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僕にとって高校サッカーの聖地国立が、ヴェルディJ1昇格の場へと変わった日

国立は僕にとって、高校サッカーの聖地だった。2023年12月2日までは。

僕が小学2年でサッカーを始めた年に、Jリーグが始まった。当時のヴェルディは日本代表に名を連ねる選手も多く、周りの友達と共にヴェルディに魅了されるのに時間はかからなかった。

中1の途中で「自分はサッカーでは通用しない」と悟り、サッカー部をやめたが、その後もサッカー自体は見ていた。しかし陸上競技部に所属してからは、自分の中で陸上のウエイトが大きくなり、サッカーは日本代表の試合や天皇杯があれば見る程度となった。
東京があまり得意でないこともあり、大学で京都へ行ってからは、東京に関する情報をあまり得ようとしなかった。カナダへ語学留学している間は、そもそも日本の情報に触れる機会もあまりなかった。そんな感じで過ごしていたから、ヴェルディに関して知っていることと言えば、福西選手やフッキ選手がいたことくらい。(しかも時系列もよく分かっていない)

カナダから戻って、サッカーを再び観戦するようになったのも、恐らく高校サッカーがきっかけだ。僕も通った高校に弟が入学し、弟が高3の時にインターハイと全国高校サッカー両方に出場する快挙を成し遂げた。(弟はメンバーには入れたが、試合には出ることは叶わなかった)
その応援に毎週末のように行く中で、「やっぱり高校サッカーは面白い」と感じるようになった。一年間のご褒美として高校サッカー初戦を観戦し、冬期講習のご褒美として高校サッカーも準決勝か決勝を観に行くことがルーティンとなった。それと共にJリーグにも再び興味が湧き、小さい頃にファンだったヴェルディの結果を気にするようになった。
そこからは定期的にヴェルディの順位を確認したり、招待チケットを頂いて年に1、2回味スタに試合を観に行くようになった。ただ毎年序盤は良い順位にいるのに、後半になるとプレーオフ圏内からも落ちてしまう、僕の中でのヴェルディはそんな印象のチームだった。何年か前に昇格プレーオフ決勝に進み、「ついに昇格か」と思った時も負けてしまった。

時は経ち、2023年。いつもと同じように、スポーツナビで結果を確認する日々が続いた。
今年も招待チケットがあたり、9月9日のレノファ山口戦を観に行く。勝利。

2023年9月9日、レノファ山口戦

再び招待チケットがあたり、10月7日の大分トリニータ戦を観に行く。再び勝利。

2023年10月7日、大分トリニータ戦

そこからは毎試合結果をチェックするようになった。僕の中の「序盤は良い順位にいるのに、後半になるとプレーオフ圏内からも落ちてしまう」という印象は良い意味で裏切られた。最後の最後にエスパルスをまくり3位。「これは昇格プレーオフを観に行くしかない」と思った。

来る2023年11月26日。プレーオフ準決勝、ジェフユナイテッド千葉戦。三度勝利。

2023年11月26日、ジェフユナイテッド千葉戦

たかだか3試合だけれど、僕の中で「現地観戦する試合は負けない」ジンクスが生まれた。(それは今年の町田に負けるまで続く)なんて単純な人間だ。
プレーオフ決勝のチケット販売日。発売直後にチケットを購入した。「今年こそはJ1昇格を」と願いを込めて。

迎えた2023年12月2日。J1昇格プレーオフ決勝。少し肌寒いけれど、よく晴れた、気持ちの良い日だった。
国立競技場に入ると、あまりの人の多さに驚いた。「ずっと応援しているサポーターさん達だけでなく、僕と同じようにこんなにもヴェルディのJ1昇格を待ち望んでいる人達がいたのか」と。

キックオフ

試合は厳しい展開が続いた。ヴェルディが上位といえど、エスパルスの方が選手の層が厚いのは明らかだった。何とか凌いだという表現が適切な前半。
後半も押し込まれる展開が続く。そんな中キャプテンの森田選手がハンドを取られた。選手達は抗議していたけれど、僕の位置からは明らかに手に当たっているのが見えた。そのPKを決められて、0-1。「今回もダメなのか…」、そんな思いが過った。

ただそこでジンクスを思い出した。「現地観戦した試合は負けない」。
知っている選手の名前は森田選手と、高校サッカー出身の染野選手くらい。チャントも知らない。そんなサポーター1年生がジンクスを信じてみることで、必死に心を奮い立たせ、応援を続けた。
それでも中々追い付けない展開が続き、アディショナルタイムへ。その頃には不思議とジンクスを信じられ、守備を固めて後ろに重たくなったエスパルスを見て、「消極的になるチームは負ける」と、パートナーに伝えたことを覚えている。
そんな中、染野選手がPKを獲得した。国立競技場全体がヴェルディのチャントでこだましているようだった。故オシムさんに倣って、PKの最中は顔を覆って見ないことにしている。会場の大歓声で、PKが決まったことが分かった。
残り時間もチャントで応援した。そして試合終了。会場が歓喜に沸いた。

2023年12月2日、ヴェルディJ1昇格

選手達が泣いていた。スタッフ達さんも泣いていた。サポーターも泣いていた。大の大人が嗚咽を漏らしながら、号泣していた。その光景は今でも忘れられないし、今後も忘れることはないだろう。
かくして僕にとって高校サッカーの聖地だった国立競技場は、ヴェルディが昇格を決めた場へと上書きされた。

2024年は緑の心臓に加入した。DAZNにも入った。現地で13、4試合観戦した。ヴェルディに再び魅了された。ファン歴30年以上のサポーター1年生の出来上がりだ。
ヴェルディのサッカーはアツい。とにかくアツい。僕が高校サッカーが好きな理由のアツさが、ヴェルディのサッカーにはある。監督が時に心配になる位とにかく激アツで、それに応えようとする選手も激アツ。サポーターも激アツ。それを1年通して見ることができて、本当に幸せだった。
来年は恐らくシーズンチケットを買うことになるだろう。ゴールド会員にもなるかもしれない。そんな変化を与えてくれたヴェルディに、本当に感謝している。そして苦しい時期を支えてきてくださり、チームの存続を支えてきたサポーターの皆さんにも。
今年残り1試合と、来年もまた全力で応援できることに感謝して🍀

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