大学4年間を過ごしたあの部屋。引っ越してから1ヶ月、私はホームシックでした。【1人アドベントカレンダー9日目】
私が大学に入学したのは2012年の4月。
それまで18年間三重県からほとんど出たことがなかった田舎者。
受験で上京したのが人生初の東京。最初は不安で母親についてきてもらった。それから1週間後に別の大学入試。今度は1人で上京。そして次の春、私はその大学に入学することになる。
私が人生初めての一人暮らしに選んだのは京急本線の某駅。卒業旅行で忙しく内見には行かずになんとなく適当に決めた部屋だった。
各駅停車の電車しか停まらない駅。そんな駅の駅前徒歩1分の好立地。
スーパーは駅前に2つ。コンビニは3つ以上。何故かお洒落なハンバーガー屋さん。駅前にはパチンコ店がいくつも。賑やかな街だった。
僕の人生初めての一人暮らしはそんなちょっと賑やかで寂しくない街で始まった。
人生初めての短期バイトは隣の駅の倉庫で荷物を詰める仕事。
楽しい時も辛い時も4年間。この部屋で過ごした。友達は多くはできなかったけど何人かは家にも遊びに来てくれたりもした。
日当たりが悪くていつも夜のような暗い部屋でいつも電気をつけていた。
暗い暗いと文句を言っていた、そんな部屋を離れる日がやってきた。
大学4年生の3月。引越し先は同じ京急沿線でもなく、これまで降りたこともない駅。距離的にはそこまで遠くないが近くもない。
最後の明け渡しの日、三重から親も来てくれて荷物をレンタカーで新居へ運んだ。
もともと新築ではなかった部屋に4年も住んだから少しだけくたびれた部屋。引越し先は新築でピカピカだったし最初は意気揚々だった。
でも親がいなくなって1人で新居に寝ていたら「僕がいるべきはここではない」「前の部屋に戻りたい」なぜかそんな気持ちが湧き上がってきて涙が出てきた。
それから1ヶ月弱、妙な違和感を感じながら新居生活を過ごし、途中体調まで崩しながらも時が解決してくれてなんとか慣れていった。
今ではその部屋に住んで4年弱。そろそろ引越しも考えている。
今度もまたホームシックになるのだろうか。
(引越しの日にマンション横の民家の軒先に寝ていた猫)