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ポパイと千夜千冊のあいだ

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読んだ本を雑に、不定期に振り返ってみる。
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#おすすめ本

2024年12月・年末年始に読んで面白かった本5選+α

12月・年末年始ベスト5ウォルター・シャイデル『暴力と不平等の人類史』東洋経済新報社  以前noteにも書いた『エリート過剰生産が国家を滅ぼす』ともリンクする一冊。もしかしたら本文中で言及があったかもしれない。人間社会は戦争・革命・崩壊・疫病によって階層や格差が是正されてきたということを古今東西の歴史的な出来事を参照しながら明らかにしている一冊。日本の第二次世界大戦後の事例にも触れられているのでそういう意味では見た目(かなり分厚い)の割にすんなり読める。  そして現在は再び

2024年上半期 読んで面白かった本40選

2024.9.10更新 24年上半期のテーマは大きく、「民主主義」、「効果的利他主義の倫理」、「資本主義」(柄谷行人の反動)3つだったと思う。色々読んだり積んだりした中から、「今後も読まれ続けるであろう本」、「単純に凄く面白かった本」、「参考になることが多かった本」を中心に、社会学や哲学、サイエンス、ビジネスまで40冊を選んでみた。 後半以降、面倒くさくなってコメントを入れなくなった。気が向いたら加筆する予定。 社会学フェイ・バウンド・アルバーティ『私たちはいつから「孤

なぜデータ主義は失敗するのか?

 『なぜデータ主義は失敗するのか?』は、北欧の戦略コンサルティングファームの創業パートナーによって書かれた本。  近年、小島武仁氏や中室牧子氏のような実社会のデータを用いる経済学者らによって、経済学的手法を用いた政策の立案や企業の制度改革などが進められている。いわゆる「エビデンス・ベースド(Evidence Based)」の動きは、政治や民間企業に留まらず様々な領域(*1)に広がっているが、本書はそうしたデータ主義に異を唱える一冊と言える。  筆者はデータに基づいた分析や

22年12月に読んだ(読んでない)本

 2022年12月に読んだ本を備忘録的に雑感とともに列挙。基本雑レビューなのでご容赦ください。読んだ(読んでない)は文字通り、読んだかもしれないし、読んでないかもしれないという意味です。本当はあと2冊(「教養としての認知科学」と「エスノメソドロジー」)あるけど感想も出てこないほど読んでないので1月に。 ◯Niklas Luhmann ドイツの社会学者、Niklas Luhmannの著作。特に面白かったのは「プロテスト」。全く無意味とは言わないまでも社会運動がオルタナティブな