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いつすべらない話に招待されてもいいように記録をすることにした。

なぜすべらない話を作ろうと思ったか

「それは自意識過剰だよ」

そう言われることが多いし、そう自覚している。
例えばレストランに1人で入りたくない。
例えば美容院に行くことがしんどい。
例えば道で知らない人と目が合うのが怖い。

なぜかと言うと、
自分という存在が恥ずかしくて周りにバカにされていると思ってしまうからだ。
「そんなに周りはあなたのこと見ていないよ」
と言われてもそう思ってしまうことを止めることはできないのだからしょうがない。

問題はこの自分の性質を大嫌いなときと大好きなときがあって、とにかくこの大嫌いなときが凄く悲しくなるから少なくしたいのだ。
でも私は、悲しくなるのは当たり前やろ、しょうがない(2回目)と思ってしまった。と同時に、でも悲しくなるだけなのはもったいないなと思うようになってきた。
この自意識過剰でなにか楽しいことをできないか。

そうしてある日、自意識過剰で、妄想癖の強い私が思いついてしまったことが、これ。
「(某番組)すべらない話かぁ…え、ここに招待されたら何を話せばいいんだ…?どうしよう何も準備していない。考えなきゃ」

…気にしすぎだろとも言えないような、超絶自意識過剰をこじらせた結果、こんなことを始めた。
でも、これを作ったおかげでネタが尽きず、思い出を残すこともできて、結論とても有意義なものにできた。
それからというもの、夢ややりたいこと、好きなものまで思いついたらメモをする癖がついてきたので、なかなかポジティブなものに落とし込めてきたような気がする。

前置きはここまでして、
私のすべらない話を一つ、ご紹介しようと思う。


傘が朝の集会で晒される事件



通称、呪いの傘事件

ここまでだと、完全なる悲劇ホラーであるが
今思うと、なかなかいい経験ができた話なので、
心配せずにできたら読んでほしい。



これは高校生の時のお話。
私の高校は校舎に入ると、玄関口のすぐ横にロッカー室があり、長い島になったところに部活動別(帰宅部は帰宅部で)で各自のロッカーがある。そこに教科書や靴、シーブリーズなどを置いている。
そしてこの話の主役、傘については傘立てもあるが、
大抵は、各ロッカーの島の横の壁に引っ掛けていた。


その日はよく覚えていないが、曇りだったんだろう。


私の母は天気予報をしっかり見ているので、
登校する時には雨が降るかなんてわからないような日でも私は大抵傘をきちんと持ってくることができていた。

でも記憶の限りはほとんどの人が傘を持っていたから、
大々的に雨と言われていた日だったと思う。


学校に着いて、傘立てにたくさん傘が入っているのをチラリと見ながら私は自分のロッカーのある島の横の壁に傘を引っ掛けた。
ちなみに傘はというと、某ねずみのキャラクターが全体にプリントされた透明なモノクロの傘である。
今はなんてこともないが、話題にするだけあって、
「お気に入り」の傘だった。

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たくさんの傘に紛れるお気に入りの傘。
それを視界に入れて、教室に行くべく私はロッカー室を出た。



授業が終わると部活動にいく。
私は文化部でありながら、かなり忙しい部活に入っていたのでこの日も元気に部活動に行こうとしていた。
まずは勉強道具を片付けにロッカー室へいく。
そうして部活動が終わったらすぐ帰れるように荷物は部室に持っていく。せっせと片付ける。気付く。




傘がない。








お気に入りの傘がない。
一通り探した。この探したはかなりだ。
だだっぴろい学校で、教室、ロッカー室を行ったり来たりした。いろんな傘立ても探した。でもない。


これは盗まれたとしか考えられない。
しかも最上級に悪な盗み方である。


悪いことにはもちろんレベルがある。
だから例えば、いつ置いてかれたのかわからないような傘を拝借することや、晴れの日になぜか盗むことはまだマシだといえよう。
だが今回は、雨の日に、雨が降っている時に、大多数の人が傘を持っている日に盗まれたのだ。


これは大罪である。






すぐに私は職員室に行って、
いつもは怖くて長話をしない女の先生のもとへ走った。
「傘を盗まれました。特徴は白黒のミ○キ○のプリントされた透明の傘です。とてもお気に入りです。まだ雨も降ってるこんな日に盗まれました。盗んだ犯人は濡れず、私は濡れて帰る。こんなことありますか???ひどすぎるひどすぎるひどすぎる!!!!」
こんな調子で体感30分は怒っていた。


だかその日は結局見つからず、
なぜか覚えてないが、帰りは多分部員に入れてもらってことなきを得たと思われる。


そうして時は経ち次の日になった。
ちなみに、話はまだまだ起承転結の、起が終わったあたりだ。ここからだからぜひ読み続けてほしい。


その日は5時間目の時間に全校集会があった。
いつもお馴染みのような話を聞いて、ぼーっとしている私。ちなみにこの頃はこんな何年もネタにするほどの日々を自分が過ごしているとは思っていない。しかも、もう割と吹っ切って元気に過ごしていたと思う。


そんなこんなで、学校1恐ろしい風態の生徒指導のボスが現れた。何か怒られるんだ。みんなが思う。ため息が出る。



「先日傘が盗まれました。」


私である。




「本人はとても悲しんでいます。」




私である。
ここで周りも同じ部活の人は私の先日の有様を知っているので気づき始める。




「お気に入りのミ○キ○の透明な傘だそうです。」



私である。どう見ても私である。個人情報保護が身内では全く不可能な話である。笑いが抑えられない周りに私は頭を押さえるしかなかった。



その話中、恥ずかしさで虚無になっていた。
「盗んだ人、見かけた人はご連絡ください。」






つまり、とても大事になっていた。




もちろん私にとって大事ではある。
お気に入りの傘だから。
だからってその日から在学中3年間ずっと、ロッカー室に「ミ○キ○の白黒の透明な傘を見つけたら職員室へ!」という張り紙が至る所にされるとは誰も思わないであろう。









でもまぁ面白くなった。高校生の私にとってこんな非日常の出来事として注目を浴びたのは恥ずかしくもあり、少し嬉しかった。こういうことでは喜べるのだ。自意識過剰の不思議なところである。
しかもこれをきっかけに当然ながら新しい傘を手に入れた。今度は赤みの強いピンクの水玉の傘。
なんと16本も軸が入っている。





お気に入りである。
今でもその傘とは続いている。











この出来事はここで終わりだが、
盗まれなくなった傘がどうして盗まれなくなったのか。
次はこの話をしよう。これが結。










悲しみに暮れた私は思った。
「正しい行いをした私がなぜ苦しみ、最低な行いをした人がなぜいい思いをしたのか。」
これに私は憤った。










そうだ。









「私の傘を盗んだら、絶対いい思いにならない傘にすればいい。タダでいい思いにさせてたまるか。」
















呪いの傘にしたのである。
それがこちら。

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この傘は今でも愛用している。
つまり盗まれずにずっと私の手元にあるということだ。
この話をすると大体大爆笑されるか怪訝な顔をされるが、そんなことはどうでもよく(すべらない話ではあるが)、盗まれないという結果が大事である。

しかも盗まれたとしても、
拝啓、私の傘を盗んだ人へ
あなたはどうやら呪いの傘を盗んだようです。
不幸になるでしょうね。悲しんでください。
傘の持ち主より


という内容を暗に送ることができるのだ。
素晴らしい。すっきりした。


今日も高校生の頃から愛用しているお気に入りの傘を携えて私は元気に働いている。


以上。

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