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モンゴル・ヘルレン川流域における地下水流動系の研究

乾燥・半乾燥地域における水資源、特に地下水の現状を把握するための研究には学生時代に興味があり、修士研究でモンゴルで研究する機会を得ました。

モンゴルにおける地下水の利用率は、人口の90%以上と極めて高く、乾燥地の典型的な水利用形態をとっています。 しかし、1990年の市場経済移行後は、管理体制の崩壊し、多くの井戸が破壊され、使用不能になった状態で放置されています。 モンゴルは、今後、水資源問題が顕在化しうる社会情勢にあると考えられるわけです。 この様な状況下で、地下水流動系の現状を把握する研究は、極めて意義があると考えるのです。

そこで、本研究の目的は、乾燥・半乾燥地域であるモンゴル・ヘルレン川流域において、地下水涵養機構、 ならびに地下水流動系を明らかにすることとしました。 対象地域は、モンゴル国・東部、おもにヘンティー(Khentii)県、ヘルレン(Kherlen)川流域。 2003年7月、地下水・河川水・湧水を対象として、なるべく多くの地点で観測・採水を行いました。

●現地観測→EC、pH、水温、地下水位など
●採水した水→無機溶存イオン成分や酸素・水素安定同位体比を分析

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これらのデータをなんやかんや考察した結果、以下の結論を見出した。

● ヘルレン川本流は、主に流域の最上流部で形成された後、支流や周辺の地下水に涵養されることは少なく、 流下していることが示唆された。本研究地域では、河川水を涵養している可能性があるのは、 河道から数kmから十数km程度であることが示唆された。

● 流域内の地下水は、降水起源であると示唆され、河川水や地下水の地域流動系によって涵養されていることは考えにくく、 微地形に起因する局地流動系で形成されている可能性がある。

● BGN周辺(流域の上流)とDH周辺(流域の下流)の地下水では、同位体組成の異なった傾向が見られ、 両地域の地下水の涵養プロセスの違いが起因している可能性がある。

詳しくは、以下の論文をご覧ください。
●Tsujimura, M., Abe, Y., Tanaka, T., Shimada, J., Higuchi, S., Yamanaka, T., Davaa, G. and Oyunbaatar, D.(2007): Stable isotopic and geochemical characteristics of groundwater in Kherlen River basin, a semi-arid region in eastern Mongolia. Journal of Hydrology, Vol. 333, pp47-57
PDFはこちら

●Abe, Yutaka (2004) : Study on groundwater flow system in the Kherlen river basin, Mongolia. 63p., Appendix 8p. (筑波大学生命環境科学研究科修士論文)
→本研究はREISEプロジェクトで行いました。 詳細はこちら

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いやー大変だったけど、楽しかったよね。