U15全日本フットサル選手権
1/11(土)〜1/13(月祝) 栃木県 日環アリーナにて
U15全日本フットサル選手権が行われ、
HKD FC U15が出場しました。
クラブ創設6年、独立して5年目で
初の全国大会出場でしたが、
選手達は臆することなく戦ってくれました。
まずはこの全国大会出場にあたり、
多くのサポートやご支援をしていただいた
チームや企業の皆さまに心より感謝いたします。
ありがとうございました。
私としても初の全国大会、
現地で見たものや肌で感じたことを
今後に活かすことができるよう、
ここに記録として残しておきたいと思います。
また、北海道サッカーに関わる皆さまへの
ご報告としても現地で感じたことを
お伝えさせてください。
はじめに結果の報告です。
【予選リーグ】
◾️第1戦
vs CFS/エスペトゥーロU-15(宮城県)
○4-2(3-1/1-1)
◾️第2戦
vs ロボガト(愛知県)
△3-3(2-1/1-2)
◾️第3戦
vs FCクラッキス松戸(千葉県)
●1-3(0-2/1-1)
1勝1分1敗
予選リーグ敗退
予選リーグ4チームが4ブロックに分かれ、
1位のみが決勝ラウンドの準決勝に進出できる
レギュレーションでした。
どのグループも最終戦まで結果がわからない
混戦の中、我々も最終戦のチームとの対戦で
「勝利した方」が決勝ラウンドに進出できる
状況でしたが敗戦。
あと一歩届かず、
ベスト4に進むことはできませんでした。
結果としては「あと一歩」
しかしその一歩の中にいくつかの差があるため、
それらを分析・整理していきます。
チーム・個人・指導者の
3つの観点から分析していきたいと思います。
チームの観点①
◾️多くのチームの守備はミドルプレス
(ハーフライン付近で構えてからプレッシング)
このスタイルが非常に多く感じました。
対戦・観戦したチームの多くが
前からのプレッシングではなく、
ハーフライン付近で守備を構える
ミドルプレッシングを採用していました。
これは体力を温存しながら
ゲームを進める要素も強いと思います。
要は相手のクリアランス時などは
最初から下がってスペースを埋めて守り、
一人一人の味方の距離を近くして
ボールを奪う守備戦術です。
そしてこの守備戦術とセットになっているのが、
トランジション(守備→攻撃)からのカウンター。
そしてそのスピード感と強度。
前に走ってくる強さや推進力が、
どのチームも凄まじい迫力でした。
現に我々も予選リーグ8得点のうち
4得点がカウンターからのゴールでした。
全チームではありませんが、
多くのチームがこのような戦略を取っていました。
つまり、ボールを持つ攻撃側としては
「引いた相手を崩す策」が必要でした。
サッカーでも引いた相手を崩す策は
いくつかあると思います。
今回、我々はそのような相手に対して
アラの選手のドリブル縦突破や
ピヴォに当てて反転シュート、
ピヴォに刺さってシュートなどを狙いながら
ゴールをこじ開けようとしましたが、
やはりスペースがない中で相手を崩すことは
簡単ではありませんでした。
「ボールを奪われたらカウンターを喰らう」という
「仕掛けること」と同時に「失うこと」と
隣り合わせの心理的状況も
フットサルの良さや奥深さでもあると思います。
かといって、もっと強烈なドリブラーが
必要だったという次元の話でもありません。
どんなドリブラーでも狭いスペースでは
アタック+カバーで守られると限界があるのが
全国大会のレベルです。
つまり「グループやチーム」として
どのようにゴールを奪うか、
その必要性の方をより感じました。
引いた相手を崩す具体的な策を一つ挙げると
「3 on line」をもっと浸透させるべきでした。
※3 on lineの説明はここでは割愛
練習では3 on lineを少ししか取り組んでおらず、
そこは一つ私の反省です。
チームの観点②
◾️パワープレーの精度
パワープレーとはGKもFP選手のように
前に上げ、5人で相手コートに押し込み
得点を取りに行く戦術です。
負けている時や得点が必要な時、
自チームのゴールを開けてでも
背に腹はかえられぬ覚悟で繰り出す戦法。
我々は第2戦で東海地域の
チャンピオンチームと対戦しました。
そのチームは名古屋オーシャンズU-15にも
勝つようなフットサルチーム。
年間を通してフットサルをやっているため、
パワープレーの精度は
恐ろしく高いものがありました。
その試合、我々は2点リードを奪って
残りは後半の7分。(プレーイングタイム)
相手も勝たなければならないため、
パワープレーを発動してきました。
リアルの時間で言うと15分間は
パワープレーで殴られ続けていたと思います。
全国大会出発前には
北海道唯一のプロフットサルチーム、
エスポラーダ北海道の皆さんを相手に
パワープレーの守備も練習させていただき、
パワープレーに対しては免疫がありました。
しかし相手もそんな状況には慣れたチーム。
こちらが守る陣形に対して、
形をナチュラルに変化しながら
チャンスを伺ってきます。
結果的に実質その15分間で2点差を追いつかれ、
3-3の引き分けで試合終了。
あれほどに「+1人の恐怖」を
感じたことはありませんでした。
同時にサッカーもフットサルも「+1人」を
活かせる技術と戦術眼が
本当に相手を困らせ恐怖を与え、
ゴールに繋がることも身をもって感じました。
逆を言うと、パワープレーの精度を
高く備えておくことで、フットサルでは
勝率を上げる可能性が高まることも学びました。
チームの観点③
◾️クワトロセットを1つ作る
我々は3セットのグループがありましたが、
システムは全て3-1でした。
3-1システムはある意味ピヴォが警戒されたら
詰んでしまうシステムとも言えます。
なので、1セットはクワトロシステムで
テイストを変えた攻撃ができるグループが
必要だったとも感じます。
今年の我々はゲームの中の「あるきっかけ」で
クワトロを発動するよう共有していただけで、
「クワトロセット」を持っておくべきだったと、
これも1つの反省点です。
続いては選手個人に関する内容です。
選手個人の観点①
◾️守備時でのボールに対する執着心
このレベルは
さすが全国大会と言えるものでした。
足を動かし体を運んで相手を邪魔することや、
ガチャガチャした時のボールを奪おうとする
ボールへの執着心、時にはピンチを
スライディングで凌いで相手ごと転ばせたあとに
カウンターに繋げるなど、
個人の点ではここが1番我々と本州のチームで
差がある部分だと感じました。
我々も今年はフィジカル能力は高い方で、
実際にそこで負けてはいなかったのですが、
勝敗を左右する点で言えば、
そこの差が大きかった気がします。
選手個人の観点②
◾️シュートの強さ
シンプルですが、シュートのパンチ力が
非常に重要なことも知りました。
優勝したチームには
強烈な左足を打てる選手がいて、
他のチームにも「強く枠に飛ばせるシューター」
が多かったと思います。
我々もシュートは打つのですが、
力みすぎて上にふかしてしまったり、
ここぞの時にシュートがミートしない
などが見受けられました。
全チームのGKもかなりの能力があり、
勝利するための得点を取るという点に関しては
「強く枠に飛ばせるシュート」が
当たり前ですがもう少し必要だったと感じます。
選手個人の観点③
◾️自己犠牲できるメンタリティ
大舞台ですから普段とは違う雰囲気、応援合戦、
勝ちたいと思う気持ちなど様々な要素が
高強度で入り混じる中、
どれだけ自分のメンタルを整えられるかも
今大会の鍵でした。
あのような試合でも、
平常心と熱さのバランスを取れるように
しなければいけないですし、
自分(個人)がうまくいかなくても
チームのために自己犠牲を払う精神を
持ち続けて行動できるかが大切だと感じました。
最後に指導者の観点からお話しします。
フットサルはサッカーよりも指導者の影響を
大きく受ける競技だということを学びました。
例えば、タイムアウトを取るタイミング。
タイムアウトとは前後半で1回ずつ1分間の
休憩を取ることができるルールです。
前後半でそれぞれ1回しか使えないため、
タイミングは非常に重要です。
FKでチャンスの場面
リードしていて一度選手を休ませたい場面
パワープレーの守備を整理したい場面
相手の流れを断ち切りたい場面
などでタイムアウトは監督が発動するカード。
ただし1回しか使えない制限がある限り、
どこで使うかは非常に難しい。
第3戦、我々が負けた試合の
相手監督はフットサル元日本代表選手
だったと試合終了後に聞きました。
相手監督のタイムアウトを取るタイミングや
タイムアウトではないけどタイムアウトする
(選手が負傷して試合が止まっている時に
ピッチ内選手を数名集めて指示を出す)
など、試合後に振り返ると
相手監督は試合巧者だったと感じます。
うちのフィクソにイエローカードが1枚出た後、
ピヴォにボールをどんどん入れるよう
指示を出していたり(当たり前だが)、
相手の嫌なことを常にできる眼のある方でした。
フットサルにおいて
戦ってきた場数と遭遇してきた状況が
自分とは数倍違うということに、
悔しさが募りました。
ちなみにその試合では後半に相手が退場し、
2分間FPが3人になった時間帯がありました。
自分はその状況に遭遇したことも
初めてでしたが、相手の監督は冷静でした。
2分間しっかりと守られ、退場者がピッチに復帰。
試合が終わって振り返ると、
自分(指導者)が圧倒的に負けていたと感じます。
しかし開き直るわけではありませんが、
私はフットボールの指導者であり、
今回のフットサルの経験を
次に繋げていく他ありません。
その観点からも、指導者がフットサルにおいて
多くの場数を踏む回数も、
全国大会で勝つためには必要だと痛感しました。
北海道は夏場はサッカー、
冬場はフットサルという考え方ですが、
フットサルにおいて指導者がゲームに
介入することで得られる指導力の向上や、
フットサルの技術・戦術・戦略が
選手のサッカーにも活きることを考えた時に
年間単位でフットサルを取り入れていくことも
逆に必要なのではないかとすら感じました。
現にそのような取り組みをしている
チームもあるので、我々も来シーズンに向けて
検討していく次第です。
辿り着けなかった全国ベスト4の
「あと一歩」の中には、
上記の要素が隠れていたと思います。
それでも選手達が残してくれたこと、
今回で得た経験を今後に活かすのは自分達次第。
この経験がクラブ・札幌・北海道の
次なるステップへと繋げられるよう
また頑張りたいと思います。
改めて応援していただいた皆さま、
本当にありがとうございました。