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理由を知って成功率をあげましょう!ITプロジェクトが30%しか成功しないわけ

私は仕事柄、普段から様々な中堅・中小企業様のITプロジェクトについて、経営者の方や関連部門の担当者にお話を聞く機会があります。
そこで成功した事例や失敗した事例なども多くお話を聞く機会があるのですが「ITプロジェクトが成功しました!」と自信を持って言える方はせいぜい3割程度だと思います。
 
実際の世の中の成功率に目を向けると、50%程度を成功と位置付けているようです※1「50%、なんだ、結構成功しているな」と思われますか?では「あなたの会社にとって重要なITプロジェクトが半分の確率で失敗します!」と言われてしまったらどうでしょう。
またこの調査結果には大きな資本、優秀なIT人材を多数持つ大企業も含まれており、中堅・中小企業の現場において私が体感している成功率30%は決して現実離れしたものではないと思います。
 
一方ITプロジェクトを請け負う側の視点で見てみましょう。
その道のプロとしてITプロジェクトをマネジメントし動かしていくITベンダー側の視点で見ると、請け負うITプロジェクトの成功率はなんと70%を超えていると判断しています※2。
つまりは、ユーザー側とプロジェクトを請け負うベンダー側で大きくプロジェクトの成否に対する認識が大きくずれているという事です。
 
ITベンダー側でプロジェクトが成功と定義されても、ユーザー企業側で納得のいくものでなければ会社にとって意味がありません。
双方の成功を一致させるためには、ユーザー企業にもベンダーコントロール、プロジェクトマネジメント等行うためのITリテラシーが必要です。ユーザー企業とITベンダー、それぞれの認識の中の成功をすり合わせ、自社のITプロジェクトを必ず成功へ導きましょう!



最重要事項は成功を定義すること

ITベンダーとユーザー企業、一丸となってプロジェクトを遂行する中で成功率に差が出てくる理由、それはプロジェクト当初に行ったはずの要件定義が曖昧なものであるために、成功の定義がそもそも違っているということがほとんどです。
ITベンダーとしては「言われたこと、明文化したことはやり遂げました。言われた事以外はやっていません」というのが基本のスタンスですので、これで双方の成功率に差が出てしまうというわけです。
 
プロジェクトを始める際に、まず行うことが要件定義ですが、プロジェクト成功のカギはここにあり、ユーザー企業側で必要な成功がしっかりと定義できていれば、ITベンダーはそれを実現すべく活動していきます。要件定義を確実に行うからこそ、同じゴールに向かって歩みを進めていくことが可能になるのです。

ユーザー企業に求められるITリテラシー

要件定義が曖昧なまま進んでしまうのは、ユーザー企業側にITリテラシーが不足していることが大きな要因となっています。リテラシーとは使いこなす力のことを指します。
 
私たちのサービスにお問合せを頂く企業様でも「ITプロジェクトが失敗した。何とか挽回してほしい」というところから始まるお客様もかなり多くおられます。なぜ失敗したのか、そもそも何が失敗で今後どうする必要があるのか、詳しくお話を聞いていっても、なかなか明文化できていないケースがかなり多いと感じます。
 
ITプロジェクトやDX(デジタル・トランスフォーメーション)プロジェクトに取り組むことが避けて通れない今、ユーザー企業に求められるITリテラシーというものがあります。
 
ユーザー側が必要とするITリテラシーや必要な役割を示す一つの参考として、IPA(情報処理推進機構)の定める「DXリテラシー標準(DSS-L)」や、DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルなどを定義した「DX推進スキル標準(DSS-P)」などがあります。これらは、まずIT・DXリテラシーとはどういうものかを理解するうえでは非常に参考になると思います。
 
ただ、やはり企業に必要なことは「自社にとって本当に必要なリテラシー」を明確にし、具体的な方法を定めてそのリテラシーを獲得することです。AIを業務で使うのであれば、AIを使うことのメリットやデメリット、必要な倫理観を把握することが必要ですし、システム構築・ITツール導入を外部に委託するにしても、技術的に実現可能なことやリスクを正しく把握しておかなければ、ベンダーへの丸投げとなり、本来、妥協しなくてよいところを妥協してしまったり、本来実現できるはずのコストより遥かに大きなコストを要求されることもあります。

旅行の計画で想像してみましょう

例えばみなさんが、ご家族で旅行をするときのことを想像してみてください。どのように計画を立てますか?
 
旅行代理店に頼めば旅の計画を提案、サポートしてもらえますがその際に、旅行の目的がはっきりせず「外国できれいなものを見たい」と依頼したらどうなるでしょう。旅行代理店は色々提案してくれますが、目的が曖昧で、知識も乏しい状態では、旅行代理店に言われるがままのプランを実行するしかなくなってしまいます。
提案された費用の妥当性や、日程にどれくらいゆとりがあるのかなどもわかりません。その結果、どこかに無理があったり、なんだか求めていたものとは違ったということになりかねません。
一方、旅行の目的が何なのかをはっきりさせ、具体的な手段もある程度は知識を入れている状態で旅行代理店と話をすることで、満足度の高い旅行が実現します。
 
もう少し詳細の話をすると、「綺麗なオーロラも見つつ、安らげる旅にしたい」というようにもっと目的を明確にして、その目的を実現できる手段の知識もそれなりにあるとします。(=旅行リテラシーが高い状態)
一般的には「綺麗なオーロラを見る=カナダでオーロラを見る」というのが、発想としては多いように思います。
 
しかし、旅行リテラシーが高ければ「アラスカで温泉につかりながら、オーロラを見る」という発想も出てきます。旅費に対する知識があれば、旅行代理店に言われるがままの値段ではなく、交渉する余地もかなり出てきます。
 
少し旅行の話が長くなりましたが、要は自分たちが実現したいこと、実現するための主要な手段のリテラシーが高くなければ、本来実現したいことが実現できなかったり、コスト面が大きくかさんでしまう。というお話です。これがITプロジェクトで失敗してしまっている企業で往々にして発生していることだと私は感じます。

必要な成功を明確にすればITプロジェクトは自ずと成功に向けて走り出す

話しを戻しまして、ITベンダーと協力しながらプロジェクトを成功させるにはユーザー企業側にも一定のITリテラシーは必要不可欠です。目的を定め、必要な知識を身に着けていることで、ITベンダーと本当に必要なものを創り上げることができるのです。そして明確な要件定義とプロジェクトコントロールさえできれば、ITプロジェクトは成功に向けて走り始めます。


アスナビスでは経験豊富なコンサルタントと、AI分野を含む専門機関との協力関係を活かして、皆様のITプロジェクトをトータルサポートする、安価定額制DXトータルサポートプランを展開しております。この記事をご覧いただいて、今のままでは必要なITリテラシーが足りないな、と感じていらっしゃる場合でも、コンサルタントが丁寧に寄り添い、社内のITリテラシー向上にもお役立ち頂けますのでぜひお気軽にご相談下さい

※1:日経xTECH/「日経コンピュータ「ITプロジェクト実態調査 2018」
一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会/「企業IT動向調査報告書2021」』
※2:IPA/「ソフトウェア開発データ白書2018-2019」
 

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