見出し画像

おもしろい人物「千葉茂」

※本稿は別の場所に書いた文章を移設したものです。そのため、語尾が普段の「です」「ます」ではなく、「だ」「である」になっています。

――――― ――――― ―――――

長嶋茂雄が偉大であることは言わずもがなである(過小評価されている人物だとさえ思う)が、長嶋の前にジャイアンツで背番号3をつけていた人物も、ある意味では長嶋クラスの、スケールの大きな、文字通り「大人物」だと断言できる。

「千葉」県出身の長嶋「茂」雄に、背番号「3」を譲った、その人物の名は、千葉茂。ジャイアンツで打撃の神様・川上哲治の前を打ち、川上のタイムリーヒットで生還した名打者である。

そんな千葉茂のあだ名は「猛牛」。現役引退後の1958年、近鉄パールスの監督に招聘された際、千葉のニックネーム「猛牛」にちなみ、チーム名が近鉄「バファロー」になった(後にバファローズ)。後にも先にもニックネームがチーム名になったのは千葉だけである。

なお、バファローズのあのマークは、岡本太郎の手によるもの。独特なカーヴは太郎カーヴだ。近鉄球団は消滅したが、岡本太郎によるマークは「永久に不滅です」。

これだけでも千葉は十分すぎるほどのエピソードの持ち主だと言えるが、これだけではない。ヌ・アント!千葉茂は、「カツカレー」の考案者としても名を残しているのだ。

こんなにおもしろい人物は、そういるものではない。「おもしろい」という言葉を、ここでは、語りたくなるというような意味で使ってる。上記のエピソードは、たぶん全てWikipediaの「千葉茂」の項に掲載されているはずだ。野球ファンならば知っている人も多いであろう、有名な逸話ばかりだ。しかし、例えば長嶋茂雄の超人性(常人の理解を超えた言動や思考)が今なお語られるのに対し、千葉への言及は少なすぎると思う。

同じようなことを誰しも思っているんじゃないかしら。おっと、口調が変わってしまった。誰しも思っているのではないか、あるいは、なかろうか。例えば、米米CLUBの楽曲について、「浪漫飛行」や「君がいるだけで」への言及の異様な多さに対して、「ひとすじになれない」が語られることがあまりにも少ない、というようなことを。

声を大にして言いたいわけではない「ちょっとした話」ではあるが、他の人があまり語っていないことを語りたいのなら、声を中くらいにしてか経っても良いんじゃないか、その気持ちを大事にしようよ、それに、語りたい、伝えたい、紹介したいと思う人物や作品やエピソード、そうしたものを、語ること、書くことは、既に語られまくっている「長嶋茂雄」や「浪漫飛行」について、さらに言葉を重ねるよりも、優先度を上げて語るべきなんじゃないか——という想いを胸に、時々、敢えて語りたい「ちょっとした話」を綴ってみたいと思う。

*****

執筆日 2024年4月24日
初出日 2024年4月24日
更新日 2024年6月30日
当サイト掲載日 2024年7月17日

いいなと思ったら応援しよう!