした。
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