AirTagの未来
AirTagは、Apple社から発売された紛失防止タグ。紛失防止タグは以前から他の会社でもだいぶ前から販売されており、なぜ今頃そこにAppleは参入してきたのか。
他の会社のものと比べて機能的なAirtagの優位度としては、UWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線システム)による室内での場所探しと、iPhone利用者の多さによる「場所検知の精度の高さ」である。
UWBはもともと軍事用レーダー技術として研究が進められ、2002年に米国で民生利用が開始された。ごく短く鋭い矩形波(パルス)の電波が持つ、中心周波数がかなり高く、また広い帯域に分散する信号を利用した無線技術で、通信範囲はごく近距離だが高速通信の他に位置検出が可能などといった特性も持つ。
場所検知に関してですが、AirTagは、ユーザー自身の所有しているペアリングされたiPhoneだけでなく、他人のiPhoneとも接続・交信することがある。そして、それら他人のiPhoneを通じて位置情報をアップルに残す。ユーザーは、その情報を検索することで、遠く離れた場所に置き忘れたAirTagの場所を知ることができる。世界中のiPhoneを結び、まるで「網の目」のようにBluetoothのネットワークができ上がることから、こうした構造を「メッシュネットワーク」とよぶ。他の忘れ物防止タグの場合、メッシュネットワークを構築する条件が「同じ忘れ物タグを使っているユーザー同士」になるため、iPhoneを背景にしたAirTagに比べ、どうしても利用者数の面で劣り、検知の精度が落ちてしまう。特に、都市圏以外の人口が密集していない地域では厳しい。
結局は、一言で言えば紛失防止の検出精度が上がったというイメージである。それが最終目的ではないだろう。
AppleはARとの融合性を目指しているのではないか。
「ポケモン GO」のようなARゲームとAirTagの違いとして、ポケモン GOのようなARゲームは位置情報の収集に主にスマートフォンのWi-FiとGPSに依存している点を挙げる。これらのセンサーからは、UWBほど正確な位置情報は取得できないというわけだ。AirTagのような低コストかつ低電力のものは、より正確性の高い追跡を必要とするアプリを開発したい者にとって「完璧な選択」に思える
Appleは実際にARメガネを開発しているので、正確な位置情報を強みとしたARの使い方を最終的に実現させたいのではないかと思っています。
具体的にどういうサービスで使えるかは今後考えていきたいと思います。