鹿児島・祖母の暮らしを巡る
4月下旬。PCR検査を受け、1年半ぶりに地元・鹿児島へ帰省しました。
私は幼い頃から母方の実家がとても好きで、今回の帰省はコロナ禍ということもあり、大半は祖母宅で過ごしました。ここでの祖母の暮らしを紹介します。
祖母は普段、僕たち孫からは「グランマ」と呼ばれています。(=grandmother、おばあちゃんと呼ばれたくなかったのか…詳しくは聞いていません)
祖母はとても明るくいつもせわしなく家事をする81歳です。毎朝6時半に起床し、早朝と夕方にお墓へ行きます。祖父が5年前に他界し、以前よりも増して丁寧に供養しているようにみえます。祖父が亡くなった年、祖母が憔悴していることを察した私は祖母宅から教習所へ通い、夏の1ヶ月を一緒に暮らしました。運転免許を取得するまでのこの期間で、私は暮らしの根本を学びました。
日々淡々と
私はいつも今日のタスクを決めて業務に取り掛かり、日々様々な対応に追われています。しかし休日暇になると逆に精神的に辛い…そんなことがあると思います。
祖母は起床、墓参り、朝支度、週数回のジム、ピアノ教室…毎日同じ時間に同じ作業を行っています。ひと休みする暇もないくらい、ずっとあちらこちらを動き回ります。何故この歳でも多くの物事をこなしていけるのか、それは祖母自身の向上心と周囲への愛があるからだと思います。日々淡々とひとつひとつこなしていく祖母は素晴らしいと思います。
良いものをずっと
私はプロダクトデザイナーです。学生時代、デザインを学びたての私は、祖母が普段使うものを改めて観察しました。私よりも60年長く生きている方が使用するものに、永く愛され続けるプロダクトのヒントがあると感じたからです。
籐の洗濯かご、50年前の松下電器アイロン、柳宗理のざる、ゴム手袋、碁盤…どれも私が生まれた頃から見慣れたものですが、愛着を持って使い続ける一つ一つに細かな配慮がありました。
母の実家は焼酎を製造する酒蔵です。祖父は5代目、叔父が6代目、そしていとこが現在大学で醸造関係の勉強をしています。昔から蔵から漂う芋の香りを嗅いできて、焼酎を嗜む日を楽しみにしていましたが、未だに好んで飲むことができません……今回も久しぶりに工場へ行きましたが、製造時期ではなかった為、あまり稼働はしていませんでした。宣伝になりますが、焼酎好きの方は是非飲んでみてください。神酒造の「千鶴」「いも神」「黒甕」が有名な銘柄になります。
最後に
民藝家・柳宗悦が唱えた"用の美"
ものは人に永く使われることで美しさを増し、人はものを永く使うことで愛着が増すという意味です。祖母の暮らしでは用の美が体現されていました。これからも祖母との時間を大切に過ごし、様々なことを学びたいと思います。
コロナ禍により人々の暮らしが大きく変化する時期ですが、Yutah foundはそれぞれのスタイルにフィットした美しいもの、暮らしをこれからも探していきます。
YouTubeチャンネルについて
Yutah FoundはYouTubeチャンネルを開設しています。こちらから今回の旅の様子を発信していますので、是非ご覧ください。
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