ぼくが「俳優」になったきっかけは「悪夢」だった。

もう13年も前になります。僕はソフトバンクという会社に勤めていました。新卒早々に身寄りのない名古屋に出向となり、手探りでしたが、仲間にも恵まれ楽しく生活していました。最後にはそれなりの結果も出せてやりきったので、1年半勤めて早々に退職しました。退職理由は東京に帰って、一度諦めた俳優になりたいというものでした。当時25歳でした。

どうやって活動していこう。東京で俳優やると言ってもツテがあったわけではありません。可能性は無限大と言えば聞こえはいいですが、見切り発車もいいところでした。

期待と不安が入り混じった東京までの帰路のおともに、本屋でたまたま面白そうだなと手にとった小説がありました。内容はエレベーターという密室で繰り広げられるサスペンス。関西弁のピリリとしたコメディスパイスが効いていて、登場人物もストーリーもなんとも斬新で魅力的で衝撃的でした。こんな小説があるのかと。

あとがきを読むと原作者は大阪で劇団をやっていて、その本も元々は彼らが上演していた四人芝居だということを知りました。

背中を押された気分でした。大阪という土地で劇団の活動が実を結び、作品が小説になって全国に知れ渡るってとてつもないことじゃんかと。東京に戻ったらこの人たちみたいなワンシチュエーションもので、めちゃくちゃ面白い作品をやろうって。大海原にイカダで飛び出した僕の大航海記のはじめの指針となったことを覚えています。

そう思っておいてなんですが、東京に帰った僕はしばらくミュージカルばかりやることになります笑 おおよそ4〜5年ぐらい 笑 それはまた別の機会に話したいと思います。

たまたま出会ったその本のタイトルは
「悪夢のエレベーター」と言う作品。
作者は木下半太さんです。

既にご存知の方も多いと思いますが、今僕が一番お世話になっている人で、劇団「渋谷ニコルソンズ」の主宰。無類のお酒好きで一緒に飲んだくれることも多く、たまに忘れそうになりますが、累計で100万部以上小説を売ってるベストセラー作家さん。僕にとってはビジネスパートナーであり、良き先輩であり、頼れる兄貴で、最高の飲み仲間 笑 ともかく面倒見のいい大恩人です。

「悪夢のエレベーター」に背中を押されて俳優として走り出し、数々の偶然が重なり重なって2010年に僕は木下半太さんと巡り会いました。活動を通じて人と出会い、一つ、また一つと人が人を繋げてくれました。今まで出会ってくれた人達には本当に感謝しかありません。人に恵まれている僕は幸運です。

俳優を続けてもうすぐ12年になります。随分とおっさんになってきましたが(見た目は早々に出来上がってたけど)まだそんなもんか、とも思います。

たくさんの人に「感動」を届けたいなんておこがましいことを想って今日までやってきました。

涙が止まらないぐらいの感動や、
お腹がよじれるほどの大爆笑、
明日も頑張れるって勇気や、
もっとシンプルに、
帰り道のご飯がいつもより
なんだか美味しかったなど。

はたして僕は誰かの人生を豊かにできたのでしょうか。

ありがたいことに、喜んでもらえたという記憶はたくさんあります。でも、ほんとのところは皆さんの人生ですから。どれだけのものだったのかってのは、いつだって計り知れないのです。エンターテイメントは決して生活必需品ではないから。

それでも一つだけ言えることは、この「悪夢のエレベーター」という作品が僕たち俳優の体を通じて、劇場という空間を通じて、誰かの人生の何かの、素晴らしいきっかけになると良いよなって。僕は心の底からそう思っています。毎回そんなことを思って作品に挑んでいます。

かつての僕がたまたま手に取った小説に背中を押してもらえたように。

元々素晴らしく面白い作品です。今回の舞台版ではインパルスの堤下敦さんの胸をお借りし、2丁目マッキーというオネエのアクセントが加わり、俳優とスタッフ全員が総力をあげてお届けするわけですから、間違いなく小説を超えると思います。

また本作はインフルエンサーyuzukaさんのプロデュース公演となり「燻っている役者に夢を」というコンセプトがあります。

自分の夢を叶えることもそうだけど、
僕たちが誰かの夢になれますように。

エンターテイメントにはそんな力があると僕は信じています。

そんな気持ちで本作に挑みます。
是非劇場に足をお運びください。
人生変えにきちゃいなよ。

西郷豊

本作の出演者全員と原作・演出の木下半太

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プロデューサー:yuzuka
主催:peek a boo×渋谷ニコルソンズ

『悪夢のエレベーター』
~新宿2丁目Ver~

原作・演出:木下半太
脚本:マッキー

■あらすじ
深夜。
エレベーターに閉じ込められた赤の他人の男女たち。
追い詰められた状況の中、
全員の秘密が暴露され、ついに事件が起きる!

どんでん返しの連続で話題になった木下半太の30万部の傑作小説
「悪夢のエレベーター」(幻冬舎文庫)が、
新宿2丁目バージョンとして舞台化!

脚本は「悪夢のエレベーター」の登場人物のモデルとなったマッキー。
新宿2丁目で店を構える現役オネエであり、
現在は恋愛相談を中心としたライターとして活躍している。

原作・演出に昔からマッキーと親交の深い木下半太が担当。
「俺の小説をマッキーにメチャクチャにして欲しい!」と意気込んでいる。

■出演

堤下敦、白石拓也、西郷豊
立山誉、保土田充、田北良平、三橋愛永、三橋栄香
十条太助、中山佳祐、関美恵子、長瀬貴博、山川真生

■公演スケジュール
12月4日(火)19時00分開演★
12月5日(水)19時00分開演★
12月6日(木)19時00分開演★
12月7日(金)14時00分開演★ 19時00分開演★
12月8日(土)13時30分開演★ 19時00分開演★
12月9日(日)13時00分開演 16時00分開演

※受付開始、開場は開演の40分前

★はアフタートーク
20分程度を予定。

■チケット料金
S席 7000円(前2列・/指定席)
A席 一般 5000円(S席以外/自由席)
A席 22歳以下 4000円(当日受付にて証明を提示)

A席 一般(平日割) 4500円(S席以外/自由席)
(平日割 12月4日(火)~7日(金)までの公演のみ対象)

■会場
テアトルBONBON
東京都中野区中野3-22-8

■会場アクセス
JR中央・総武線/東京メトロ東西線 中野南口より徒歩5分。
※駐車設備はありません。車、バイクでのご来場はご遠慮ください。

■公演詳細ページ
https://stage.corich.jp/stage/96230

【西郷豊専用チケット窓口】
https://ticket.corich.jp/apply/96230/012/

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